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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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狩の時間③

トコトコ歩いていたベルが追いかけてきた隼達とかち合ったのはベルが歩き出して5分ほど経った頃だった。

全力ダッシュでキュイを抱きしめ走ってくる隼に、少し心が暖かくなるのを感じつつ近寄っていくベルの顔は綻んでいた。


「ベル!怪我は!?ない!?」

『ベルくん無事なのです!? 急に行っちゃったからキュイ達はビックリしたり心配したり大忙しだったのですよ!?』

『あれ? 追いかけてきてくれたの? 大丈夫! ボク強いからね! ほら、隼もキュイも落ち着いて〜』

「ベルぅ、くすぐったいぃ、、じゃなくて!!ほんとか!?ほんとに大丈夫!? アイツは倒したのか!?」

『ベルくん! 誤魔化そうとしてない!? 気持ちいいけど、なのですぅ〜』

『ほんとに大丈夫! あと倒しては無いよ。 ただ無事って訳でもないと思うけど』

『本当なのです?? ちょっと心配だけど少しだけ安心なのです、!』

「大丈夫なのかぁ〜? 信じないぞぉ〜? 確認させなさい!!(ベルさんこうゆう時嘘つくことあるからなぁ!!)」

『ちょっ!隼コチョコチョだめだってぇ!!』


1言目で心配事なあたり、やはり仲良しだった。

本当に傷1つ無いベルではあるが、心配してくれるのは純粋に嬉しいようで「大丈夫、大丈夫、」と言うように隼とキュイの頬をぺろぺろと舐めながら宥めていた。

そんなベルに和みながらもなんとかキリッとして何か言ってる隼は実の所自分が何言ってるかもよく分かってない様子で、かなり心配しているようだ。

実際、今までの経験でこうゆう時に嘘つこうとする前科のあるベルさんを最後まで疑っている様子だった。

ただ、いつまでもこうしてる訳にはいかない、とゆう事になって10分ほどすると歩き出していた。

切り替えの速いこと速いこと、生来のものだった。


『歩きながらでいいんだけどさ?』

『、? どうしたのです?』

「どした?」

『いやね? あの襲ってきたの魔人族だったんだけどさ?』

「まじんぞくぅ!? よく無事だったなベルさん、、なんかめちゃくちゃ強いってゆう事以外よく分かってないけど」

『魔人ってなんなのです? あ、あの襲ってきたのなのです!分かったのです! すごく怖い感じがしたのです!』

『うん!もうちょっと説明すると魔王の部下?みたいなのだね。 さっきのは傲慢の魔王から生まれた魔人だったの』

『ごうまんのまおう、あ!聞いた覚えあるのです!』

「アンナが言ってたヤツ?」

『そ!隼せいかい! 』


全然話が進まないのがいつもの事すぎて何も感じなくなってきた。

隼とキュイの相槌にいちいち反応するこの狼のせいではあるのだが、まぁほのぼのしてるのだから良いのかもしれない。

さて、話の本番とばかりに歩きつつも目を鋭くして隼を見つめるベル。

ちょけた感じじゃないと分かったらしく隼もすぐに真剣な表情になって次の言葉を待った。

分かってないキュイも空気を読むのは上手いので何となくお口チャックしている。


『えっとね? その魔人が言ってたんだけど、どうも古代種?ってゆうのを探してボクたちを襲ったみたいなこと言ってたの』

「古代種ってのは、なんとなくは分かるんだがぁ、それを狙う理由ってのが全然分かんないな、、古代種ってようは恐竜みたいなずっと昔にいた魔物だよな?」

『ふむふむなの、何となくわかるの』

『そうだね、正確には古代種ってゆうのは種族の一番最初の個体、の事を言うみたいだね。 スライムならスライムロード、ゴブリンなら万年ゴブリン、ドラゴンなら始まりの古龍ってやつらしい』

