異界の森①
モンスターサイドでの会話は鳴き声と念話
とゆうスキルで喋る場合を考えてて、普通に喋る時は「」念話の時は『』で表示しようと考えてます
人間とか亜人とかみたいな、そうゆうThe人類種!みたいなのはまとめて「」なんですけど、例えば遠くの人と電話みたいなので話してる、念話みたいな状態ならそれは『』ってゆう感じでセリフをくぎりたいと思います!
ご理解お願いします
「うーん、これが異世界か、もうちょっと変わったものでもあってくれたら良かったのになぁ」
『仕方ないよ、もともと森に出るならこうなるって分かってたわけだし』
隼がブツクサ言うと横から声が聞こえる。
どことなくベルの鳴き声の面影があるその声の方を見るとそこには3m近い高さと筋肉質な体を持つオオカミが屈んで見つめていた。
この狼の正体は勿論ベルだ。
神族って人達が隼とベルに与えた力、その1つがこの姿なのだ。
ちなみに隼は10歳ほど若返った見た目になっている。
ただ、隼個人としては自分の変化に無頓着なのか全く気にしていなかった。
それよりも愛犬が愛狼になってしまったショックが大きかったようだ。
それも長くは続かづ今となってはベルがフェンリルとなったことで喋れるようになったことにも慣れてブツクサ言いながら森を進んでいた。
「そもそも、異世界の森だぞ?モンスターは!出てこないのか!?何それつまらん!!!」
『ちょ、駄々こねないでよ〜あと6時間も歩けば街道だって!頑張ろうよ!』
「長いって!!!もうちょっと浅い所に飛ばしてくれたら!こんな文句は!出ないの!!!」
もはやどっちが主人か分からないと言うよりいよいよ隼が飼い犬みたいになってきている。
まぁ、もともと甘えたい病の隼があんな家で抑圧され続けてきたのだ、これぐらいの爆発なら可愛いものだろう。
、、、ところで、こんな1人と1匹の道中ではあるが、その足取りは実は順調そのものだったりする。
というのもこの周辺数十キロの地図を前知識として脳みそにインプットされてるのだ、迷うとか迷わないとかの問題では最初からなかった。
ぶっちゃけこの機能のせいで森を出るのにあと何時間かかる、とゆうのが分かるので余計ストレスになっているのだが、まぁそんなことは関係ないのかベルはむしろたっぷり散歩ができるのでご機嫌だ。
「おっ!このキノコは異世界っぽいんじゃないか!?」
『あ、ほんとだっ! 可愛いね?でも毒があるんだって』
「分かってるやい! はぁ、知識として知っていると感動も半減してしまうなぁ、なんか損した気分、」
喜んだり落ち込んだり忙しい男である。
そんな隼を楽しそうに見つめていたベルが、急に鋭い視線を右前方の木の後ろに向ける。
何かを感じたのだろう、その様子に気づいた隼もなにかワクワクするような視線を大木の裏に向ける。
気付かれたと悟った何かが飛び出してきて、隼は満面の笑みを浮かべる。
青みがかった半透明な体とプルンプルンの丸いフォルム、体の中には一際色の濃い球体が埋まっていた。
知識を探すまでもない、あの球体が弱点だろうことは明白だった。
「スライムだー!!!!!ベル!スライムだぞ!!!やっと異世界モンスターのド定番が出てきたんだぞ!!!よっしゃ!ちょっと元気出てきた!!!」
『ぷぅ、僕がフェンリルになった時より喜んでる!』
「ポムッポムッ」
大興奮の隼とスライムに嫉妬してムクれるベル、そして可愛くジャンプして一生懸命近づいてくるスライム。
どうも戦うテンションじゃない隼はスライムに近づいて、無警戒に抱き上げた。
「プギャッ!?」
「あはは!!!柔らかい!!!なぁベルも触ってみろよ!めっちゃモチモチだぞ!!!」
『ちょっ!隼危ないって!もぉ!』
三者三様の声を出す。
隼はもう既にスライムをだいぶ気に入っているようだった。
そうこうしていると、ふと何かを思い出したようで虚空を操作する隼。
数秒して目当てのものを見つけたらしく嬉しそうな声を出して虚空をタップした。
次の瞬間、隼の手に何か、お香のような物が握られていた。
