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転 ステータスを鑑定したらキレられたので、ボーナスポイントを使って抵抗した

お伴なら許されるんじゃないのか?(アンリ)

……お伴だって人権がありますぅ~(ソルっち)

ゲーム世界でなんで鑑定しちゃだめなんだよ?(アンリ)

ぷらいばしーの侵害ですぅ~!(ソルっち)

だからって消そうとするか?(アンリ)

てへぺろ☆

て・へ・ぺ・ろ・じゃねーよ!



『5ポイントを支払い、ソルフェリノのステータスを鑑定しますか?Y/N』

『はい』を選択する。


 何の前触れもなく、ソルフェリノのステータスが表示された。



  名前:ソルフェリノ(名字はありません)

  種族:怪しいハーフエルフ

  年齢:乙女の秘密☆

  器用:+4

  敏捷:+4(行動順序:24)

  知性:+4

  筋力:+3(装備可能重量:18)

  HP:18

  MP:22

  職業スキル:戦士5 盗賊6 狩人2 真言魔術師10(賢者10を含む)

        精霊魔術師8 神官(知識神)8 吟遊詩人9

  一般スキル:やりたいほうだい5

  称号:笑う赤

  英雄ポイント:233



『鑑定日と共にメモ帳にこの情報を保存しますか?Y/N』

『はい』を選択し、結果を保存する。

 ボーナスポイントが100から95に減った。

 でだ。プロフィールや装備欄の開示が無いのは分かるのだが、どうなんだろう?

 鬼のように職業スキルがある。と言うか、これはいわゆる全職業制覇と言う奴か。

 ぱないぜ、このへんちくりんめが!

 でも、表示されているレベルはどうなんだろうか?最大値が分からないので、この値がすごいのか、すごくないのかが分からん!


 ソルフェリノがにこにこと俺の方を見ている。

 どしたの?なにかあった?

 そんな感じだ。


「えーと、ソルフェリノって強いの?」


 そんなことを聞いてみたが、


「アンリから見たらソルっちどう見えるのかな?」

「わからないから、聞いてるんだけど」

「じゃあ、教えなーい」


 おいおい、天邪鬼かよ!と言う感じで教えてもらえなかった。


「ソルフェリノは、僕の保護者になってくれるんだよね」

「そうだよー、そういうふうにお告げがあったからねー」


 ん?お告げ?


「神様から、お告げがあったの?」

「そだよー、で、今から私がアンリの保護者だからね!まずは、ちょっち王宮まで来てちょーだい」


 会話の流れから、いきなりの王宮連行だった。

 有無は言わせないらしい。

 さっき見たステータス差を考えると、抵抗するのは無駄と見た。

 あー、これからどうしよう。何も考えてないんだよなー。



◇◇◇◇◇◇



 しばらく森の中を歩いていたら、ようやく、お目当ての坊やを発見だ!

 うん、どうっからどう見てもエルフの坊やだよ。じゅるり。

 こういう子って、か・わ・い・い・んだよねー。


 うーん、何だがソルっちがやってくるのを待ち受けていた感じがするにゃー。

 おうっふ。そんなにじろじろ見ちゃいやーん。

 で、挨拶したら、かわいく噛んじゃって、このう、もう、お持ち帰りしたいー。

 ……で、ステータスについて聞かれた。




 何言ってるんだ?こいつ。

 ステータスって言われても、意味が分からない。

 私、これでも、世界最高峰の賢者様だ。

 知識として知らないことはないと言っていい。

 その私が理解できないことをこいつは言っている。

 危険信号が鳴り響いた。




 その後、私の全身を舐めつくすように、舐めまわすように、犯すようにくまなく視尽くされた。

 正直に言おう。

 ものすごく気分が悪い。

 こんな屈辱は初めてだ。

 猫を被る?

 出来るかよ!

 でも、我慢に我慢を重ねて、猫を被る。

 強いのかと聞かれたが、それだけ私のことを犯したくせに、いまさら何を言いやがるのか?

 イラっとしたので教えない。

 こいつは、今のうちに葬り去るべきだ。

 この世界に異物は不要だ。



 殺す!