「なるほどなるほど、、」

『ふむふむなの、』

『この古代種を狙う理由までは分からないんだけど、この中で誰を狙ってたかは分かってる!』

「おお! やっぱりベル? フェンリルだし! 神様が作ったわけだし!」

『ベルくん神様に作られたのです!? あ、そういえば森にいた時言ってたのです』

『うん、言ったね〜 確かにボクは神様がガワから作ってるし、まぁ見ようによっては最初の個体、みたいになってるかもしれない! んだけど、今回狙われたのはボクじゃない!』

「あれ、そうなの? じゃあ、僕かキュイなんだね?」

『キュイは2歳だから違うと思うのです!』

『いや、狙われたのはキュイみたいだよ。 と言っても、別に純粋な古代種って訳じゃないみたいなんだよね。 そんな感じのこと言ってたから。 まだ分からないことだらけだけど、、』

「キュイが狙われてるの!? え、キュイ外出禁止にする、、?」

『キュイ狙われてるのですか、! よく分かんないけど外出禁止はダメなのです!!』

『うん、ボクもキュイのレベルそれなりに上げとかないといざって時に自分のこと守れないししっかり強くなることの方が重要だと思ってる』

「それもそうか、、」

『その通りなのです!!』


キュイが狙われてる、とゆうこれだけの情報を共有するだけでどれだけダラダラ喋るんだと思わないでもないが、目をつぶろう。

実はキュイの魔法についてもこの辺に理由があるのだが、その辺はまだまだ分からないことである。

、、、情報共有を終え後はダラダラと作戦会議なのか雑談なのか分からない事を喋りながら隼達はぶらぶらと歩いている。

キュイの感覚にも今のところゴブリンの姿は無いようでのどかなものだった。

草の中に入り更に数分、やっとキュイが反応を示す。


『んっ! 見つけたのです!! えっと、、コッチなのです!』

「お!了解だ! 真っ直ぐでいいんだな?」

『うん!なのです! 真っ直ぐ行ったら2分くらいでぶつかるのです!』

『お! やっとキュイの出番来だね!なんだかんだ長くなったけどキュイ頑張って!!』

「キュイふぁいどだァ!」

『うんなのっ!!』


見つけた気配を体の形で示すキュイ。

それに習って方向を45°ほど変え進んでいく一行は少し緊張している様子のキュイを撫でたり舐めたりしながら落ち着かせつつ歩いていく。

隼が戦った後はキュイが極力は1人で戦うとゆう事になっていたので隼とベルも実はそこそこ緊張していたりする。


『あ!もう少しなのです!』

「お、あれか! いちにいさん、、20匹くらい居るな、どうするベル?」

『そうだなぁ、キュイ、こんなにいるとさすがに危険だと思うの、だからキュイは5匹だけにしとこ? 残りはボクが倒すから』

「そうだな、そうしよう!あ、でもベルは大丈夫なのか、??」

『ボクがゴブリンに負けるわけないでしょ! 大丈夫! 信用してよ?』

「っ!うん、そうだな! ベルなら大丈夫だ!」

『えー!!やなのです!! キュイ1人でやりたいのです!!』

「キュイは危ないからダメ!」

『そ!危ないからダメ!』

『ぷぅ、ケチ!!なのです!!ベルくんだけズルいのですぅ!!』


頬をふくらませるキュイはやはり可愛い。

のだが、だからこそ20匹も任せられないとゆう結論になってしまうあたり可愛いとは罪なものであった。

心配性の隼ではあるがベルが無理してるか心から言ってるかくらいは流石にわかる隼。

まずはベルが15匹倒すまでキュイを抱っこして待つことにしたようだった。

心が通じあったように可愛いキュイから視線をずらしまだ20メートルほど先を歩いてくるゴブリンを見据えたベル、その目には殺気が溢れている。

まぁとは言え、出来るだけ隼に心配かけたくないベルは若干買った装備を使わないのは勿体なくも思ったが接近戦などわざわざ挑む気も無かったりする。


『うーーんっと、、こんな感じでいっか。 』

「お!ベルの魔法陣キレイな!? 僕じゃこうはいかん、! ベル几帳面だからなぁ、偉いね?」

『ぷぅ、キュイも早くやりたいのです、、!』

