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魔王聖女  作者: 未羊


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第129話 最大の秘密をぶちまける元魔王

「よく来たな、サンカサスの聖女アリエスよ」


 立ち上がった国王がアリエスに声をかけている。


「はい、国王陛下。訪問を快く受けて入れて下さり、感謝致します」


 アリエスは深く頭を下げる。


「どうやら魔族がいるようだが、本日の用件はそれに関連したことのようだな」


「その通りでございます」


 アリエスが答えると、国王の目がパイシズに向けられる。


「その方、名を何と申す」


「はい。私は魔王軍参謀でパイシズと申します。この度は、我が軍をまとめる者の暴走により、貴国にご迷惑をおかけしたことを心より深くおわび申し上げます」


 パイシズは名乗りの後、ものすごく丁寧に謝罪を入れている。

 この光景には、謁見の間に集まった者たちがものすごく戸惑っているようである。魔族が人間相手に頭を下げるということ自体が信じられないからである。


「謝罪は受け入れよう。ということは、今回は和平協議というのは事実ということでよいわけだな」


「はい、その通りでございます」


 国王が確認をしてくるので、アリエスがはっきりと答えている。


「人間側からは到底理解できないでしょうが、私どもは十三年前、以前の魔王様が倒されるまではその方向でいたのです。ですが、その時に魔王様が聖女に殺された際に出てきた者のせいで、その方向性が一時的に逆方向になってしまったのですよ」


「それが、あのラースとかいうオーガなのか」


「はい、その通りです」


 知らない間に段の下の国王側に移動していたヴァコルから確認をされて、パイシズは間髪入れずに肯定していた。


「あのラースは、元より魔王の座を狙っておりましたからな。魔王様が私どもも逃がした後、再び城に戻るまでの間に、あの男は魔王の座を奪い取っていたのです」


「ふむ。そちらの事情は分かったのだが、こちらとしては魔族を受け入れるというわけにはいかない。過去の魔族たちが何をしてきたのか、忘れたとは言わせぬぞ」


「それも重々承知しておりますとも」


 国王から投げられた言葉を、パイシズは静かに受け止めている。

 実際、これまでにも何度も攻めこんだり攻め込まれたりを繰り返していたのだから。ここ一年内でもアリエスのことを狙った襲撃があったのだから、パイシズは反論できないのである。


「ですが、その風向きも完全に変わる時が来たのです。私が本日、ここに来れたように」


 パイシズは力強く訴えていた。

 だが、国王の方は冷ややかである。


「聖女アリエス、そなたからは言葉はあるか?」


「はい、国王陛下」


 国王に声をかけられて、アリエスはカプリナの方を見る。


「スラリー、出てきなさい」


 アリエスが声をかけると、カプリナのマントに化けていたスラリーが姿を見せる。


「ありえすさま、およびですか?」


「なんだ。以前に見たことのあるスライムではないか」


 さすがに一度見たことのある国王は冷静だった。


「スライムが喋っている?」


「というか、どこから現れたんだ?」


 ところが、知らない兵士たちも結構いたようで、謁見の間の中は騒めいている。


「うおっほん!」


 国王がわざとらしい咳払いをすると、兵士たちの声がぴたりとやむ。


「国王陛下がご存じの通り、私には魔物を従える力があります。このスラリーも、私の言うことはよく聞いてくれます。もちろん、カプリナ様の命令もございます」


「ふむ……」


 アリエスの話に、国王は小さく頷いている。

 だが、アリエスの話はこれだけでは終わらなかった。


「ですが、実はこれには別の理由がございまして、今回はそのことも含めてこの交渉の場に臨まさせていただいております」


 続けて行われたアリエスの発言に、兵士たちが再びざわざわし始める。

 アリエスが話す、別の理由というものが気になって仕方ないのである。


「ほう、それはどういうものなのかな?」


「アリエス様、本当に話されるのですか?」


「ありえすさま、きけん。すらりー、おすすめ、しない」


 カプリナもスラリーも心配そうにアリエスのことを見ている。

 ところが、それに対してのアリエスの返事は、実ににこやかな笑顔だった。まるで何も心配はいらないと言っているような笑顔である。アリエスには、それだけの自信があるということなのだろう。


「カプリナとそのスラリーというものは止めようとしているようだな。だが、それでも話すというのか?」


「話す選択肢しかございませんよ。だって、それこそが魔族との和平における最大の根拠なのですからね」


 アリエスは自信たっぷりである。


「驚かれるのは分かっています。ですが、あえてその情報を私は出します。だって、人間も魔族も、私にとっては大切な方々ですから」


 アリエスははっきりと言い放っている。


「では、その根拠を聞かせてもらおうか」


 国王から催促される。

 その言葉を受け、アリエスは一度呼吸をしっかり整える。おそらく、今一番の緊張だろう。

 覚悟を決めたアリエスは、国王の顔をしっかりと見て最大の根拠とやらを言い放つ。


「私、サンカサスの聖女アリエスは、十三年前に聖女キャサリーン様たちの手によって討たれた魔王の生まれ変わりなのです!」

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