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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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狩の時間④

背の低い芝生みたいな草の生い茂るそこそこ広い空間の端の方。

そこに 5匹のゴブリンを見つめるスライムとその後ろに人間とオオカミが立っている。

次は自分の番だとゆうことで勢い込んでいるスライムがやたらと可愛いが、その様子に反してやろうとしてることはそこそこエグい。

そんなスライムの体に薄く展開された魔法陣に組み込まれている古代文字を見れば魔法の使えるものならそれが炎魔法の何かだとゆうことくらいは分かるだろう。

普通はそう言うことを悟られると魔法陣に介入して内容を変えたりできてしまうので、そうゆう事のないため魔法陣を複雑に絡ませて簡単に読み取れないよう工夫するものなのだが、まぁ野良ゴブリン相手にそういったものは必要ないし何よりキュイにその手の技術はないのだから仕方ない。

ちなみに隼はやろうと思えば魔法陣に介入することも出来てしまうのだが、まぁ面倒くさいのでやらない主義だったりする。


『よーっし!! せっかくだから 一番カッコイイの使うんだよ!!』

『と言うと?』

「ファイヤーボール?」

『そんな訳ないでしょ! 《ファイヤーランス》っ!!!』

『おお!確かにかっこいい!』

「確かにカッコイイのは間違いないか、相変わらず僕のと比べてサイズがデカいんだよなぁ、、」


キュイの表面に現れた魔法陣が淡い光を纏うのとほぼ同時、空間に巨大な炎が現れ、収束する。

細長く収束した炎の形が揺れ動き槍のようになったのは一瞬後のことだ。

炎の槍は5本、1体に1本の計算のようだ。

それは正しく炎魔法レベル3に指定される魔法、《ファイヤーランス》だった。

この5日間でいくつも魔法を覚えたキュイ、その中で覚えた魔法のレベルがいちばん高かったのが炎魔法だった。

他の魔法もかなり高い適性を持っているようではあったのだが、炎魔法への適正はレベルが違った。

ぶっちゃけキュイの魔法は威力だけで見ると世界的にも稀有な才能と言えるものだった。

そんなキュイのファイヤーランスだ、5本も要らないどころかゴブリン5匹倒すだけなら1本あれば10分なのである。


『えいっ!』

『キュイふぁいとだよ!』

「がんばれっ!がんばれっ!!」


キュイの気合いの声、それに呼応するようにベルと隼の応援が響く。

キュイのファイヤーランスは応援を受けて一際火力が上がったようにも見えた。


「ビュオォッ!!!」


轟音を上げて飛んだファイヤーランスがゴブリンに殺到する。

その業火に焼かれ5本のファイヤーランスが通った後には黒く焦げた芝生が残り、飛んだファイヤーランスがゴブリンたちに迫る。


「ギャアアー!!!」

「ギャア!ギャアア!!!」


放たれた炎の槍は寸分違わずゴブリンの胸へ吸い寄せられるように飛んでいった。

そこでようやく何が起こっているのか分かったのだろう、さっきまで赤く揺れ動くよく分からないもの、だったそれが自らを傷つける何かだと察したようだった。

5匹のゴブリンは避けようと陣形を崩し四方八方逃げ出そうとした、のだが、、

まぁ、時既に遅しとゆうやつのだ。

飛来した炎の槍は散開したゴブリンを追うように少しだけその穂先の向きを変え、易々とゴブリンの胸部を貫いて見せた。

胸部を貫いた槍は一瞬の静止を経て、急速に膨張する。

鋼鉄の鎧を瞬時に溶かすほどの熱が膨張したのだ、ゴブリンに対処のすべは無い。

激痛に悲惨な悲鳴をあげていたゴブリン達だったが死を受けいれたのか、喉が焼け焦げて声が出ないのか。

定かでは無いがしばしの沈黙を残し、焼死体となり胸から大きな風穴を空けた体を横たえて絶命したのだった。