『隼、褒めるの禁止。 動揺したら魔法陣乱れるから!!』

「(ベルさんが可愛い、!)偉いものは偉いの!!」


心の声を隠してるようで隠せてない隼の言葉を赤くなった耳で右から左に聞き流すと魔法陣に集中するため、再び鋭い目をゴブリンに向けた。

ベルは聞き流せていると思っているようだが、その耳がさらに赤くなっている様子を見ると無理があるように思う。


『ウォーターバレット!!』


ベルの言葉をなぞるように魔法陣が中心へ吸い寄せられるように渦巻きその形を乱したかと思うと中心から泡のような水の玉が大量に出てくる。

その玉はベルの眼前をグルグルと回りながらその速度を上げ、その速度に合わせ形を鋭く研ぎ澄ましていく。

その数実に30個、鋭く研ぎ澄まされた水の弾丸が速度に乗った瞬間、ベルの作った魔法陣がわずかに発光する。

と同時に一斉に撃ち出された鋭い水の弾丸はがゴブリンの群れに殺到し、30発の弾丸がそれぞれゴブリンの頭と胴体を吹き飛ばしていく。

しっかり15体の死骸を積み上げたベルが誇らしげに振り向こうとした瞬間、、


『ゴブリンを討伐、従魔・ベルのレベルが2に上がりました』

『活性化条件クリア、スキル”人化魔法Lv1”が活性化しました』


無機質なアナウンスがベル、隼、キュイの脳内にバチーンっと直接流れ、一同の目が一瞬丸くなった。

鍛冶屋に装備類を取りに行く前日の夜、最後の確認とゆうことで色々と話した時にベルから聞かされていた話を思い出していたのだ。

本来、フェンリルとゆう種族はその高すぎる基礎値のせいでレベル上げにかかる時間が極端に長いことで知られる種族だった。

そもそもが伝説的な生物ではあるが、天使様の知識から引用されているのでこれ自体に間違いは無い。

実際、ベルのレベルアップに必要な経験値と呼ばれる生物を倒した時に一定確率で得られるレベルアップの養分みたいなものが隼の場合に比べ1000倍近く高い事がその日説明されたのだ。

フェンリルがレベル1からレベル2に上がるまでにかかる平均的な時間は約3ヶ月。

この点からもベルはまだまだレベルアップは先だと考えていた。

のだが、現実問題として一般的?なフェンリルはそこまで強くないとは言え50体以上の魔物を倒した後に100匹以上のホーンラビットとプラズマラビットを一日で討伐したりすることは絶対に無いのだ。

この時点でほぼレベルアップできる状態だったことをベルは知らない。

ついでにフェンリル等、1部の人類種より遥かに高い知能を持つ魔物が初めてのレベルアップで獲得することの多い人化魔法も活性化したようだ。

活性化とゆうのは生来持っていても使うことの出来ないLv0と表記されたスキルを使える状態にすることを言う。

キュイが持つ擬態Lv0もこれに分類され、その活性化条件はスキルにより違うが活性化に成功すれば大きな戦力アップが期待できることだろう。


「おおっ!? ベルがレベルアップ!?人化魔法ってゆうのはなんだ、!? と、それより! ベルおめでと!!」

『おおー!ベル君おめでとうなの!! キュイもレベルアップしたいの!!』

『思ってたより全然早くレベルアップできた、ゴブリンでかぁ、、まぁいいけど。 人化魔法ってゆうのはボクもよく分かってないんだよねぇ、なんか人の姿に化ける魔法?みたいなんだけど、、』

「おおー!キュイの戦闘が終わったら試してみよ!いい!?」

『ベルくんご主人様と同じ感じになるのです!? 羨ましいのです!!ズルいのです!!』

『試すのは良いけど、そんな盛り上がれると照れるってばァ!!』


本格的に褒められ慣れていないベルがあんまり照れるものだから面白がって褒めまくる隼。

そのせいで10分ほども混乱と恐怖で固まっていた5匹のゴブリンに、喋りながらもトコトコと近づいた一行は優しくキュイに言う。


「やっていいぞ」

『やっていいよ』

『っ!やっとなの!!』


そんな元気な返事に真っ青な顔を向けた5匹のゴブリンが哀れで仕方ない。

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