 絶対に殺す!

 でも、万が一殺しきれなかったらどうする?

 保険を掛けよう。

 王宮の地下の神殿に誘導する。

 そこで、まず殺す。

 そして、封印を掛ける。

 殺せなかったら?

 そのまま封印を掛ける。

 念には念を入れて、

 神の英知を用いて、

 彼の存在を封じ込めよう。

 生きたまま、永遠に。

 そうなったら、もう絶対に殺してあげない。

 殺すなんて慈悲は1度きりだ。

 そう決意した。



 私?

 私は、『笑う赤の』ソルフェリノ。

 笑いの裏には、憤怒だって隠れている。




◇◇◇◇◇◇




「アンリはどうして、こんな所に一人でいたのかにゃ?」


 ソルフェリノが聞いてくる。

 あれ?神様曰く、ソルフェリノはお伴だって言ってたよな?

 何したって問題ないんだよな?


「両親が死んじゃったから、一人で生きていたんだ」

「ふーん、タイヘンダッタンダネー」


 プロフ欄に書いてあったことを話したら、棒読みで返された。何故だ?


「これからおねーさんが面倒見てあげるから、安心したらいいんだよ~」


 今の俺の見た目から言えば、皆おねーさんだな。


「これから行く王宮ってどんなところなの?」


 分からなかったので聞いてみたら、じろりと見られた。


「ふーん、この国に住んでて知らないんだ。クリスタパラスト(水晶王宮)、聞いたことないのかにゃ?」


 聞いたことないに決まってる。

 あー、こんな時オンラインヘルプとかポップアップヘルプがあればすぐに分かるんだけどな。システムにインストールされてないんだよな。こういう所が不便なんだよ。

 ……後から考えれば、ボーナスポイント使ってでも、最初にオンラインヘルプ機能を実装しとくべきだった。



 森に住んでいるのに、おのぼりさんな俺。

 お伴と言うぐらいだから、絶対に俺の意に反するようなことはしないと思いこんでいた俺。


 ソルフェリノに連れられてしばらく歩くと、大きな建物が見えてきた。

 中世チックな芸術性の高い王城だ。

 ただ、何だか見た目がおかしい。

 ああ、裏側から見てるからだな。

 向こう側が正面で、今は裏側から来ているのでその建物の本来の美しさを鑑賞できないのだ。

 至極残念だ。

 ん?ここまでまっすぐに歩いて来たのに、王城の裏手に来た。

 と言うことは、今まで居たのは王城の裏の森……と言うことになる。

 お城の裏の森と言えば、大概王族の私有地だったり、国有地だったり、つまりは関係者お断りな場合が多い。

 そこにいて、王宮を知らないと俺は言った。

 おおっと、とても嫌な予感がしてきた。

 何か、とんでもないミスを犯したんじゃないのか?


