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幻想図書~orphic archive~  作者: No-Text
第一冊:白金の装飾が施された聖剣の表紙を持つ本
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迷宮攻略(下)

 長く豪華な廊下を足早に歩く音が響く……少し乱暴な足取りで豪華な衣装を身に纏った金髪の少年は同じく豪華な衣装を身に纏い王冠を被った金髪の青年を呼び止めた。

「兄様!やはり納得いきません!あのような何処の馬の骨とも知れぬ者達に我が国の命運を託すなど!」

「またその話か?これは俺の決定だ、覆ることはないよ」

「だからといって国外からの者まで招集することはないでしょう!?せめて聖槍に選ばれた者を入れなければ王族としての面子が……」

「ユーリ、この話は終わりだ……いいね?」

 必死に訴えかける少年を落ち着いた……しかし冷たい声色で制し、青年は執務室へと戻って行く。

「……っ!!」

 少年は拳を固く握りしめ、また何処かへと歩みを進めていった。

 剣を構える、目の前には暗闇で全容が見えない魔物が複数……グリーヴァさんが言うには月の魔狼(ルナリィ・ウルフ)と呼ばれているらしいそれと俺達は相対する。

「……」

 洞窟内部は非常に狭い、ある程度動き回る広さはあれどこの人数だとリーチの長さはむしろ欠点になる……とヴィオさんから以前聞いたことがある。

 俺の聖剣は形状がロングソード程度の長さがあるから周りに気を付けなければ大きな隙を晒しかねない。その点で言えば戦斧が主武装のヴィジャリさんの身のこなしは凄まじいの一言に尽きる、この地形であのサイズの斧を振り回して危なげが一切ない。

「魔導師は術で援護!聖女ちゃんはいざってときの回復頼むよ!少年、アタシに続きな!」

 簡潔に指示だけ終えたヴィジャリさんが狼に突っ込んでいく、と同時に相手はヴィジャリさんを囲むように展開して襲いかかる。とはいえ流石は闘技場で戦い抜いた戦士、石突を地面に突き刺し一匹を蹴り上げると同時にポールダンスのように柄で体勢を変え狼の同時攻撃を回避していた。

 俺も負けじと狼に一撃入れるもののロングソードのリーチでは本当に戦いずらい、壁や天井に当たることなく綺麗に首を断ち切ることができた。

「少年後ろ!」

 そうヴィジャリさんの声が聞こえた瞬間背中に大きな衝撃と鋭い痛みが走りその場に倒れ込んでしまう、痛い、痛いいたい、背中が熱い、思考がまとまらない……身体は動かない、押さえつけられてる?ヴィジャリさんの方は4体に囲まれていて流石に助けに入れそうにない、死ぬ?ここで?


「フレアショット」


声が響くと同時に背中にのし掛かっていた重圧が一気に消え去る、そしてそれに続くようなヴィジャリさんの声が響くと同時に俺は後ろにいた二人の元へと戻った。

「ヒッ……い、いまかいふくします……」

「アリウス君、大丈夫……?」

 俺の傷を見て軽く悲鳴を上げつつ回復の祈祷を唱え始めるリエナと恐らく俺を救ってくれたであろうグリーヴァさんの声が響く、ジクジクとした痛みが未だに背中を広がっているがまだ動ける、まだ生きている……なら大丈夫。

「大丈夫、です……いけます」

「回復終わりました」

「はやい、ね?」

「神様の声が聞こえるので」

「おもしろい、子だね」

 動けるなら戦線に復帰できる、ヴィジャリさん一人ではジリ貧だろう。大丈夫、次はしっかりやれる……そう意気込んでまな前線へと戻りヴィジャリさんを攻撃しようとしている狼を切りつけて倒す。

「よし戻ったね少年!戦闘はやるかやられるかだよ!生き残りたきゃ剣に固執しない!」

言いながら戦斧を手放しナイフで狼の首元を滅多刺しにしていたヴィジャリさんの姿は説得力の塊だった。

「!……わかりました!」

 流石にすぐに実践するのは難しいけれど剣の使い方は斬るだけじゃない、それを思い出せただけでもあの人には感謝しなければ。また後ろから狼が襲いかかってくるが今度は剣の柄頭で思いっきり頭を殴り付けて事なきを得られた。学ぶことは多い、先達はやっぱり偉大だ。

 そうこうしているうちに月の魔狼(ルナリィ・ウルフ)の群れは殲滅できた、流石に疲れたけれど確かに学びはあった。それに、ヴィジャリさんやリエナ、グリーヴァさんを守るために剣を振るう度に鍔の装飾が少し光った……護り抜く覚悟はあるか、あの時聖剣はそう語りかけた、もしかしたらこの剣は守るために振るう剣なのかもしれない。

「一通り終わったみたいだね」

「すこし、危うかったけど、なんとか、なったね……」

「つかれました……」

「少し休んでから階層主と戦ってみるッスよ、そこで少しは勇者の力について考えてみてくださいッス」

「簡単に言ってくれるなぁ……」

 でもこの戦いで俺はある程度聖剣の力について理解はできた、他の人はどうかわからないけれどこの迷宮攻略で何かはつかめるかもしれない。

「よし、このまま最下層まで進もう!」

「あ、それは無理ッス、一層の主終わったらすぐ帰還ッスよ」

「え?」

 気合いを入れ直した直後のヨークさんの発言に俺は間の抜けた返答をしてしまった、一層で終わりなんだ……そっか……

「流石に最下層はアタシも無理だよ、あきらめな少年」

「迷宮の攻略は、何年もかけて、ちょっとずつすすむもの、すぐに最下層は……いけないよ」

 二人にまで諌められたら流石に納得せざるを得ない……出鼻を挫かれたところで俺達は少し休憩を取って階層主へ挑戦することにした。

◇御伽の勇者と聖槍

 聖槍は御伽の勇者が用いたって言われてるハルバードのことだね、炎を自在に操る力を持っていると言われているけれど王族の中でも選ばれる人はごく稀らしいよ。

 より信念の強い者を好むって言われてるらしいけど聖具ってのは選り好みの気が強いんだねぇ……それで大変なことになる事例もしばしばあるらしいから気を付けなきゃね。

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