2話 共同生活開始!!
翌朝イリスはまだベットで寝ていた。
「おーい朝だぞー起きろー!」
イリスは部屋の前から聞こえてきた声で目を覚ましたそうダルだ、彼はイリスを起こしに来た。
「はい、今起きました!」
イリスは眠気眼を擦りながらベットからゆっくり起き上がりドアの方へと歩き出す。
「朝飯食うだろ? もう出来てるから下で待ってるな!」
ダルはそれだけ言い残し下の階へと降りていった、イリスもそのまま扉を開けダルの元へと向かった。
そして階段を降りるといい匂いが漂っている、ダルが作った朝食だ。
「おはよう! 飯が冷めないうちに食べよーぜ!」
「おはようございます、これ全部ダルさんか一人で用意したんですか?」
「ああ! そうだか? てか俺とお前以外この家いねーから、俺が作るしかねーだろ」
テーブルの上にはとても美味しそうな料理が並んでいる、ダルは料理が上手いみたいだ。
早速二人は席につき料理を食べ始めた。
「ダルさん料理上手なんですね!」
「まあな! ずっと一人だったし、自分で作ってたらなんか上手くなったわ」
「そうなんですね! 私も料理はそこそこ出来るんですけどここまで上手くはないですね」
イリスは母から料理などを習っていたなので出来ないわけでない、しかしダルのレベルまでは程遠い。
「そっか・・・・・・ よしならこれから飯はイリスが作れ! それが仕事な!」
「えっ!? 私がですか?」
「そうだ! だって出来るんだろ? だからこれから飯の係はイリスな」
唐突にイリスがご飯を作る係になってしまった。
「で、でも、ダルさんみたいに上手ではですよ? 後そんなに作れるわけでも・・・・・・」
「いやいいよ別に! 俺食えたら気にしないから」
「食えたら気にしない・・・・・・ その言葉引っかかっりますけどそこまで言うなら引き受けます」
イリスはダルに命を助けてもらった以上この頼みを断る訳にも行かず渋々了承した、それとダルの食えたら気にしないという言葉が彼女に火をつけたようだ。
「よし決まりな! 飯担当はイリスで! それと今日も俺出かけるところあるから留守を頼むな、夕方までには帰ってくるから」
「はい分かりました!」
ダルは朝食を食べ上げすぐ出かける準備に取り掛かっている、イリスは食べたあとの片付けをした。
「じゃあ俺行ってくるわ! 後頼んだぞー」
「はい!」
ダルは出かけて行った家にぽつんと残されたイリスはすることが無く少し困っていた。
「掃除でもするかな・・・・・・」
イリスはまた昨日と同じように部屋の掃除を始めた昨日掃除したとはいえまだまだ隅の方などは汚れがある。
そして細かいところまで全て終わらしてしまった家の一階は完璧なほど綺麗になった。
「終わったわね! まだ時間あるしこのまま二階も掃除しようかしら!」
二階は一階ほど汚くはなかったがそれでも手入れがなされてないので蜘蛛の巣などがはって汚れていたイリスはまず階段を掃除し次に二階の廊下そして自分の部屋を片付けた。
「よしこれで大方終わりね! あとは〜ダルさんの部屋か・・・・・・ 勝手に入ってもいいのかな」
最後に残しておいたダルの部屋に入っていいものかイリスは悩んでいるようだ。
「別に入るなとは言われてないし掃除ぐらい良いわよね!」
イリスの部屋の先にあるダルの部屋へと向かったそしてそっと扉を開ける。
「えっ!?」
イリスは驚いたなんと部屋がめちゃくちゃ綺麗だったのだ他の部屋とは大違いでこの部屋だけ整理整頓されておりとても清潔感がある。
「ダルさん掃除できるんじゃん! 自分の部屋だけ綺麗にするなら他のところもすればいいのに」
イリスブツブツ言いながら部屋を見渡した部屋の隅には本棚があり分厚い本が並んでいるパッと見る感じかなり難しそうな本ばかりが並んでいる。
「意外と勤勉なのかしら?」
本棚を見ているとその横に立てかけられている剣を見つけた黒い鞘に収まっており柄には綺麗な水色の水晶がはめられている。
