思索に耽る男
男は、自転車にまたがり
名探偵がするように
思索に耽りながら
信号待ちをしていた。
どうしたら、物事が少しでも
良い方へ向かうのか
彼なりの策を練った。
しかし、名探偵のように
解決へ導くには
時間がかかりそうだった。
信号が変わり
男は、再びペダルを踏み込もうとして
慌てて止めた。
目の前の信号は、赤だった。
つまり男は、青信号の間中
思索に耽っていた事になる。
それは、水泳の苦手な少年が
クロールで、必死に息を止めて
ふたかき程した後
顔を上げて、プァーと息を吐き
パニックになって
2メートル先で、足をついてしまうのに
似ていた。