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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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狩の時間②

「た〜ぶん〜この辺〜なんだよな〜」

『うーんとね?うーんとね?もうちょっと先に5匹かな?居るんだよ!』

『お!キュイ偉い!急ぐ訳でもないしキュイに案内してもらって行こっか!』

「そだな!キュイ? どっち進んだら出会う?」

『うーん、、こっち行ったらそんなに広くない草原みたいなところに出るみたいなんだけど、そこに入ってすぐ出会うと思う!』

『おおー!そんなことも分かるの!? キュイ偉いー!!!』

「ほんとに偉いよキュイーーー!!!」

『えへへ、照れちゃうのですぅ、、』


器用に体の一部を変えて方向を指したキュイに感極まったとゆう感じで撫で回す隼と舐め回すベル。

この辺、色々と経験が足りていないので感情表現が極端なところがたまにキズだが、しかし純新無垢なキュイにはそうゆうのが肌に会っているようで照れ照れで嬉しそうに俯いている。

照れながらもしっかりゴブリンの位置を見逃すまいと把握し続けているあたり、やはりキュイは優秀なスライムのようだ。

、、、動くゴムリンの群れの気配を追いしっかりキュイがナビゲートすること10分しないくらい。

腰ほどあった草が途中で途切れる場所に出る。

その瞬間、隼が出てきた場所とは違い草の刈り取られたような獣道から小さめの草原に緑色の肌と小さな角をした身長140センチくらいのモンスターが出てくる。

出てくると言うよりは頭が少し出るくらいの草が生い茂る向こう側に道があるようなので生い茂る草から這い出るようにして出てきたので隼がそれと認識したのはその瞬間となる。

もっともキュイはその接近を察知してジーッと見つめていたのだが。


「お、あれがゴブリンか?」

『多分そうだね、どうするるボクも手伝う?』

「いんや!この5日で何となく分かったのだよ!ベルは強すぎる!! だから今回は僕だけでやる!」

『ん、りょーかい』

『キュイは?』

「キュイはこの後な」

『はいなの!!』


キュイの元気な返事を聞いた隼はキュイをベルの背中に乗せると腰のロングソードの柄を握りゴブリンを観察する。

ゴブリンの数はキュイの言う通り5匹だった。

武器は2匹が棍棒を持ち、3匹は果物ナイフより2回りほど大きい片手用の剣を持っている。

刃はボロボロで切るとゆうより叩く目的の物のようだ。

防具らしい防具は特になく、付けているのは腰布だけ。

その濁った色の腰布は見るからにかなりの悪臭を放ちそうだ。


「剣だけ、剣だけで倒すんだ、」


呟いた隼、最後の3日ほど訓練場で提供されている木剣で1日5時間ほど練習していた隼。

剣を握るのはこの世界に来る前も含め初めての事だったが、そこは天性の才能で3日とゆう短い期間にも関わらず剣に振られるようなことは無いだろう、とゆう程度には上達していた。

この上達の中には剣術スキルの獲得も含まれていた。

武術系のスキルに限らず、行動に伴ったスキルが発現するのには幾つかの条件をクリアする必要があり、例えば空手術のスキルなら空手の技を100回使うことと一定以上の空手への理解が要求されること。

理解とゆうのは、例えば上段突の構え、角度、狙うならどこがいいのか、みたいな技への理解だったり型の記憶や完成度だったり、こうゆうのを理解と言う。

これらの条件は剣術スキルにも同じことが言えて剣を使っての攻撃100回と剣技への理解となる。

剣の重心、振り方、姿勢、細々したことを言えば空手術もまだまだ理解とゆう項目は幅広く含まれるのだが、大まかに言えばこんな感じだ。

隼は重心の操作と姿勢の作り方に長けていた。

剣を使うこと自体は初めてのことでも身体操作には深い造型のある隼だから出来ることなのだが、これらの事から隼は剣術スキルをたった3日で獲得することが出来たのだった。

武術系のスキルのレベルを上げるにはそのスキルを使ってモンスターを一定数倒すことが条件のひとつとなることが多い。

、、、さて、剣術スキルLv1で獲得出来る技は《スラッシュ》と言う。

まぁ簡単に言えば強めに剣を振るだけのスキルなのだが、それでも威力の150%のダメージを叩き出すスキルなのでかなり使えるスキルだった。


「よっと、、スラッシュ!!」

「ギャギャアッ!」

「ギャア!?」


隼達を視界にとらえ臨戦態勢に入ろうとしていたゴブリン目掛け一直線に駆け出し剣を肩に乗せるようにして構えた隼は剣がギリギリ届くか届かないか、とゆう所で大声で技を発動する。

