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超短編小説「けんかおしどり」

 ここはいったいどこなのか、私はどこから来たのか、自分の年齢もおぼろげで、ひどく不安だ。ただ、周りの若い人たちがとても優しくしてくれるから、ありがたいと心から思う。


 若い人が私の事を「おばあちゃん」と呼ぶ。ふと自分の手をみるとシミだらけで皺くちゃ。本当におばあちゃんみたいだ。「おばあちゃん」と呼ぶ声の中に、一人だけ年を取った男の人がいる。あなただっておじいちゃんじゃない。と、腹が立ったが、この人が近くにいると何故か安心する。


 たくさんケンカをして何度も泣いて、悲しくて悔しいという気持ちがどこからか沸き上がり、どうにも憎らしい奴だと思うのに「わしのことも、わからんくなってしもうたんか」と、無邪気に笑うこの人の顔を眺めると、心の底から思う。


 あなたより一日だけでいいから永く生きたい。どこのどなたか分かりませんが、あなたは私がいないと何もできない人なのだから。


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― 新着の感想 ―
[一言] さくさくっと読みすごしてしまいそうだったけれども ラスト一行にドキッとしました。 仕事柄、認知症の人と話したりするんですが あくまでも電話での遣り取りなのですけれども、結構ハッキリシャキシ…
[良い点] この短い文章の中に感動が凝縮されてるところ。 [気になる点] 特にないのですが、強いて言うのであれば短すぎるところでしょうか。 良い作品だからこそ、もう少し読んでいたかったです。 [一言…
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