表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の恋人  作者: えんどぅ
1/2

第1話: 暗闇の中の出会い

 風が窓を叩く中、モニターの明かりだけが28歳のミアの顔を照らしていた。彼女は夜更かしを続けながら、クライアントからの依頼に応える動画編集に没頭していた。破局してからの日々は孤独と仕事の忙しさで埋め尽くされていた。気がつけば深夜の2時を回っていた。


 ミアは作業を一時中断し、休憩がてらに窓辺に立った。外の暗闇が彼女の心境と重なって見えるようだった。突然の停電が部屋を真っ暗に覆い、モニターの光も消えた。焦るミアは懐中電灯を手に取り、すぐさま配電盤に向かった。しかし、それでも電気は戻らない。


 部屋を照らす懐中電灯の光で彼女は暗闇の中を探検することになった。廊下に出ると、階下から何かが聞こえた。足音とも声ともつかない何かが、そっと近づいてくるような気配があった。ミアは不安を覚えながらも、好奇心から声のする方へと進んでいった。


 廊下の暗闇から、ぼんやりとした影が現れた。それは人の形をしているようだったが、不気味なほどに不透明で、明確な輪郭が見えなかった。ミアは息を呑んで立ち尽くす。その不気味な姿勢を保ったまま、影は彼女に近づいてきた。


 恐怖に心臓が止まりそうになる中、影が次第に姿を現し始めた。それはミアの昔の恋人、突然に去ってしまった彼だった。しかも彼は無言のまま、ただミアを見つめていた。


「な、何してるの…?なんでここに…?」ミアは声を絞り出すように問いかけたが、彼は静かに手を差し伸べる。その手は薄く、透明な感触があった。


 まるで亡霊のような彼の姿に戸惑いながらも、ミアは手を取った。手に触れる瞬間、彼の姿は一瞬で消え去り、部屋に再び明かりが戻った。


 呆然としたミアは一瞬、現実なのか夢なのか見当がつかなかった。しかし、彼女の手のぬくもりは夢とは異なる現実感を与えた。彼女は動揺しながらも、心臓の高鳴りを感じながらも、彼の手を離すことができなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