その瞬間、剣が弾けるようにかち上げられたかと思うとその勢いのまま剣は若干の抵抗をそのまま押しつぶすようにして全力ダッシュの勢いと技による補正のかかった斬撃をゴブリンの肩口から脇腹に目掛け放たれた。

ゴブリンの赤い血が派手に飛び散るがその時には既に次の敵に肉薄していた隼に掠めることはなく、そのまま横にブンッと振られた剣が次のゴブリンに迫り鈍器のように頭蓋骨を砕いて絶命させる。


「思ってた以上に切れ味が悪いが、まぁ仕方ないよな」

「ギャァアアーーー!!」

「ギャア!ギャアアッ!!」

「ギシャアー!!!」


瞬く間に2匹の仲間を失ったゴブリンたち。

1匹目の時はまだ理解していないのか惚けた顔をしていたのだが、さすがに2匹目が殺られる頃には何が起こっているのか理解が追いついたらしい。

5匹のゴブリン内でリーダーを勤めていたらしい1番後ろに居たゴブリンが大きな声で叫ぶと、それに呼応するように2匹の叫び声とも鳴き声とも取れない声が答える。

勢いよく駆け出したゴブリンの装備は2匹が短い剣で1匹が棍棒、リーダー的なゴブリンの武器は短い剣だった。

リーダーゴブリンが飛びかかるように隼に襲いかかるのを見て残りの2匹も真似て隼に襲いかかった。

リーダーゴブリンは短剣を隼の頭めがけフルスイング、隼の鼻先を空振りリーダーゴブリンは体をぐるっと回して地面に背中から派手に落ちてしまった。

半歩下がって避けた体制の隼は慣れない剣の重心があるせいで少しだけ重心がブレているように見える。

残り2匹はその隙に気付いたわけでは無いのだろうが偶然体重のかかっている右足に1匹の棍棒が迫る。

スネを殴られそうになり反射的に後ろに重心を移し勢いよく下がる隼。


「ツゥーッ、今のは危なかった、、」


流れた冷や汗を拭って件を構えた隼。

油断なく見据える隼の目の前で背中から落ちたリーダーゴブリンがゲボゲボと咳き込みながら立ち上がる。


「ゲェッホ、ゲェッホ、! ゲゲェエエエエエ!!!!!」

「「ゲェエエーー!!!」」

「来いっ!!」


絶叫を上げて走ってきた3匹に同じく叫んで迎え撃とうと剣を横一線に構え前項姿勢で待ち構えた隼の姿は嫌に様になっていた。

3匹のゴブリン、その武器が隼い襲いかかる。

冷静に、静かにその武器を見据えていた隼は、鋭く細めた目を開き、、


「スラッシュ!!」


横1文字に振られた剣が襲ってきた武器のうち2つ、棍棒と短剣を1つづつ捕える。

リーダーゴブリンは辛うじて短剣を引っ込め隼の腹を突き刺そうと短剣を構えようとしている。

スラッシュの直撃した武器が砕ける音が空間に響いた。

武器を壊し振り切られる寸前、隼が体ごと剣をグルっと回転させ下からかち上げるようにした一撃が見事にリーダーゴブリンの右手を巻き込みながら頭蓋を粉砕し一瞬で絶命させた。

