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新入部員


 「華蓮!おはよ。今日も元気もりもり森万!」

 「・・お~。」

 「なに~?その元気のなさ。いつもならこの台詞はあんたが言うのに・・。」


登校途中に、いつもこの酒屋の前でカンちゃんに会う。そう、カンちゃんの家はこの酒屋。親戚の家らしい。カンちゃんの両親は海外ドイツで仕事をしているため、時々しか日本に帰って来ない。だから、普段は学校に近い、親戚の家に下宿させてもらっているらしい。

中学校の時からそうだったな。私は中学入学と同時に、この町にやってきた。ここまでカンちゃんと親しくなったのは、家が近かったのもあるのだろう。


「元気も無くなるよ。あの担任じゃさ。」

「何もそこまで毛嫌いすることないじゃない。ラリーアットされたくらいで。顔はいいんだし、いっそのこと仲良くなっちゃえばいいじゃん。」

「顔はいいって、それにみんな騙されるんだよ。だいたい、あのおっさんのどこがかっこいいんだ!?それに・・・今までの教師となんか雰囲気違うし・・。」

「べつに、雰囲気違うからって、何か害があるわけでもないでしょ?」

「・・・。私たちの活動を邪魔されたらどうすんだ。」

「えっ。それはいやだ。」


私たちの活動(例の係り)は、あくまで部活のようなものとしてやってきた。いまだに部員数は増えないが、今年こそ新入部員をゲット!と、意気込む私たちを、あいつに邪魔されたらどうする!?


「新入部員どころじゃなくなるね。」

「唯一の青春が奪われる・・・。」


別に、あいつにかぎって邪魔をされるわけじゃないけど、担任で、監視しやすい立場にあるら・・・。


「「はぁ~・・・。」」


そんなはなしをしているうちに、学校に着いてしまった。


「近すぎるって言うのも・・また一つの悩みだね~。」

「贅沢な悩み・・・。」


私がこの学校を選んだ理由は、立地条件がいいから。(近かったからともいう)家から歩いて5分以内。

 

 ここ、県立西那高校は、県内2位の学力を誇る進学校だ。ここに来る事を夢にする子も少なくない。そのため結構遠くから来る子もいる。

だからこの学校の生徒は、朝から疲れきった顔の人が少なくない。特に通いなれない1年生は・・。


「おはようございます!先輩!」


通いなれない1年から、いきなり後ろから挨拶されたのでびっくりした。


「あ、あぁ。おはよ。」


どうやら周りがさわがしい。・・・私たち、注目されてる?


「あれって、昨日の人だよね!」

「あっ!本当だ!」

「すげ~よな。始業式であんなことやるなんて。」

「あれ、教頭先生の頭、拭こうとしたんだって。」


1年は私たちの話で持ちきりのようだ。ふっ・・有名人に、なっちゃった?もしかして。


「おい。カンちゃん。面白がって、入部したい奴、来そうじゃない?」

「・・・。どうだろ?」


 

 放課後ー。

今日は半日授業だったので、ほとんどの人は、午後から部活で、教室を出て行く。

私はカンちゃんと一緒に購買のパンを教室で食べていた。


「おい、吉田。今日も活動してくのか?」


クラスメイトの仙崎くんに話しかけられた。


「ん?もちろんだよ。これがなきゃ、今は生きてられないね。」

「そうか(笑)。しかし、よくやるよ。まぁ、君たち見てると楽しいけど。」

「見物料とるぞ。よくやるよって、頼んでくるのは、そちらさんでしょ?」

「まぁ、そうだが・・。処分を受けない程度にやっとけよ。」

「ご心配どうも。」


千崎くんは教室を出て行った。あの子はよくこの部のことを心配してくれる。が、入部してくれない。まぁ、剣道が強いから頑張ってるんだろうなぁ~。


「ねぇ、今日なにやる?」

「とりあえず、教頭の頭の臭いが治まったかの確認と、・・・いや、それだけか・・・。」

「・・・。」

「どうしたの?」

「渋沢先生、今日なにもしてこなかったじゃん。」

「確かに・・、別にこっちを気にしてる様でもなかったし。。ただの思い過ごしかな・・。」

「きっとそうだよ。華蓮はいつも考えすぎ!」

「そっそうかなぁ~?でも今日は二日目だし・・・」


私が言い訳しようとした時、教室のドアが開く音がした。そちらに目をやってみると、


「しっ失礼します!ぁ、あの、吉田先輩と、神田先輩って・・・。」

「私たちだよ。」


カンちゃんが手を振る。その子は緊張しきった様子だ。何をしに来たんだろ。


「どうしたの?」

「えっ、えっと、、その、先輩たちの活動の内容を、詳しく知りたいな~って思って・・」


なんと!入部希望者!?いきなりか!?いきなりゲットだぜ!!

