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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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至福の時②

「どうしようね?」

『どうしようなの、』

『僕は別に入らなくてもいいんだけど??』

「それはナシ」

『なんぜ!?』

『ナシなのです』

『おかしいよ、!!!』


行列の出来ていた通りも時間の経過とともにその喧騒を失っていき、今は疎らに人が入るだけになっていた。

そんな公衆浴場の3件ほど隣、建物の影で話す3つの影。

1人は見目麗しい美少年とゆう言葉が相応しい、少年と言うにはいささか大きい気もするが、些細な違いだろう。

2つ目の影、それは丸いフォルムをしていた。

ぷるんぷるんの体と、その内側に核を持つ。

念話とゆうスキルを通して伝えられる声、その情報のあまりにも甘美な響に少年の頬が緩んで見え、その生物がまさに癒しの象徴であることを表していた。

その隣に佇むのは犬、だろうか?

少年の膝丈ほどの大きさのそれはオオカミであった。

見るからに嫌そうな顔で念話を飛ばしつつも、しかし少年とプルプルに慈しみにも似た視線を向ける姿はどこか神々しい。

そんな三者三様、どうあっても目を引くその一団は建物の影にありながら少なからず目を引いていた。


「まさか毛深い系のモンスターダメとわなぁ、」

『うんなの、、』

『だから僕は部屋で待って、、』

「それはナシだって言ってるでしょうが!!!」


一団がこんなところで話し合っているのには明確な理由があった。

10分ほど前のこと、、、


「あの、えっと、ほんとに一緒に入れないんです、か、?」

「はい。お伝えした通りオオカミ系などの毛深い種類は専用の物がありますので、そちらに入って貰うことならできます。ですが、公衆浴場の方は利用できないと規約で決まっておりまして、、」

「、、そう、ですか、、個室の方でもだめなんですよね??」

「はい。 申し訳ありませんが」

『ほら、隼仕方ないって!僕帰って待ってるからさ!ね?』

『べるくんと、入れないのです、??』

「うっ、だ、ダメなものはダメです!!」

「そんなぁ、、」


と、ゆうことであった。

この公衆浴場には大きくわけて3つの施設が複合されていた。

まず1つは普通の公衆浴場。

その名の通り誰でも入れるもので残り二つより安価で使えることから最も人気の施設となっていた。

ただし抜け毛などで配管が詰まることも危惧されるため毛量の多いモンスターなどは一緒に入れないとゆうことになっていた。

スライムなどの特に入っても毛も抜けなく毒も出さないものなら特に問題でもないのだが。

2つ目の施設、これは従魔用公衆浴場。

スライムなど普通の公衆浴場でも入れるモンスターを除き毒を出すなどの危険なもの以外は入浴が可能になっていた。

毛深い種類でもここなら問題なく利用出来る。

毛が詰まるなどの問題から何かと掃除などの手間が多いので普通のものよりも若干高い値段設定になっている。

3つ目の施設は個室だ。

人に見られて入るのが嫌な人用のサービスになっている。

もちろん個室とはいっても望めば団体でのしようも可能。

とわいえ基本的には毛深いモンスターはお断りとなっている。

これには個室とゆう性質上野性的な匂いが染み込みやすいとゆうのがひとつ大きな理由となっていた。

これら説明を受けた少年、もとい隼の反応はかんばしくなかった。

自分がモンスター側だったら一緒に入れたのに天使様は気が利かないななどと今更どうしようも無いことまで考え始めていた。


「ちょっと、話し合ってきます、、」

「あ、はい、申し訳ありません、、」


受付の女性の申し訳なさそうな顔になんとも言えない笑顔を返して公衆浴場を後にした隼、そうして冒頭に戻る。


「入りたい入りたい入りたい!!!」

『一緒にはいるの! 入ってくれなきゃやなの!!!』

『もー!ワガママ言わないの!』


建物の影なのをいいことにいい歳して地面でバタバタと暴れる隼とそれに習って暴れるキュイ、なかなかに愛らしいスライムではあるのだが、もう一個は見苦しいことこの上ない。