ゴブリンの絶叫が遠目からも聞こえ、何となくいたたまれなくなった隼を横にキュイは全滅したゴブリンの方へ行こう!と隼に訴えている。


『確認!ねぇ確認!』

「っんえ? あぁ、よーし倒せたか確認だー!」

『確認だァー!』


光景に似合わぬ陽気な雰囲気で焼死体へと歩み寄る一行。

早々に歩き出そうとした、その瞬間一行の脳内に無機質なアナウンスが流れた。


『ゴブリンを討伐、従魔・キュイのレベルが5に上がりました』

『スキル《形状操作》のレベルが8に上がりました』

『スキル《配色操作》のレベルが3に上がりました』


その声に、一瞬の沈黙が訪れる。

先に動いたのは隼、次いでベルだった。

抱えていたキュイを両手で掲げた隼は「よっ!」とゆう小さな掛け声を上げ、同時にキュイを持ち上げたのだ。

急なことにびっくりしたように目を白黒させているキュイを胴上げのようにして掲げる隼と楽しそうにキュイと隼を見ているベル。

その光景からは嬉しそうな、楽しそうな雰囲気が溢れていた。

アナウンスを聞く限りキュイのレベルアップに伴ってスキルのレベルも上がったようで、それも祝福ムードに拍車をかけていた。


「おお!レベルアップ!これで全員レベルアップだな!!!一気に2つもスキルのレベルが上がるなんて!!さすがキュイ!!」

『キュイ凄いなぁー!!もぉー!!!ボクが1番レベル低いのは納得いかないけどね!!!』

『キュイ!強くなっのです!!! まだまだ強くなるのですー!!! あとベルくんはすごく強いから気にする事ないと思うのです!』

「おお! キュイがんばれ!!!」

『うんなのです!頑張る!なのです!』

『ウンウン、頑張ろうね〜』

「よーしよしよしよし!」

『キュイ〜 ぺろぺろぺろぺろ〜』

『んにゅっ! こちょがしい!!!』


初の実践でなかなかの成果を上げたキュイに隼とベルがしゃぶりつくかのように甘やかす。

隼は頭をコリコリコリコリ撫で回してるしベルは唾液で膜ができるんじゃないかとゆうくらい舐めまわしていた。

キュイはキュイで満更でも無い様子。

嬉しそうにプルプルと震えていた。

10分ほど和気あいあいしていた一行は、ひと段落着くと倒したゴブリンの方へと歩いていく。

普通の冒険者が5匹のゴブリンを探して発見、そこから討伐して売却できる部位を剥ぎ取るまでの時間が平均的に4時間と言われているのだが、隼達はまだ1時間経つか立たないか程度にも関わらずすでに15匹倒していた。

この事からも一向におけるキュイの働きとゆうのがかなり大きいのが分かるだろう。


「そーいえば形状操作はともかく配色操作ってのはまだ見てないんだよなぁ? 色が変わるの??」

『、? 見せたこと無かったです?? 色変えれるのです!正解なのです!』

『へぇー! 器用だねぇキュイは! 何色になれるの?』

『うーんと、いろんな色出来るのです! でもキュイはずっと森に居たからほとんど緑色しかなったことないのです!! 逃げる時しか使わないのです!』

「それもそうか、よし! 適当に休憩することにして色んな色試してみる?」

『っ!! そうだね!! ボクも見たい!! 人化魔法も試したいし!』

『確かにそうなのです!! ベルくんの見たいのです!! とりあえずキュイからやるのです?』

「うーん、そうだね! キュイ行ってからベルにしよっか。 (1番気になるのは最後ってゆうしね)」

『わぁー!楽しみ!』

『くっくっく、見てて欲しいのです!!』


なかなか失礼なことを心の中で考えている奴が若干1名いるが、まぁ期待度で言えばベルのはレベルが違うので仕方ないのかもしれない。

とは言え、配色操作のスキルもなかなか侮れないものになっている。

そもそもキュイの体表に魔法陣を形成しているスキルこそが配色操作なのだから。

もちろん魔法陣の形成においてそこに正常な効果を乗せるため必須になる陣纏いスキルも1つ関与はしてるのだが、そもそもの魔法陣自体を形成しているスキルであるとゆうのは絶対に侮れるものでは無い。