その、あまりと言えばあまりな光景に唖然としていた2匹のゴブリンは何かするより前に頭を切り飛ばされ絶命することになる。

切れ味が悪いせいで首が皮だけで繋がっているような状態になっている。


「よし! いい感じかな」

『隼お疲れ様。剣つかいやすそう?』

「うん!まぁ普通に殴った方が早そうだけど、せっかくの異世界だしな! 殴るよか剣の方が雰囲気出るだろ?」

『いや、わかないけどね??』

『ご主人様すごいのです! お疲れ様でした!なのです!!』

「ん!キュイもありがとぉ〜 次はキュイが戦う?」

『っ! うんなのです!!』

「よーし!じゃ、次のゴブリン探してくれ!」

『うんなの!!』


元気よく返事を返したキュイが早速探知を始めるのを見て思わずクスッと笑ってしまった隼とベルは顔を見合わせて、一瞬キョトンとした顔をしたあと大笑いを始めてしまった。


「あははは!」

『クスッ、あはは!!』

『わぁ!?どーしたの!?』

「あ、ごめんごめん! いや真剣なキュイが面白くてつい、クク、、」

『キュイが可愛いんだもん仕方ないよ〜!あはは!』

『もぉ!なんなのー!!!』


照れてるのか怒ってるのか微妙な線の大声を上げてムクれてしまったキュイに再び笑いだした1人と1匹はやはり心底仲がいい。



ーーーーー



『居ないのです、!!』

「そう上手くは行かないかぁ〜」

『ほらキュイ元気だして! もうすぐ見つかるって!』

『そうかなぁ〜キュイは元気が無くなってきたのですよ』

「ゴーブゴーブゴーブーゴーブゴーブリーン」

『何その歌!きゃはは!』

『ご主人様元気なのです』


最初の5匹を仕留めてから1時間ほど経ってなかなか次が見つからないまま小休止とゆうことになった隼達。

都市を出る前に串焼き屋で買ったボア肉の串をハムハム食べながらダベっている隼達はキュイ以外けっこう上機嫌だった。

キュイはと言えば初めての戦闘にワクワクしていたのに1時間もお預け食らったもんだから気分が落ちに落ち込んでいる。

そんなこととは知らず呑気な自作の歌なんか歌っている隼にテンションがバグってるらしい、バカ笑いしているベル。

それとは対照的にキュイは珍しく冷たい視線を隼に送ってチビチビとボア肉を食べている。



ーーーーー



「くふふ、この辺から感じるなぁ?古代種の匂いだぁねぇ?」


呑気な雰囲気の一行の上空を滑空する存在がいた。

その姿は太陽を背にしているせいで正確に見ることは出来ないが、どうやら骨格は人間に似ているようだ。

違うのは背中から生えているらしいコウモリのような大きな翼と、影がかかっていても目立つ右目の上のおデコから生えている角だろうか。

それが頭より少し高いところまで伸びている。

その存在はジーッと何かを探すように下の方をキョロキョロと見回している。

そんな存在に隼とベルは愚かキュイもまだ気付いていない。

串焼きも食べ終わりあと10分ほど休んでまた探そう、などと話している隼達を見下ろす位置に到達したその存在が急停止する。

鼻をピクピクと動かしている様子からその嗅覚が相当優れているだろうことが分かった。

その鼻が探していた匂いを見つけたらしく、存在は真下を見下ろし何事か呟いている。


「、、あれ、か、? ふーむ、古代種が従魔に、、不思議なこともあるもんだ、なっ!」


語気を強めて一気に下へ加速した存在は高高度にあった体を数瞬の後残り100メートルほどまで縮めている。

ちょうど100メートル地点に入った時、その存在を感知したようでキュイはビクッと身体を動かすと上空に意識を向けた。

その時には既に隼達がイチャつくその鼻先に存在は立っていた。


「、、、んへ、?」

「おい、どっちが古代種だ?」

「んえ、?だれ、?」

『隼!! ごめん!!!』

『ご主人様!! この人、怖い、!!』


混乱して目を白黒させている隼。

ベルはそんな隼を後ろ足で軽く蹴り飛ばすと目の前の存在を躊躇なく全力でぶん殴った。

強化こそされていないがフェンリルの腕力でぶん殴られた存在は抵抗しようとする余裕もなく、辛うじて腕をクロスさせ顔面の直撃だけは避ける。

が、そんなもので威力を殺せるはずもなく存在は軽々と吹き飛ばされ50メートルほど地面から身体を浮かせかなり遠くの草の上に落ちる。

落ちた衝撃で周りの草は弾け飛び、土がえぐれかえる。

背中から激突し小さく嘔吐きながら起き上がった存在はダメージ冷めやらぬ中離れても見えるよう大きくなったベルのその威容を目の当たりにする。

4メートルの体躯と纏う気配がそれだけで空間を歪めるほどの圧を放つ。


「ありゃあ、ヤバいな、、(どうすんべコレ、)」


遠い目をして存在がつぶやく。


『君はたぶん、傲慢の魔王だね?』

「え!?いつのま、にっ!?」

『違ったらごめんよ? ただ、君からは危険な匂いがした』


速度と攻撃力にプラス5ずつ使いシンプルに殺傷力をぶち上げているベルの音速を超える速度が存在の認識を超えて目の前に君臨し、その絶技のようなただの叩き攻撃が『ズゴォンッ!!!』とゆう爆音を上げ存在を吹き飛ばした。