「凄く綺麗な剣ね、でもなんでこんな所に放ったらかしにしてるのかしら?」
その後も部屋を見て回ったが特に剣以外特別なものはなくイリスは部屋をあとにしたそして自分の部屋に戻った。
そして部屋のベットに腰掛けひと休みする。
「私これからどうすればいいんだろう・・・・・・」
ふとそんなことが頭を過ぎっていた、それもそうだろうイリスにはもう行く宛てがない、家族も知り合いも皆死んでしまった帰る場所がない、イリスの頬に冷たい雫が流れる。
「お父さん・・・・・・ お母さん・・・・・・」
自然と父と母を呼ぶ声が口からもれるまだ16の少女にはあまりにも辛すぎる出来事だった。
そう簡単に割り切れることではない、そんな悲しい事ばかり考えているとふと昨日のことが頭をよぎった。
「ダルさん・・・・・・」
昨日ダルがイリスを優しく抱きしめ頭を撫でてくれた事だあの時何かスーッとするような感覚に陥った。
イリスは一人ではないダルに助けられたのだ、そう考えるとイリスの中で少し気持ちに変化があった。
「あの時父さんが身を呈して私と母を逃がしてくれた、そして母が私の身代わりになって私を守ったそのおかげで私は生きられている、それにダルさんがいなかったら私は今頃死んでいた」
イリスは父と母そしてダルの事を考えた。
「私は生かされた、いつまでもくよくよしてられないわね!」
イリスはその言葉を自分自身へと言い聞かせるように、そして悲しみを心の奥底へと無理矢理沈めた。
「よし! そろそろダルさんが帰ってくるから夕食の準備をしなくちゃ!」
イリスは部屋を出て一階のキッチンへと向かった。
「うーん、何を作ろうかしら・・・・・・」
ダルは食べられるものならなんでもいいと言っていたがさすがに不味いものは出せないそれと嫌いなものなど、しかしイリスはダルのことをまだよく知らない。
「困ったわね・・・・・・ あっ! そうだ!」
イリスは何か閃いたようで、料理を作り始めたそしてしばらくして完成したのが、イリスの誕生日に母が良く作ってくれていた特製料理、トマトスープにチキンの揚げ物それとデザートにリンゴのケーキ
「こんな感じかしら?」
イリスはいそいそと料理をテーブルに運びダルを待った。
「ただいま〜 今帰った!」
料理を準備してから直ぐにダルが帰ってきた、タイミングはバッチリだ。
「ダルさんご飯用意できてますよ!」
「おおそうか! 腹減ったから早く食おう!」
二人は席につき料理を食べ始めた。
「あの〜味はどうですか?」
「いや美味いよ? 特にこのスープトマトの味がよく出てて俺は好きだな」
「本当ですか!!」
その言葉はイリスにとって一番嬉しい言葉だった、何せ母から教えて貰っていたからとても気分が良かった。
「ああ! 正直あんまり期待してなかったけどイリス料理上手なんだな!」
「なっ!? 酷いですね!」
「嘘!冗談! ありがとな」
ダルはお礼を言いながらニコッとイリスに笑いかけたその笑顔はとても爽やかで優しが溢れ出る感じだった。
イリスはその笑顔を見てさっきの冗談など本当にどうでも良くなった、この人は悪い人じゃないとても優しい人だと確信したそして少し心の中がザワついていた。
「い、いえいえ、これからも食べられるようなものを作るんで期待しといてください!」
イリスは少し動揺しながらそう言った。
「ああ! 頼むな」
「それとこれだけは聞いときたいのですが嫌いなものとかありますか?」
「いや特にない強いていえば人が食べられるものならなんでも大丈夫だ!」
ダルはまた冗談交じりに笑いながらイリスをからかっているイリスは少し怒った。
「もう! 酷いですね! ダルさんはデリカシーが無さすぎます!」
「ごめんってそう怒るな」
ダルはそう言ってイリスの頭をぽんぽんと優しく撫でた。
「子供みたいな扱いですね・・・・・・」
「子供じゃないのか?」
「ダルさんのばーか!」
「なんだと! 誰が馬鹿だ! イリスのあーほ!」
二人は楽しくくだらない言い争いをしながら食事を終えた。