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魔王聖女  作者: 未羊


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第23話 分からせをする元魔王

「よく来たな。今代の聖女とその護衛たる聖騎士よ」


 部屋に入ると、国王が正面で待ち構えていた。

 その態度はさすがというくらいに堂々としている。

 国王というのはこのくらいでなければ務まらないものだ。アリエスもかつて魔王として君臨していたので、この辺りはすぐに理解できるというものである。


「それにしても、着飾ってはいるが根本はやはりみすぼらしいものよな。出自が分からぬとは聞いておったが、ここまで覇気を感じぬもとはな」


 国王があごに手を当てながら喋っているが、この言葉にアリエスはカチンときてしまう。

 それもそうだ。アリエスは元魔王である。覇気についてはそれこそ誰にも負けないものを備えていたつもりだから、こんな風に言われるのは心外というものなのだ。

 とはいえ、相手は国王であるために、アリエスもカプリナも黙って話を聞いている。


「父上、このような貧弱な者に、国の命運を預けてもよろしいのでしょうか」


 第一王子と思われる長身の少年が、なにやら文句を言っているようだ。

 この言い分には、アリエスはちょっと苛立ちを覚えている。


(見た目の印象というのは確かに重要だが、ここまで露骨に見た目だけで判断するとは、こやつらの目は節穴か?)


 目の前のちょっとしたやり取りで、アリエスの中での国王たちの評価はがた落ちである。

 そこに、黙っていられなかったのか護衛を務めていた騎士が歩み出てくる。まさかここにも来ているとは思わなかった。


「お言葉でございますが、国王陛下」


「うん、どうしたというのだ、オウルス」


 護衛騎士の隊長に説明を求めている。

 国王に尋ねられたオウルスと呼ばれた護衛騎士は、アリエスについて語り始めた。


「聖女アリエス様は、とてつもなく強い力をお持ちでございます。我らが手を焼いた魔物たちですら、一瞬で討伐したり追い払ったりできるだけの実力がございます。それに、魔物を改心させて配下におさめることもできるのです」


「魔物を、配下にだと?」


 魔物を支配下に置いたという話を聞いて、国王の顔色が一変する。

 同時に、その場を支配している空気も一変する。

 オウルスとその部下である騎士たちを除いた衛兵たちは、アリエスたちに敵意を見せ始めたのだ。


「ぐぬぬぬ、このまま我々の支配下において、国のために役立ってもらおうと思ったのだが、魔物を使役するとなれば話は別だ。悪いが、今ここで痛めつけさせてもらおう」


「陛下、本気でございますか?! デビュタントを迎えたばかりの少女たちに、その仕打ちはいくらなんでもむごすぎます!」


 オウルスは国王に意見している。


「オウルス、お前は死ぬか?」


「いえ、死にません。陛下たち王族の盾となるのが、我ら護衛騎士。ですが、聞ける命令と聞けぬ命令がございます。今回は聞けぬ命令でございます!」


 オウルスはアリエスたちの前に立ち、必死にかばっている。


「大丈夫ですよ、オウルスさん。この程度の脅しが私たちに聞くと思っていらっしゃるのでしたら、陛下たちはしょせん小物というものです。護る価値もありません」


「おのれ、小娘が!」


 アリエスの言い放った言葉に、国王は完全に激怒している。


「サハー、スラリー!」


「お呼びでしょうか、アリエス様」


「ありえすさま、よんだ。すらりー、がんばる」


 アリエスの声に応えて、部屋で待機していたはずのサハーとスラリーが、国王の部屋にどこからともなく入り込んできた。


「スラリーはカプリナ様の護衛を。サハーは私と一緒に国王たちを無力化します」


「つまり、殺さずにおとなしくさせるってことか。やってやりますぜ」


 アリエスの命令をすぐに理解してしまうサハーである。ただのフィシェギルとは違うのだよ。


「なっ、逆らうというのか?!」


 国王は驚き戸惑っている。


「そちらが先にケンカを吹っかけてきたのです。私はそれに応じたにすぎません。といいますか、すでに私の術中に落ちているのですけれどね」


「なに?!」


 国王たちが自分の足元を見る。

 グレイウルフとアルミラージの群れを相手に使った、植物の根を絡ませる魔法をすでに展開していたのだ。


「ぐっ、動けぬ……」


 始める前からすでに勝負はついていた。


「おい、俺の出番は最初からなかったじゃねえかよ」


「いえ、出番はこれからあります。ご安心なさい」


「まったく、これだからアリエス様はよ……」


 サハーは張り切っただけ無駄だったと、アリエスの行動に対して呆れ返っていた。

 しかし、これでアリエスとサハーたちとの間でしっかりとした関係が築かれているという証明にはなったはずである。

 完全に無力化に成功したアリエスは、国王の方へと視線を向ける。


「このような力を持っておりますけれど、私の役目は聖女としてみなさまをお守りすること。きちんと役目は果たしますのでご安心を」


 だが、そのアリエスの視線は、どこか見下したようなものだった。

 そのためか、国王は悔しそうに歯ぎしりをしている。


「まったく、私の体型も知らずにドレスを作ったり、力でいうことを聞かせようとしたり、あなた方は何をなさるおつもりなのですか」


 いうことを聞かせるつもりだった国王たちは、逆にアリエスに分からされてしまう。

 国王たちに説教を始めたアリエスの姿に、カプリナは呆然とした状態で様子を見守っていたのだった。

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