Lvが1上がる毎に1割ずつ上昇するステータス、単純計算でLv50のフェンリルが持つのと同等の速度と攻撃力に晒され、吹き飛ばされた存在は間違いなく重症だった。

しかし血を吐くでもなく目を回すだけでムクリと起き上がった存在は、確かな強さを持っているのもまた事実だったろう。


「ウッソだろぉ、、」

『傲慢の魔王で合ってるかって、聞いてるんだけど?』

「グボォッ! (くっそぉ、強すぎだろボケナスが、!!)」

『ほら!早く答えてよ!』

「エグッッッ!!!」


次は吹き飛ばすのではなく留める為の殴り方で殴るベル。

冷や汗を流し膝から崩れそうになる存在の横っ面をぶん殴るベルは、その存在に合致するものを神様に貰った知識の中で知っていたこともあり隙を与えることなく追撃を加え続けた。


「ちょっ!とっ!待ってくれ! 分かったって!俺は傲慢の魔王なんて、大層な者じゃないんだ! 傲慢の魔王に仕えていた魔人族の末席だよ俺!ほんとだ!!!」

『、、そっか』

「あ、あぁ、、ゴボッ、やべぇ殴られすぎた、、」

『それで?魔人さんがなんの用でこんなとこ来たのかな??』

「あーー、、先に聞かせて欲しいんだが」

『なにかな?』

「あのスライムって君のお仲間??」

『そうだよ?』

「あー、、よし!諦めた! もう近付かないからこれ以上は勘弁してくれ」


なんとか追撃をやめてくれたベルに安堵しつつ質問を投げた存在。

その答えを聞いて、「もはや諦めるしかあるまい、」とゆう様子で両手を上げ言った。

魔人族とゆう存在は言うなれば魔王の子供種族だった。

魔王が生まれた時からその氏族として支え続ける、それだけの存在。

例えば傲慢の魔王から生まれた魔人族なら傲慢の魔王に近い気配を持つとゆうのもおかしな話ではなく、ベルの知識はあくまでも傲慢の魔王がもつ魔力の雰囲気とゆうのか、そうゆうものだったので間違えたのも仕方の無い事だったろう。

氏族はそれぞれの魔王の最初の1人目が生まれた時から支え続けるとゆう関係上、魔王が死んだならば復活までその土台を整えることを目的とするようになっている。

この失敗を他の氏族に知られれば末席の彼を責める存在など星の数ほどいるのだが、まぁ死ぬよりマシとゆうのはその通りなのでこの選択も間違ってはいなかったろう。

ちなみに、魔人族はそれぞれの上に立つ魔王、彼らが持つ七つの大罪スキルの下位互換みたいなスキルをそれぞれ宿しており、これが魔人族を余計に厄介な存在へと育てていたりする。


「あ、それとこれはアドバイスなんだが、古代種を狙う奴ってのは魔神族だろうが人間種の連中だろうが星の数ほどいるんだ、気を付けてあげた方が良いと思うよ」

『その古代種ってゆうのはキュイの事を言ってるのかな?』

「そうなるのかな?あのスライムの名前だよな? 古代種とは少しけ色が違う感じもしたけど、間違いなくその系列であることは間違いないと思うよ?」

『そっか、助言かんしゃするよ。 ほら!聞きたいこと聞いたし行った行った!』

「、いいのか、? たすかる、!!」


どうやら許されたらしい、と思ったらしい魔人は言い残すと転移魔法を使うため魔力をおっかなビックリしながら練り上げる。

ベルが魔力の流れを見て攻撃か何かと錯覚して殺されないか内心ビクビクしていたが、そんなことは無い様子に少し安堵したような表情を浮かべた。

直ぐに魔法陣を構成し、次の瞬間地面に展開された魔法陣にドボンと落ちるようにして消えてしまった魔人を最後までジーッと見ていたベルは、何かを忘れていたというように口をあんぐり開けて、、


『なんか面倒くさいことになってきたなぁ〜、ま、キュイのこと好きだからいいけど』


7面倒臭そうな話とキュイを天秤にかけ、秒でキュイの方に天秤が傾いたベルは「うんうん、」と言うように頷いて呟くと隼の膝丈ほどの体高に縮むとトコトコ隼達がいる方へと歩き始めたのだった。

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