天敵現る
この小説に興味を持っていただき感謝です。
さて、この小説は、私の主観的で、偏見があるかもしれません。(世界の国々についての)しかし、あくまで一作品として読んで頂ければ幸いです。
序章
「私たち、もう高校2年生なんだんね。」
「アア。早く過ぎちまうもんだぜ。人生ってのは。」
ふっ・・・と大人じみた笑い方をするのにはまだ少し早すぎたか・・・
私たちはとりにいく!あれを!あれを取れれば、希望に満ち満ちた世界へ・・・
いくぞ!!
「うぉおおおお~~~!!!」
それはそれは、あったかい日だった・・桜も私たちにエールを送ってくれてる・・・そんな気がしたんだ。
私たちはいっきに駆け出した。テカテカと輝くそれに・・。
それを思い立ったのは、実に些細なことだった。
「教頭の頭は・・ポマードくさい!」
っと、言う苦情が、私ら(県立西那高校 学生支援・環境係り)に殺到した。
*学生支援・環境係とは、まあ、一言で言ってしまえば、学校生活面白おかしくしちゃいましょう!係。
目安箱に、私たちの机に、家のポストまで・・苦情の手紙でたくさん溢れかえった。
「これじゃあ私たちが普通の生活送れないよ!」
「まったくだ。机とか・・用具が入らないよ!ちっ!・・・こうなったら・・。」
「こうなったら?」
「拭き取ってやる~~~~~~~!!!!!!!!」
「えっ!?ポマードを?」
「Yes.ポマ~ド。」
「ティッシュで?」
「ばかもん!ティッシュだと手に滲みてきて付いちゃうかもしれないだろ!雑巾だ!雑巾で特攻よーい!」
すると、まわりでこの話を聞いていた生徒が、大慌てで雑巾を取りにかかった。
「いつやんの?いまから?」
冷静にたずねてくるのは、カンちゃん。中学生からの居なくてはならない大親友。今の私がいるのは、このカンちゃんがいたから
と言っても過言ではないだろう。
「あたまえよ!善は急げだっ!」
「でも今日から教頭出張じゃん。明後日まで。」
「え゛っ、マジ?」
周りにいた生徒が一瞬固まった。明後日は、ちょうど終了式なのだ。
「知らなかったの?一昨日説教うけたときに職員室の黒板に書いてあったでしょ。」
「そんなとこ見てないよ・・てかタイミング悪っ!」
ため息が教室に充満する。
そのため息とは裏腹に、私は良いこと(世間では悪いこととも言う)を思いつき、おもわず顔がにやけてしまう。
「・・始業式だ。」
「えっ?」
「こうなったら、始業式の日に、大衆のまえで赤っ恥かかせてやる!」
「こうなったらって、どうなったの?」
「作戦名、ポマードふきふき作戦!日にち、4月6日!時刻、10:00時!作戦決行!」おぉ~!
こんな感じで、ポマードふきふき作戦は段取りされた。
その日だって、・・・うまくいってたんだ。・・・あいつさえ、この学校に転任してこなければ・・・。
メモリーはすぐそばに・・・
第1章 天敵現る
・・説教のため校長室にて待機中。。
例の作戦は、今、目の前にいる他の高校から転任してきた教師のせいで、あえなく撃沈。
(誰だ、こいつ。)
(知らないよ。転任してきた人なんて・・・)
こそこそと話していると・・
「おい。」
∑びくっ!
「おまえら、何年何組だ。」
「二年E組です・・・。」
「ふっ。そうか・・・。」
なんですか!?今の鼻笑いは!気味悪り~な。おい。
そんなことを思う私たちをよそに、そいつは質問を続ける。
「今度二年生になる、頭はいいのに、馬鹿ばっかりやってる二人組みって・・・おまえらか?」
「頭のいいのは本当ですけど、馬鹿ばっかりやってるって言われるのは、心外ですね。」
そう。私とカンちゃんは、学年考査でいつもトップを張っているのだ!だから周りの教師は、有名私立大に行けとか、一流国立大に行けとかうるさくて・・・。私たちのことを、自分たちの点数稼ぎの道具としかおもってねぇ。だから教師は嫌いなんだ。
「やっぱりおまえらか・・。今時の女はこんなことやるのが流行なのか?」
「今時の女って、そこらにいるやつと一緒にしないでください!」
「そうですよ。私たちは、庶民にはできないことをやってるんです。」
わたしが言ったあとにカンちゃんがつづく。その時、校長室のドアが開いた。
「お~お~、またやってくれたね。諸君。」
かったるい声を出した校長のあとに、教頭が続いて部屋に入ってきた。
「しょーがないでしょ。目安箱だって、私たちの机だって、苦情の手紙で溢れちゃったんですから。」
「・・またそれかね。」
ふ~っと、あきれたようにため息をつく教頭。(お前が原因なんだよ!加齢臭とポマードの臭いが混ざったおばけが!)