そもそも、魔法陣を複数個いっぺんに生成でき、且つ発動できていること自体スキルのレベルが高いからだったりするのだ。

だいたいスキルレベルがひとつ上がる毎にキュイが同時に作れる魔法陣の数が3つ増えていく感じだろうか。

そんなスキルのレベルが上がるとゆうことは、シンプルに火力の上昇を意味していた。


「まずわー、赤色!」

『、、赤色ってどんな色なのです?』

『さっき使ったファイヤーランスあったでしょ? あの色が赤色だよ』

『うーん、なるほど、?なのです! やってみるのです!』

「そっか色なんて分からないよなぁ! でもしっかり説明できるベル偉いし可愛いししっかり理解できちゃうキュイも可愛いし頭いいしで、! キュイがんばれ!」

『うんなの! こんな感じー、、なの!!』


そう言って力んだキュイの色が下からどんどん赤く変わっていく。

それと同時にキュイの気配が少しだけづつではあるが大きくなっていることを隼は気付いていない。

ベルは気付いてはいるようだが微々たるものすぎて特に気にしていないようだ。

が、キュイとゆう個体において、古代種の気配を持つ特殊なスライムにおいて自らの色、存在を偽るとゆう行為には特別な意味合いが存在する。

魔法の威力に補正が発生するのもこの意味合いが関係しているし、緑色に変わった位で匂いが消えたりはしないにも関わらず一切のモンスターに見つからなかい特殊な才能で生き残れたのもここに原因があった。

その存在を色とゆう形で偽る事により自然にしみ渡り、存在を広げ薄くする力があったのだ。

これにより緑色ならば木々に溶け込み存在を希薄にした。

魔法陣を描くことでその存在を魔法とゆう形に乗せている。

赤色ならば熱に浸透し炎魔法に特化することだろう。

まぁ、今回の現象に関しては熱に浸透した存在がその体積を不可視の領域でアメーバのように広げた結果なのだが。


「おお!こんな感じで変わるんだ! 赤色になっても可愛い、!キュイかわいい!!」

『ホントそれ、キュイ可愛すぎるんよねぇ、ほんと、はぁ、、』

『もぉ! 前にも言ったでしょ! 可愛い禁止!なの!!!照れさせないで欲しいのです!!』

『キュイは膨れてても可愛いから無理』

「うん、膨れてるキュイも可愛くて無理」

『、、、きゅぅ、』

『照れても可愛いね!』

「照れても可愛いね!」

『ハモるなぁ!!!なの!!』


可愛すぎてハモってしまった隼とベルに対し、ただでさえ赤いのに照れ照れのせいで余計赤くなり分かりやすく膨れているキュイ。

全くもって可愛い。

そんなキュイに更に暴走気味になっていく若干2名はその後1時間以上も青、黄色、黒、白、果ては橙みたいな難しい色まで色々試していた。

1時間をすぎ一通り満足したようでキュイに頬ずりしている2名だが、やはりいつものキュイが1番好きみたいでいつも通りの色になってから頬ずりの速度が5割増しになったとゆうのはキュイさんの後日談である。

そんなこんなでキュイが開放される頃には日も傾き始め、ベルの人化魔法は羽衣亭に帰ってから試そうとゆうことで一行はシューガルへ歩き始めるのだった。


「ベルも〜キュイも〜可愛い〜可愛い〜僕の親友〜ふーんふーん〜」

『隼、キュイだけでいいでしょ、!!』

『ご主人様! なんか可愛いって言い過ぎだと思うのです!!』

「あはっ! 2人とも可愛いんだから仕方ないんだよーん!」

『可愛いのはキュイなの!!』

『ベルくんそれは何か違うと思うの!!』

「うむ、2人とも世界一可愛いんだよ、当たり前だろ、!!」

『『ぷぅ!』』

「(可愛すぎる)可愛すぎる」

『心の声と!』

『言葉が!』

『同じじゃないか!!』

『同じなんだよ!!』


そんなほのぼのした会話をしながら帰路に着く1人と2匹からは、ついさっきまでゴブリンを狩っていたような殺伐とした気配はなく、ただ幸せそうな空気が漂うだけであった。

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