夢にまで見た新入部員。逃すわけにはいかない!


「マジで!?入部?入るのね?じゃあ、ここに名前と、クラスと、電話番号書いて!!」

「私たちの電話番号これだから!よろしく!」

「あああの、その前に、内容を聞こうと・・・」

「内容?ああ、あそこに置いてある箱とか、机の中に、みんなからの要望が書いてある紙が入ってるから、その内容を見て、それを私たちが支援するんだよ。ジャンルを問わずね。」

「は、はぁ。活動は、どれくらいの頻度でやってますか?」

「頻度?頻度ね~・・・手紙の数にもよるけど・・・マア、土日はほとんどないよ。」

「そうなんですか・・・。」

「名前は?なんていうの?」

「・・荒城 竜也っていいます。」

「竜也君ね。私は、知ってのとおり、吉田華蓮。こっちは、・・」

「神田千沙だよ。よろしくね。」

「よ、よろしくおねがいします。」


荒城竜也くん・・ちょっと線が細いけど、十二分にあなたの能力使わせてもらえますよ~。


「じゃあ、さっそくだけど、やることがあるので・・・。」

「えぇ!?まだ入るとは・・言ってない・・」

「えっ?よく聞こえないから、その発言却下。」

「よろしくお願いしますって言ったじゃん。」

「言いましたけど・・・それは・・・。」


(半ば強制で)新しく部員となった、竜也君。初任務は早々に・・・。


「Commander.This is Tatu.I discover a target.(先輩!こちら竜也です。教頭を発見しました。)」

「Roger.Start mission.(わかった。任務を開始せよ。)」

「Be careful,Tatu!(気をつけろ竜也君!)直接嗅ぐなよ!手で仰いで嗅ぐんだ。」


携帯電話って、私の事情関係なしに鳴るから、あんまり好きじゃないけど・・・、こういうときは役に立つな~。電話代がかかるって?それが、みんな同じ機種だったんだよ~。ラッキー。あっ、英語で話してるのは、単に私が、戦闘機パイロットみたいな通信がしたい!って、言ったから。英語の勉強にもなって、一石二鳥!


「Roger.一旦切ります。」


切ります、といってもしゃべらないだけ。この学校は基本、携帯電話の使用は禁止されている。(持ち込みはいいけど)

使ってるところを先生に見つかったら、取り上げられちゃうからね。


「Smell checked.(臭い確認しました。)先輩たちが言っていたより、臭いが治まったようです。」

「Really?The mission is compiete.Please,come back.(ほんと?任務完了。戻ってきて!)」

「Roger.(了解です)」

 

 ふぃ~~っ。これで苦情も無くなるだろう。


「よかったね。校長先生は偉大だな。」

「そうだね。今回も難なく解決!」


私たちは安堵の息をついた。しかし、そこで油断は禁物だった。


「Excuese me?The mission is compiete,isn't you?It's wonderful!(すいません。君たち、任務を完遂したんだって?すごい

じゃない!)」


突然聞こえた声。それは電話からの声じゃなく、実にリアルに、私たちの後ろから聞こえた。

                   

                ゴクッ。


「さっ,Thanks.」


私は後ろを振り返ることができず、その相手に背を向けたまま言った。


「What missoin ?(どんな任務?)」


答えられるわけがない。私はカンちゃんと顔を見合わせた。するとカンちゃんがうなずく。逃げるぞ!5、4、3、2、1・・・


「「GO!!」」ダッシュ!!!

「Tatu!!Run!Run!(竜也君!逃げろ!逃げるんだ!)」

「Say again?(な、どうしました?)」

「待てこら~~~!!!」


後ろから追ってくる影、それは渋沢先生だった。


「なんであいつがいるんだ~!!??」

「こっちが聞きたいよ!!」

「お前たち、逃げたってどうせ一緒だぞ!」


そんなことを言われたときにはもう遅かった。前から走ってきた竜也君とぶつかり、目の前が真っ白になった。

 

二話目投稿!読んでいただいた方に感謝。

楽しい学校生活の中にもそれを脅かす黒い影(笑)。

新キャラが登場しました。仙崎君のほうはこれから活躍させるつもりです。かっこよく。

まだまだコメディーな感じですが、これから思わぬ方向に!って感じで書いていきます。

次回もお楽しみに。

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