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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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転移の前に①

「ふわぁ〜、あー、よく寝た〜!」

「ワフッ、? ワンッ!ワンワンッ!!!」


隼が目を擦りながら起き上がるのとほぼ同時に一緒に目を覚ましたベルは隼より一足先にその光景の異常性に気付き吠える。

そんなベルの声を聞いて、しかし眩しくてなかなか目を開けられない様子の隼は状況など理解しているはずもなく「ベルは朝から元気だなぁ〜」と言いながら背中をコリコリと撫でる。

そんな隼の様子に嬉しいようなそれどころじゃないような、とゆう微妙な顔で戸惑っているベルが愛らしい。

、、、そんな1人と1匹のやり取りを見ていた人物がいた。

ペカー!っと光る輪っかが頭についていて、あまりにも綺麗な真っ白い羽を生やした人物。

その顔は控えめに言って芸術品のような美しさを称えている、と、そう表現されるほどに整っており、ブルーサファイアのような、どこか芸術品のような美しさを持った瞳は困惑の色をしている。

布切れ1枚まとったその姿は濃厚な色気を醸し出し、控えめな胸も芸術点を上げている要因の一つなのだろう。

全体的に幼そうに見える。

犯罪的な天使様は、隼の様子にかなり困惑していた。


「あれぇ? ベルの毛並みがすごいフサフサしてるぞぉ?

あはは〜不思議だな〜」

「ワフン〜」


ベルはどちらかと言うとしっとりした毛並みをした犬だった。

それはそれで枕にするとすごく寝付きのいい毛並みなのだが、これは富豪一家の母親が「ピッシリした毛並みじゃないとお友達にわらわれてしまうじゃない!!!」と、よく分からないことを言い出してから使用人にワックスをかけさせていた、とゆうのがひとつ大きな要因だった。

この空間において、それら科学的な干渉は存在しえない。

ゆえにベルは元来のサラサラでフワフワな毛並みを取り戻していたのだ。

そんなベルの背中に顔を埋める隼。

ベルも満更では無いようで嬉しそうに鳴いている。

このまま寝入ってしまいそうな隼に困惑していた天使様は慌てて声をかける。


「ちょっ!待ってください!!!寝るのはちょっと勘弁して欲しいってゆうか!!!」

「っ!?」

「グルルルルルルルッ!ワンっ!ワンっ!!!」


いきなりの聞きなれない声にビックリして跳ね起きた隼を見てベルが天使様に吠え散らかす。

犬好きなのかわ分からないが、ベルに吠えられてちょっとシュンとなった天使様は、しかし仕事は仕事だと切りかえさらに隼へと話しかける。


「アナタはワタクシたちの世界、アイシュタルで起きた戦争の余波により、、、」

「え!?誰!?ん?ここどこ!? ちょっ!ベルさん!!ここどこよ怖いってぇ!!!」

「ワフッ!」


知らない真っ白い空間に半狂乱になってベルにしがみつく隼、なかなか格好悪い姿である。

整った顔をしている分残念な気持ちになるその姿に、しかし見慣れているのだろう。

ベルは口先で器用に隼の頭を撫でて落ち着かせる。

どちらが主人か分かったものじゃない。

兎も角、これで少し落ち着いたのだろう、うっすらと固く閉じた目を開けて周りを見回す。

真っ白な、ただただ真っ白な空間がそこにはあった。

あまりにも現実離れした光景に目を奪われていた隼。

そんな隼の目を天使様の後光が刺す。

思わず閉じそうになった目に飛び込む神々しい姿に息を飲む、でもなくボケーッと眺めた隼は何かを思いついたのか急にニタニタし始める。

正直ちょっと気味悪い笑みなのだが見慣れたらしいベルは特に気に止めるでもなく頬を隼の手に擦り付けて「撫でろ!」と要求するのだった。

ただそれも信頼あってこそ、とゆう話で天使様はニタニタと笑う隼に若干引きつっている。

そんな事は気にもとめずに隼はワクワクしていた。


(これはあれだな?間違いなく。チートをくれるやつだな?いやぁドキドキが止まらないなぁ〜!!!何くれるんだろ?王道は鑑定眼的なアレだよなぁ?)


そんなことを考える隼。

全く呑気な事だが、隼は気付いていない。

自分が実に16年近くとゆう人生の大半をほとんど家庭教師としか喋っていないとゆうこと、それはつまり、、、


「あ、あの、えとえと、これはその、、あれなんです、かね、???あの、異世界に転移したり?転生したり?みたいな?そうゆぅ〜、やつです、か、?」


死ぬほどドモる隼。

仕方ないのだがニタニタした笑みとこのテンパった物言いは不気味以外の何物でもないだろう。

事実、天使様がさらに引きつった笑みを浮かべていた。


「ワフゥ〜ワンっ」

「ん〜? なんだナデナデがご所望かぁ? 全くかわいいやつめー!」


犬とはマトモに話せる隼、とりあえず気まずい空気から逃げるようにベルを、撫で回すのだった。

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