承 鑑定スキルがない?ボーナスポイントでどうにかできますよね
好き勝手すると言ってる割には、アンリ君は慎重だ。
……何故って?ポイントがもったいないからだよ。使い切ったらおしまいなんだからね。(日本人的感覚)
『神様影響排除を実行しますか?Y/N』
『この効果は実行後、段階的に進行します。
選択直後:信仰魔法のうち強力なものが使用不可となり、
神様に関連付けされたアーティファクトの効果が無くなります
1日目午前0時:信仰魔法のうち中程度のものが使用不可となり、
神様に関連付けられたマジックアイテムがガラクタになります
2日目午前0時:全ての信仰魔法が使用不可となります
2日目午前6時:神様影響が完全に排除され、
関連する施設はすべて崩壊します』
『はい』『いいえ』のボタンが表示される。
いやいや、いいえですからね。
いいえのボタンに触れ、メッセージを消す。
とりあえず、ポイントショップでのお買い物は後でもいいかな。
「あーあーあー」
自分の声を確認するため発声してみた。
まぎれもなくショタ特有の高い声。まあ、エルフの子供なんだから仕方ないか。
元の世界では大学生だったから、俺自身の1人称は『俺』だったんだが、この声と背丈で俺呼びをすると、違和感が半端ない。
仕方ない、これからは『僕』にするかね。
まだ、人の姿は視界に入らない。
お迎えは本当に来るのかね?
まだまだ確認したいことがあるから、しばらく来なくてもいいんだよ?
で、次に確認するのはミッションウィンドウ。
覗いてみると、
<お勧めミッション>
<ミッション一覧>
<パッシブミッション>
<選択ミッション詳細>
という項目が並んでいる。
例えばこんな感じ。
※邪神狩り※
※アルメルドミジルの弱体化※
※モンスターを倒そう(パッシブ)※
さすがに、この世界に来たばっかりの俺にお勧めのミッションはない。
明らかに初心者向けのミッションがほとんどない。
と言うか、邪神狩りってなんだよ!
さっきのポイント特売で『神様影響排除』したら終わるんじゃね?
無難な所でモンスター討伐の内容を確認する。
タイトルに触れると選択ミッション詳細欄に追加情報が表示された。
※モンスターを倒そう(パッシブ)※
・このミッションはパッシブ型なので、受託する必要はありません。
・モンスター1体倒すごとに0.01ポイント入ります。
・ただし、複数人で対応した場合は頭割となりますので、
例えば5人パーティーで倒した場合は1体に付き0.002ポイント
となります。
・人間等に敵対し、脅威となり得るモンスターのみカウントします。
・通常ミッションにて別途討伐対象となるモンスターについての
重複カウントはありません。
パッシブ型だと、その内と言う展開になりそうだが、最低でも100体は倒さなきゃいけない。
モンスタースタンピードとかがあるのなら、結構サクサク貯まりそうなんだがどうだろう?
選択型の方も確認。
※アルメルドミジルの弱体化※
・推奨レベル:8
・報酬ポイント:成果に応じて8点~
・大陸東北部にある軍事国家アルメルドミジルが強い力を保ち、
周辺国家の脅威となっている。
間違っても、今以上に勢力圏を拡大されると困る。
・生かさず、殺さず、その勢力を削いでほしい。
・ただし、物理的壊滅は失敗と見なす。
さすがに、それはパワーバランス的に悪手なので。
難易度の高い依頼だな、おい?
にしては、推奨レベルが8とは……
待てよ?
ボーナスポイントは100。
1ポイントで1レベル上がるんだから、たったの10ポイントで10レベル、20ポイントで20レベルになるんだから、楽勝なのか?
……いや、まだだ。この世界の人と接触してからにしよう。
******
森の危機の間から、赤い物がチラリと見え始めた。
ひょこひょことこちらにやってくる。
あれは、ハーフエルフの女の子だな。
明るい赤い髪に、人懐っこい笑顔。
動きやすい革鎧を身につけている。
とりあえず、何があるか分からないからウィンドウを閉じてから、待ち受けよう。
「こんにちわだよーん。君が、迷い子かな?」
いきなり、へんてこ口調キター。
なんだよ?俺の理想は全無視かよ。
「うん。この森で迷っちゃったんだ」
とにかく演技をしないとな。今は立派なショタエルフなのだ。
「ソルが君のこと保護しちゃおうっかなーって思うんだけど、いいよね☆」
このハーフエルフ、いきなり断定できやがった。
保護される1択かよ。
されるしかないけどな。
「いいよ。よろしくおねがいちます」
あ、噛んだ。
「君ぃー、なかなかかわいい真似するにゃー」
うわあ。駄目エルフなのか。
「僕、アンリって言うんだ。君の名は?」
「ソルはね、ソルフェリノって言うの。見ての通りのハーフエルフだよん」
そうか、ソルフェリノって言うのか。
じゃあ、さっそく彼女のステータスを拝見……
拝見したいんだが……
しーん
「ソルフェリノって、どんなステータスなの?」
仕方が無いので聞いてみた。
「すてーたす?何それ?おいしいの?」
え?
「え?筋力とか、知性とか、ヒットポイントとか、職業スキルレベルとか、あるでしょ?」
「ソルには、アンリが何言ってるのか分からないにゃー。いろいろ魔法は使えるよん☆でも、……どゆこと?」
嘘だろおい。
確かに、神様には、ルールが違うとは言われたが……。
なら、鑑定だ!鑑定。
……どうやって鑑定するんだ?
「ち、ちょっと待って」
ソルフェリノをステイさせて、こそこそっとウィンドウを立ち上げる。
ポイントショップのタブに移動し、検索窓に『鑑定』と入力し検索を掛ける。
ヒットした。
結果が表示される。
『・例外処理:鑑定 5ポイント/回・人 その場限りです。
鑑定後にステータスが変わってもアップデートされません
・お伴ステータス表示 20ポイント お伴タブを追加し、
お伴となったキャラクターの現ステータスを表示する
・特殊スキル追加:鑑定 40ポイント アンリのみ有効
レベル6固定 鑑定範囲は能力値・HP・MP・職業スキル
及びそのレベル・一般スキル及びそのレベルまで
・ルール変更:鑑定の水晶球 基本100ポイント
遺跡からの発掘アイテムとして鑑定の水晶球を登場させる。
ただし、このアイテムを用いた鑑定しかできない。
・ルール変更:鑑定 基本1000ポイント
鑑定をスキルとして普遍化する』
鑑定を取り入れると、大きなルール変更になるようだ。結構半端ない。今のポイントは100しかないのだ。無理はしたくない。確か、ソルフェリノはお伴になるから、『お伴ステータス表示』を追加すれば彼女のステータスは確認できる。それでも20ポイントだ。1回限りの鑑定でも5ポイント持っていかれる。
おう、ここは慎重に行こうぜ!
『5ポイントを支払い、ソルフェリノのステータスを鑑定しますか?Y/N』
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
次話投稿は、10/14(土)の夜です。実はまだ完成してないので、頑張って書きます。
4話完結の承の部分です。
次話冒頭、本人無自覚のままアンリ君はやらかします。
次話の後半あたりからが怒涛の展開(と言うか、後2話で終わります)
あらすじで煽り気味ですが、4話で終わる=一発ネタですからね。