まぁ、そんなダサい姿も見慣れてしまったらしいベル。

愛おしいものを見るような目で宥めているベルの口元は心做し緩んでいるように見えた。

それはお風呂に入らなくてよさそうとゆう安心感から来るものなのか、それだけでは無いようである。

ここまで求められて嫌な気分になるはずもない。

ニヤけた顔を取り繕ったベルは渋々とゆう様子で代案を出すのだった。


『んぐっ、じゃあ、、人化魔法試してみる、? ちゃんと人の姿になるならほら、一緒に入れるでしょ?』

「っ!!!なるほどね!!その手があったか!!!」

『べ、べるくん、!天才さんなのです、!!!』

『そ、そんなに褒めても何も出ないぞ!!!』

「それで、どんな魔法なのん??」

『なのです???』

『あ、説明してなかったね! うーん、簡単に言うと魔力をずーっと消費する代わりに人の姿になる魔法、かな! うん!後のことは僕もよく分かってない!』

「ほんほん、なるほどね! まぁのちのち調べていこっかぁ」

『ほへぇ、それでも凄いと!キュイは思うのです!』

『うん、調べてこ〜 ありがとキュイ、嬉しい』


ちょっと赤くなったオオカミにほのぼのムードになる隼とキュイ。

やはりベルの事が好きなのだ、雰囲気が甘々になるのも仕方が無いのかもしれない。

そして、一緒に入れそうとなればテンションも多少バグることが想像出来る隼だ、もちろんテンションが上がりきっている。


「つかおう! よし!つかおう!!!」

『使おうなのです!!!』

『あ、あんま期待しないでよ、???』

「うん!!!期待しないから見よう!とりあえず!魔力足りなかったら魔力貸すから!!」

『見たいのです!早く早く!なのです!!』

『も、もぉお、待ってよぉ、! いくよ、?』

『「うん!!!(なのです!」』


1人と1匹の元気な返事を聞いて嬉しいような複雑な顔になりながらトコトコと少し下がるベル。

ベルを囲むように起き上がってジーーーッと見つめる隼とキュイの視線に照れながらも、しかしそのあまりにも優秀な脳はベルの感情を置き去りに魔法の準備を整えていく。

術式は魔法の覚醒と同時に効果とともに叩き込まれている。

その内容は簡単、魔法の活性化と同時に固定の容姿を獲得、魔法発動と同時に元の肉体を圧縮、変換して固定の容姿に変えるとゆうもの。

基本的に発動中常に魔力を消費し、レベルの上昇とともに秒間に必要な魔力が減少する。

レベル1なら秒速3の魔力を消費する。

同時に身体能力にもデバフが付与され、レベル1の段階は能力値が魔力以外1割まで削られることになる。

とわいえこのデバフもデメリットばかりでは無い。

削減された能力値は蓄積、譲渡が可能となる。

削減中常に溜まり続ける能力値を付与、もちろん尋常なエネルギーで済むはずもないだろう。

このデバフに関してもレベル上昇とともに削減率が増え、その分付与可能な量も爆発的に増える。

さて、魔法を発動したベルの体は目に見えて変化してきていた。

背格好がかわり、少しずつ二足歩行向きの骨格になっていく。

毛は少しずつ消えていき、その内側は肌色の膜で覆われていく。

顔が変形し、中性的な美少女の顔へと変わっていく。

手足は細く、身長は隼の胸ほどだろうか。

美しい銀髪は長く腰ほどまで伸びている。

ご都合主義なのがしっかり銀色の髪とおなじ綺麗な絹のような服を纏っていた。

デカい、膝より少し高いくらいの丈はあるTシャツと短パン姿の少女は堪能的であり、同時にどこか触れ難い雰囲気を発していた。


「おおーーー!!!」

『凄いのですー!!!』

「あー、あー、、うんっ、どうかな?」

「めっちゃいい感じ!! さすがベル、1回で使いこなすとか、天才、!!!」

『べるくん天才なのです、!!!』

「えへへ、そんな褒められると照れるって〜 かわい?」

「ん!かわい!!!」

『、?よくわかんないけど可愛い、?のです!!!』

「んふっ、ありがと」


ベルのか細い声が感謝を述べる。

その声に惹かれチラッと覗いた少年が恋に落ちて恥ずかしそうに走り去っていく場面もあったにはあったが、おおむね成功と言っていいだろう。


「よーし!それじゃ、行く? 行きたくないけど、行きたくないけどもね、!!」

『うんなのです!行くのです!!』

「ん!すぐ行こう!!」


そんな声を残してトコトコと歩き出した一行、隼は抱えたキュイをたまに撫でながら、ベルはそんな様子を少し羨ましそうにみながら公衆浴場へ向かうのだった。

その愛らしい光景はあまりにも、あまりにも美しい。

フィルムいっぱいに撮り溜めたい光景である。

悔やまれるのは隼の所有物の中にカメラはおろかスマホすら無かったために写真のひとつも撮れなかったことだろう。



ーーーーー



「えーっと、大人1名と子供1名、小型の従魔が1匹ですね。 個室利用とゆうことで大人料金が銀貨3枚、子供料金は銀貨1枚で小型従魔は銀貨2枚となり、合計銀貨6枚になります。 なお探索者ギルドか商業者ギルド、料理人ギルド、探求者ギルドの いずれかのギルドカードをお持ちでしたら提出いただくと20%引きになりますが、ございますか?」