天使様が使ったものと同じものなのだろう、かなり便利そうだ。
取り出したものを左手に持ち替えスライムを下ろす隼。
少し記憶を探るような仕草をしてから人差し指でお香に触れる。
そして、隼は意を決したようにゆっくりと古代言語で紡がれる特殊な命令式を唱え始める。
「 ███◾︎███⬛︎⬛︎⬛︎◾︎███⬛︎◾︎◾︎███⬛︎███“フレイムフラワー”」
詠唱を終えるとお香の周りに火花散る炎の花が現れていた。
ただ、これは恩恵で貰った魔法やスキルのようなものとは別の、知識から引っ張ってきただけの魔法なので別に特別な強化とかも入っていない。
知識を引っ張ってきただけで使えるような魔法はその物自体低ランクのものだけだ。
魔法のランクが上がるとゆうことは消費魔力が増えるのはもちろんのこと使われる古代言語の発音がどんどん難しくなるとゆうことだ。
流石に隼も知識だけでぶっつけ本番で上位の魔法など使えはしない。
まぁ、それでも初級より下のファイアフラワーであってもぶっつけ本番、一般的な魔法使いが見たら才能とゆうものがあるのだな、と思い知らされる事だろう。
ちなみにフレイムフラワーに使われる古代語の現代語での意味は「連なる連鎖の理よ 汝のあるべき姿は連なる炎の蓮華の花 顕現し 焼き尽くせ」となる。
現代語での発音や単語でも魔法自体は発動させられるが古代語に比べて効率が3分の1程に下がるため、古代語を使うのが主流だ。
、、、兎も角、親指の第1関節ほどしかない炎の花をお香の中に入れる隼。
初めての魔法とは思えないほどしっかり使えている。
これも才能とゆうやつなのだろうか?
兎も角、お香の中から上がった煙をスライムの周りに撒く。
適当にモンスターの周りを回ればいいだけなので簡単なものだ。
言わずもがな天使様に貰ったものだ。
とわ言っても知識の譲渡と一緒に必要最低限のものをアイテムボックスに入れてくれた、とゆうのを知識として知っているだけなのだが。
あ、ちなみに隼が最初に選んだ恩恵はやはりアイテムボックスだった。
やはり便利を何より重視するあたり金持ちの御曹司である。
『スライム【名無し】がテイムされました』
隼の頭に無機質な声でアナウンスが流れる。
これについても知識として知っていたからどうとゆうことは無いが、急に何も知らないところで流れたらビックリするだろうなぁ〜っと隼はどうでもいいことを考えていた。
さっき使ったお香の名前はその物ズバリ‘’テイムのお香”と言う。
安直だとは思いつつも便利なので特に気にしないことにせる隼だった。
「ふぅむ、名前かぁ〜」
「キュイッ」
『なまえ?あぁ、テイムは成功したんだね。 適当でいいんだよ名前なんて!ふんっ!』
ちょっと不貞腐れて言うベル。
いちいち可愛いフェンリルである。
まぁベルが不貞腐れるのにも理由があるのだが、、、
それはまた今度でいいだろう。
兎も角、重要なのは隼にネーミングセンスがない、とゆう事だけだ。
そうゆう男に名ずけをさせるとゆうことは、まぁこうゆうことがおこるわけだ。
「適当なんてダメだろ〜? ちゃんと考えてやらんと、、、うーん、そうだなぁ、スライム、スライム、スラ、スライス、、、スライス? スライス、いやダメだな、うーーーん、」
「キュイィ〜」
「あ、キュイでいっか」
「キュッ!?」
あまりにも適当、しかしそれこそが隼クオリティーなのである。
流石に飛び上がって抗議するキュイであったが、まぁ可哀想なことに世界は既に名前を受理したあとなのでもはやどうすることも出来ないだろう。
『テイムモンスター、スライムの個体名を‘’キュイ”に設定、、、完了しました』
無機質なアナウンスが終わるとキュイはしょぼんとしたリアクションで溶けるように地面でふやけていた。
可愛いなぁ〜とゆう顔をした隼はキュイを肩に乗せると再び歩き出すのだった。
まだまだ森の果てまで6時間の旅路、街までだと軽く10時間はかかるのだ、とゆっくり歩く一行であった。