「アンリ~こっちだよ~」


 ソルフェリノが俺のことを呼ぶ。

 王城の裏手には地下への入口もある。


「どうして、地下に行くの?」

「だってー、正面から入るわけにはいかないに決まってるよん。だって、キミ、不審者だよ~」


 確かにそっか、俺、不審者だもんな。

 彼女の口調に騙されて、彼女の瞳の奥にあるものに気付けなかった。


***


 地下に降りていく。

 ソルフェリノがランタンに灯した明かりで先導する。


「足元気をつけてね。暗いから」


 手掘りのトンネルのような感じの所を下ってゆく。

 ふと、虫の知らせを聞いた。


『1ポイントを使用して、HP最大値を+5し、全回復しますか?Y/N/D』

 ボタンが3つ現れた。

『はい』『いいえ』『遅延発動』


『遅延発動』を選択する。


『発動条件を決定して下さい』

『     』


 発動条件は自由に決められるようだ。


『発動条件を「HPが0になった瞬間」と定めます。24時間以内に発動しない場合ポイントは破棄され、キャンセルされます。よろしいでしょうか?Y/N』


『はい』を選択した。


『1ポイントを消費して、HPが0になった瞬間にHP最大値+5&全回復の効果を予約しました』


 ボーナスポイントは95から94になった。

 まだまだ余裕はある。

 たった1ポイントで保険を掛けられるのだ。

 24時間限定の掛け捨て型だが、これで安心できるね。



 命の保険をかけ終わった頃に、どうやら目的地に到着したようだ。

 地下深い空間なのだが、青白い光に満ちている。

 厳かな雰囲気の祭壇があったりしてきれいなものだ。

 天然の物ではない。

 明らかに人工的な場所だ。

 王国の秘事を行うための地下隠し神殿と言ったところか。

 転生していきなり連れられた先が、こういう場所と言うのはちょっと、いやかなり間違っている。

 僕、ナニモワルイコトシテナイヨー

 先導するように歩いていたソルフェリノがくるっと振り向く。

 いたずらっ子のような笑顔を浮かべていた。


「さあ、着いたよん☆ 拘束の腕(ホールド)


 いきなり、地中から伸びてきた土の腕が俺の両足をがっちりと拘束した。

 訳が分からない。

 拘束され動けない僕に向かってゆっくりと近寄ってくる。


「君ぃー、初対面でさんざんっぱらソルのこと犯し尽くしたよね。その視線で」


 は?犯す?

 いやいや、君は俺のタイプじゃねえよ。

 犯すかってんだ。


「屈辱だよ~。とっても屈辱だったんだよ~~」


 上っ面だけの声色でにじり寄ってくる。

 ……あの時、俺はソルフェリノを『鑑定』した。

 そして、そのステータスを『丸裸』にした。

 それだけだぞ?

 どうして鑑定しただけで屈辱を覚えられなきゃいけないんだよ!


「き~み~の~、の~う~りょ~く~は~、き~け~ん~、な~ん~だ~よ~ね~」


 目が全く笑っていない、軽薄な笑みを浮かべたその顔が、俺の目の前にどアップになった。


「死ね♪」


 素手で殴られる。

 躱せない。

 HPが半分ぐらい持ってかれた感じがした。

 痛いどころの話じゃない。

 頭は真っ白になっている。

 どうしたらいいのか分からない。


「よし!ダメージは通ってるようだね♪」


 目の前の赤い悪魔が嗤う。


「止めだよ★」


 悪魔が持つランタンから炎の嵐が巻き起こり、一瞬で俺の体を包み込んだ。


***


『発動条件を確認しました。HP最大値を+5し、全回復します』


 はははは。

 生きてる。

 正確には瞬間的に死んで、より硬くなって生き返ったようなものだ。

 炎の嵐から、無事、俺は生還した。


「ば、化け物……」


 目の前の悪魔が呆然と俺のことを見る。


「残念だったね。僕はそう簡単には死なないんだよ?」


 一度死んだせいで、束縛の効果も解除されている。

 今がチャンスか?

 でも、レベル差をどうする?

 そうだ、ボーナスポイントを……

 一瞬で目の前の悪魔は立ち直り、力ある言葉を叫んでいた。


鏡の封印(シュピーゲルシーゲル)!!」


 か、ら、だ、が、動、か、な、い。

 しー、げる……しーる?封印?

 ふざけるな!!!!!!

 今際の瞬間、目の前にメッセージウィンドウが現れた。



『50ポイントを使用して、神様影響完全排除を実行しますか?Y/N』




ここまでお読みくださり、ありがとうございます。


次話投稿は10/15(日)です。

次が最終回だよん。


ちなみに……

★ソルの性格はあれが素ですか?

強き者の義務ぐらいは分かってるよー


★ソルっちのステータスが……

冗談のように見えますが、それがソルっちクオリティ

ちなみに、本編ではわざと消していますが、スキル上限は(基本)10です。


★アンリの性格がひどいんですが

すべては本人の勘違いが原因です。なお、

「ファンタジー世界でよくある、冒険者が世界を救う物語」

のシャルトの章その2に出てきたアンリ君は性格矯正済みです☆


★本当に次話で終わるんですか?

終わります。この物語そのものに発展性はない!

その代わり……最終話の最後の文章読めば想像つきます。

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