「あ、えと、こ、これ、!あります!」

「あ、探索者ギルドのギルドカードですね!確認しました。 ハヤト・ジンバ様ですね。 20%引きで銀貨4枚と銅貨80枚になります 」

「あ、銀貨5枚で、」

「はい、銅貨20枚のお返しですね」

「あ、ありがとうございます、、」


カウンターにて先程と同じ女性に対応されている隼。

タジタジだが、会話になっているだけマシだと考えるべきだろう。

何せ相手は人気公衆浴場の看板娘だ、容姿端麗な上に綺麗な声音がよく耳に残る、その甘い香りは男の本能を刺激するようであり、もちろん熱烈なファンも多い。

良くも悪くも目を引く女性なのだ。

そんな色気ムンムンなお姉さんとまともに話せるのは、隼の成長と言って差し支えない。

なおタジタジの隼に若干白い目を向けている銀髪美少女のことは考えないものとする。

考えていては隼のメンタルがいくつ有っても足りないので。


「えーっと、でわ個室の利用方法について説明しますね?」

「は、はいっ!」

「いい返事ですね。 この説明の後ルームキーを渡しますが基本的にそのキーに書いてある部屋番と同じ個室を使ってもらうことになります。個室の使用は2時間まで、それ以降は延長料金がかかりますので気を付けてください。タオルやバスタオルは浴場に入る扉、その手前にタンスがあります。そこから取り出して使うようにしてください。」

「はい!」

「洗剤の使い方わ分かりますか?」

「わ、わかります!!」

「かしこまりました。もし分からなかった場合は壁に説明がかけてありますので一読お願い致します。 お湯の出し方、止め方、その他細かなことに関しましてもかけられた看板に書いてあります。 一読の後入っていただければ助かります。 使用したタオルやバスタオルは専用の袋があります。それに入れて置いておいてください。 後ほどスタッフが回収します」

「ふむふむ、」

「その他、、、」


それからもいくつか説明を受け、特に質問は無いとゆうことで鍵を受け取った隼は、どこか達成感に包まれていた。

大して話してもないが、本人的には大満足らしい。


「おおー!板張りだ!板張り! 羽衣亭もそうだったけど、なんかこう、木造建築ってテンション上がるよな!日本っぽい!」

『うんなのです! 木の匂いは落ち着くのですぅ〜 あと楽しいのですー!!』

「あはっ。隼はしゃぎすぎだよ〜 あんまり走ると転っぶぅっ!!」

「っとっと、大丈夫かベル?」

『ベルくん大丈夫です!?』

「ん、大丈夫、、」

「声小さいぞ!?ほんとに大丈夫か!?」

『ほんとに大丈夫なのです!?』

「ほ。ほんとに大丈夫だから!!」


個室に向かう足取りは軽く、隼は3階の角部屋へ向かう道に入る頃には目を輝かせて木造建築のゆかを小走りで走っていた。

よほどお風呂が楽しみらしい。

そんな隼につられて楽しそうに笑うキュイは隼の腕の中で愛らしくクネクネとしている。

ベルはと言えばまだ二足歩行になれないのかたまに躓きそうになっては隼に支えられ、真っ赤になったりしながらも毅然とていて、お風呂への拒絶反応が拭いきれない顔も含めて愛らしかった。

無論、今更そんな抵抗をしても焼け石に水な気もするが、何も言うまい。

、、、ベルも無事個室に着く頃には嫌がっていたのが嘘のように爽やかな笑顔になっていた。

もちろん風呂が嫌なのは変わらないのだろうが、それを隼に支えられた感触が上回ってしまっているらしい。


「おーぷーん!!!」

『おーぷーん!なのー!!』

「おおー!なんか広いね、!」

「これは、くつろげるぞ、!!」

『これは、寝れるやつなのです、!!!』

「うわぁ!なんかいいなぁ!この感じ!ウキウキしてくる!」


そんなこんなで1人と2匹、いや、2人と1匹が入ったその部屋は、およそ一人部屋とは思えない広さをしていた。

隼とベルの2人、それとスライムが全力でくつろいでも全然狭く感じないような空間である。

その床は板張りで他の家と変わらないのだが、襖や座布団、木の机などの装飾品は、どこか隼とベルに懐かしさを与えるものであった。

襖を開け放っても見えるのは少し高いところから見下ろす街の喧騒だけなのだろうが、とはいえ雰囲気としては満点である。

そのいかにも和風な雰囲気にいっそう目を輝かせた隼が早速襖の前の椅子に腰掛けておっとりキュイを撫で回し出しまったのは、仕方の無い事だっただろう。

対面に座ったベルが隼のことをジーッと見ていて、何がおかしいのか急に笑い合う1幕もあったようだが、そんな尊い成分の過剰摂取みたいな光景をいつまでも続けられては困るとゆうものだ。

早々に風呂に入ってきて欲しいものである。

まぁ、そんなこんなで風呂に向かうのは30分ほどおっとりしてからになるのだが、これぞ隼達の日常とゆうやつである。

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