「苦情?なんだそれ。」
転任してきた教師がたずねる。彼が知らないのも無理はない。去年私たちが、独自に活動を開始した例の係りのことを。
「教頭先生の頭が、ポマード臭い!と。いったいどれだけつけてんだ、とか。」
「その苦情がものすごい量きたんです。これは、改善しないといけないと思って・・。だから、拭こうと思ったのです。」
雑巾はその為かと納得するように、はぁ~、っという校長。教頭の顔が、引きつっているのがよく確認できた。そういう顔されると、うれしくて仕方がない。Sなんだろうか、自分・・・。
「君たちは、にゃんか・・何回そういうことをやれば気が済むんだ!」
(噛んだ、かんだよ。ぷっぷ。)(華蓮、いま笑うな!)
小声で言われたことが聞こえたのか、赤面する教頭。
「まぁ、まぁ。君たち、そういうことはもっとソフトに相手に伝えるべきだよ。行動が早いのは良いけど、会話って言うのも大事な手段だよ。教頭先生も、ん~。ちょっと気をつけるように。最近ほんとにひどいから、におい。」
教頭のフォローに入ったかと思いきや、教頭を諭す校長。校長だって思ってんじゃん。内心つぶやく。そろそろ押し寄せる笑いの波に耐えられない。
「吉田 華蓮君に、神田 千沙君。もういいから、君たちは教室に行ってなさい。」
「「はーい。」」
そうして部屋を出ようとするときに、あの教師がこっちを見ていることに気づく。私には、ほくそえんでいる様にしかみえなかっ
た。
「あの校長はいつも寛大な心をお持ちだね~。」
「そうだね。私たちが停学とかなってないのは、あの人のおかげみたいなもんだしね。」
「学校内のあんな小さな事で、停学にされてたまるかよ。」
教室へむかっているとき、こんな無駄話をしていた。
「しかし、あの先生、目つき悪かったね。」
あの先生とは、転任してきた教師のことだろう。わたしはうなずいた。
「あのラリーアット。めっちゃいたかった~。」
あの時、教頭に向かって走り出したとき、ひとりの邪魔者が現れた。全力疾走していた私たちの目の前に、腕を広げた巨人が・・。
そのまま止まりきれず、腕につっこみ、転倒して頭を打った。そのまま引きずられ、説教部屋(校長室)へ・・・。
「おでこと後頭部が痛い。」
「くっそ~。あのやろー。あそこまで簡単に私が技を決められたことなんてなかったんだぞ!わたしの名前に傷つけやがって!要注意人物にリストアップだ!」
教室についたらみんなからのブーイングがひどかった。任務完遂できなかったからである。しかし、臭いを抑えるように話してきた(校長が言ったんだけど・・)ことを伝えると、ブーイングはおさまった。そしてみんな、担任はまだかと、待ち構えている。
この学校では、始業式での担任発表はなく、式の後で来る先生が担任の先生となる。みんなどきどきしながら待っているけど・・・・
「ねぇ、カンちゃん。思うんだけどさ、もしかしたら、あいつが・・担任じゃないかなって。」
「えっ?さっきの、転任してきた人のこと?」
「そう。だって、私たちの組を聞いて鼻で笑ったり、部屋でてく時にほくそえんでたり・・・。絶対あやしい。」
「ごくっ・・それも、そうだね・・・。」
「あっ!!誰か来た!!」
びくっ!!扉に一番近い席のやつが叫んだ。教室内にいるみんなの胸が高鳴り、緊張していた。私たち二人は、別の意味で緊張していた。
ガラッ
ドアの開く音・・・。
下を向いている視線を上にあげれば・・・
「「あ゛~~~っ!!!」」
やっぱり。私の予測は100発100中だけど・・・今回だけは、ハズレてほしかった。。。
「なんだよ、いきなり叫びやがって。あ。おまえら、あの二人か。」
「わかってるくせに!」
周りからはこの教師が、かっこいいだの、渋くていい感じだの、聞こえてくる。
気をつけろみんな!こいつは、中身はきっとかっこよくもなんともねー!!ラリーアットされるぞ!目をまともに合わせたら、石化するぞ!
「あ~、みんな静かに。今日から一年間、君たち、2年E組の担任になりました、渋沢 隼人です。前は、隣町の高校に勤めていました。担当教科は、理科の生物です。このクラスは理系だよな?理科の生物は先生がやることになるので、よろしくおねがいしま~す。」
まじか・・。よりによって担当教科が理科の生物だなんて・・・、私の一番好きな分野だし。。
「嫌いになりそうだ。」
「ん?どうかしたのか?」
隣の男子が話しかけてきた。何にもないと、軽く受け流す。
(いやな予感が・・)
その時、その予感が見事的中することを、私は知る由もなかった。
序章・第一章を最後まで読んでいただきありがとうございます。
私もこんな馬鹿な高校生活を送ってみたいものです。
これからどんどん更新していくので、先が気になっちゃう人はぜひ読んでくださーい!