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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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街道にて

街道に出たのが2時間前、貿易都市まで半分程を進んだ一行はひたすら緩やかな下り坂を下っていた。

街道とは言っても日本のようにコンクリートで整備された道では無い。

一応石を敷き詰めた石畳みたいなものにはなっているのだが、人力だからなのか隙間が大きく隙間も埋められていないので馬車とかで通ると揺れが酷そうだ。

まぁ歩きの一行には関係の無いことではあるが。


「街道に出てだいたい2時間、時刻はご飯の時間をちょっと過ぎた頃、なろう小説お馴染みの襲われてる商人も貴族も見当たらない訳で、静かだにぇえ〜」

『あんまり都合よくモンスターなんて出ないもんだね〜 いやぁ安全でいいじゃない?ちょっと暇な所は否めないけど』

『キュイはご主人様とベルさんと一緒だからとても楽しいのです!こんな綺麗な場所は初めてなのです!!!』


ちょっとだけお馴染みの展開を期待していた隼はちょっとガッカリしてボヤいていた。

ベルは別に隼が居ればその手の騒がしい事は求めていないのだが、とは言え自分の力を確かめる意味でもモンスターの1匹くらい出て欲しいらしい。

そんなアウェーな隼とベルに比べて隼に抱えられているキュイは元気満々である。

元々静かで平穏な環境が大好きなモンスターピラミッドの栄えある最底辺に位置するスライムである。

こうゆうのは大好物であった。

所で、そんな1人と2匹、いや1人と1匹は先程お昼ご飯を食べたばかりなのだが、その時から馬車などが通らないことを不思議に思っていた。

1匹何も考えていない可愛い奴がいるが気にしないことにしよう。

この疑問の答えなのだが、至極シンプルでこの時間帯を目指して都市に向かうものがいないからである。

輸送なら早朝に運び込んでしまいたいので朝の五時くらいにこの辺は通過しているし、冒険者みたいなダンジョンを目指すもの達は逆にこんな時間に向かっても暇を持て余すので夜になる前に着いて宿を取れるくらいの時間にこの辺を過ぎて街に入るのだ。

もう5時間ほどしたらこの辺は往来の激しい道なのだが、ある意味では運が良かったのかもしれない。

この調子なら都市について直ぐに入ることも出来るだろう。


『キュイ?そのベルさんってゆうのどうにかならない、? ボクそうゆうの苦手なんだけど、』

『そうなの、!? ゴメンなんだよ! えっと、じゃあ、、ベル、くん?』

『うん!それでいいよ!ボクはキュイのままでいいかな?それともキュイ君って呼ぼうかな?』

『うーん、キュイはキュイでいいんだよ!嬉しいんだよ!』

「微笑ましいなぁ〜なんか心が暖かくなって眠くなってきた、、」


死ぬほど可愛い会話をしている2匹に表情が綻ぶ隼、誰もがそうなってしまうであろう光景を眺めて思わず口をついて出てしまう隼である。

昼をすぎて、森を出た時は肌寒いという程ではないにしても涼しかったのだが。昼を過ぎて太陽が1番上を通り過ぎてみるとかなり暖かくなってきて隼には眠りやすい気温のようだ。

そんな隼の言葉を聞いたベルは“伸縮自在”で縮ませていた体を元の大きさに戻して屈む。


『まだまだ歩かなきゃ行けないし背中で寝てていいよ? ボクは疲れてないけど隼はキュイも抱いていたし疲れただろう?』

「お、ホントか?ありがとうベル、頼める?」

『ベルくんの背中に乗れるの!?やったァ!昨日ふかふかですぐ寝ちゃったもんね!わぁー!嬉しー!』

『あ、そんな喜ばれると流石にちょっと、、』


ちょっと疲れ気味で直ぐにベルに乗っかってうつ伏せに寝転がった隼と楽しそうにピョンピョン飛び跳ねながら背に乗るキュイを見て立ち上がったベルはちょっと照れているのだろう、頬が朱色に染まっている。

キュイはどこまでも純粋なようで、その言葉が気恥しかったのか目を逸らして進み出すベルもかわいい、あまりに可愛い光景である。


『ねぇねぇベルくん? 』

『ん?なんだい?』

『ベルくんは大っきいよね?キュイもベルくんみたいに大きくなれるかな?』

『うーん、どうだろう、? でもキュイは可愛いから変わらなくてもいいんじゃないの?』

『ううん!2人はすごく強いのにキュイは弱いんだよ、弱っちいからこれから一緒にいるなら、もうちょっと大きくなって強くならないと、迷惑になっちゃうでしょ、?』

『そんなことは無いと思うけど、キュイはおっきくて強くなりたいんだね?』

『うん!キュイね?キュイね?強くなりたい!!!』

『じゃあ、ボクも手伝うからモンスター倒すの頑張ってみよっか!』

『!うん!キュイ頑張るんだよー!!!』


寝ている隼が可哀想になるほど可愛い光景である。

宣誓して飛び跳ねて落ちそうになったところをベルに支えてもらって笑い合う2匹の1幕であった。



ーーーーー



「うーん、ふぁあ、よく寝た、、ベル、キュイ、おはよぉ〜 どれくらい進んだぁ?」

『あと30分くらいだよ?もう少し寝てなくて大丈夫?』

『ご主人様!おはようございます!なんだよ!! キュイね?キュイね?強くなるの!!』

「、? キュイは頑張り屋さんだなぁ、頑張るんだぞぉ〜、 大丈夫だよベル、流石にこのままベルが門をくぐるのは問題ありそうだし、、」


ポケーッとしてるせいで頭が上手く回っていない隼はキュイが可愛いのだけは分かったらしく撫で回している。

1時間少ししか寝ていない隼が心配なようで屈みながらも心配そうに隼を見つめるベル。

とうの隼は飛び降りた勢いで転びそうになったりしている。

その胸にキュイを抱えて歩き出す隼と身長を隼の膝より少し低いくらいまで落としたベルが歩き出すが、ベルは逐一隼の様子を伺ってふらつかないか見守っている。

微笑ましいのだが母性のようなものなのだろうか、?とも思ってしまう。


「ちょっ!ベル!大丈夫だって!ちょっとふらついただけだってば!」

『ふらつくのは大丈夫じゃない証拠、隼は無理しちゃダメ』

『ご主人様!無理しちゃダメ!たぶん、?うん!たぶんダメ!!!』

「分かったって!ちょっと休憩にしよ?な?」

『ん、それでいい』

『かしこまりました!なんだよ!』


結局あと30分とゆうところで休憩を挟む一行であった。

ちなみにその時食べたのは森で見つけた毒々しいくせに毒素の微塵もない超うまい系フルーツとふやけさせたパンと塩辛い干し肉だった。

あまりパンと実が合わなかったらしく隼は渋い顔になっていたが、ベルとキュイは気にしていないようで美味しそうに食べている。

写真機があったら連射してしまう可愛らしい光景であった。

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