いざ訓練場①
隼達は現在、宿の一室で朝を迎えている。
寝覚めの悪い隼を急かすようにベルとキュイが乗っかって、やっと起き上がった隼を呆れた目で見つめて隼から降りるベルは長年の経験のためか、かなり様になっている。
「えー、コホンッ、今日の予定を発表します!!」
『わーい!なんだよー!』
『ドンドンパフパフ〜』
棒読みのファンファーレをスルーして「ステータス」と唱える隼。
隼の前には隼にしか見えない半透明のウィンドウが現れる。
「まず! 鍛冶屋で言われましたね?武器の製作に最短で5日かかるらしいと!」
『聞きました〜』
『聞きましたなの!』
「うんうん、いい返事ですね。 その5日間はゴブリンと戦うのもちょっと怖いので、基本的に薬草採取以外のクエストは5日後から開始、とゆうことにします!」
『はーい!なの!』
『りょーかい〜』
この辺は昨日の夜にチラッと話しを聞いていたベルとキュイ、語尾に「もう聞きましたー」が着きそうな若干ほうけた返事を返す。
そんな2匹の様子に、しかしもうその手の視線に慣れてしまっている隼は見事なスルースキルで先を進める。
「と、ゆうことで! 我々がそろそろ本格的に確認しなければいけない部分に触れていきたいと思います!」
『、? どうゆうことなの?』
『確認、??』
「そっ!ズバリ!!」
『ズバリ?』
『ズバリ、?ってなんなの、?』
「あ。うん、ズバリってゆうのはなんか、話のメインってゆう意味、かな、?」
『なるほどなの!』
『へぇ〜 聞き流してたから初めて知った』
小さい頃から隼のその手の発言は度々あったのだが、基本聞いてる振りのベルさんは心底興味無さそうな顔で言った。
全く失礼なオオカミだ、とため息をひとつ、気を取り直して隼が話し出した。
「、、、改めまして! これからの5日間ですが!」
『うんうん!なの!』
『長いな、』
「そこっ!長いとか言わない!! 5日間!我々はそれぞれのギフト、スキル、魔法、と言った中で不明点の多いものを検証していきたいと思います!!」
『あー、なるほどね〜 不明な魔法って何?』
「そりゃキュイの魔法だよ」
『あ、そっか』
『、?キュイなの?』
「そ!キュイの???って魔法について!」
『なるほどなの!』
『ボクの場合、黒霧とか危なくない?どこでやるの?』
「ん?そりゃ薬草取りに行ったとこだけど?」
『絶対だめでしょ! 魔法も使うんでしょ!? 薬草死滅するって!』
「たしかに、、あ、どうしよ、?」
『ご主人様が言ってた訓練場?ってところじゃダメなの? 怪我とかしないんだよね?』
「あー、確かにいいかもな、朝ごはん食べたら貸出してるか聞いてみよう」
『そうだね! あ、でも探索者ギルドの訓練場に張ってある結界って耐えれる最大の魔法がLv6までらしいけど、大丈夫なの?』
「うーん、まぁLv6まで試せたら僕としては問題ないよ? キュイの魔法がLvも表示されてないってゆうのが怖いけど、」
『? キュイの魔法はね?色んなものが見える魔法なんだよ??』
『ん?え!?キュイ魔法がどんなのかわかるの!?』
『?うんなんだよ! キュイはね? 色んなものが見えるんだよ! そうゆうものなんだけど、他の子達は見えてなかったの! だから多分キュイだけなんだよ! ってことは、魔法なのかな?って思ったんだよ!』
「なるほど、そうなのか、確かにキュイ、目なんてないのに空間把握がしっかりしてるよな、そうゆうものなのかと思ってたけど、たしかにそうゆう魔法もあるのかもしれない、、よし!その線で訓練場で調べてみような!」
『キュイそんなすごいこと出来たの!?ボク気付かなかったよ!』
『うんなんだよ!』
キュイの魔法は正確にはそういった効果を前提として必要とするだけでそれが主要な力、とゆう訳では無いのだが、そんなことは知らない隼とベルは感心したようにコクコク頷く。
『訓練所で黒霧って大丈夫なのかな、?』
『くろぎり、?』
「すまんベル、僕も黒霧?ってスキルの効果を知らないんだが、どんな物なんだ?」
『あれ。説明しなかったっけ? たしか転移してきてすぐ危険だから使えないスキルがあるって言ったと思うんだけど?その時説明もしなかった?』
「ふっ、覚えてない」
ドヤ顔で鼻を鳴らす隼に軽いため息を吐いたベルが説明を始める。
『黒霧ってゆうスキルは破壊魔法派生スキル、とゆうものらしいよ? 他にも黒炎、とか黒雷、とかって色々派生しているみたいだけど、根本的な効果は全部おなじ。 発生した現象に触れたものに破壊魔法を付与するらしいよ。 中でも黒霧は創造魔法の側面を持っているかなり特殊なスキルらしいんだよね。 破壊魔法とかどう考えても危険だよね?ってこと』
「え、、なにそれクソかっこいいな、、 ま、まぁいい、そんな危険そうなスキルなら今回は見送りでもいいかもしれない、、とりあえず朝食食ってギルド行く道で後のことは詰めていこう!」
『そうだね!』
『はいなの!』
話してるうちにお腹がすいてきた隼が提案すると2匹は身を乗り出して賛成する。
この2匹もお腹ペコペコなのである。
ーーーーー
「あ!ハヤトさんおはようございます!」
「おはようクラナ、朝食たのめる?」
『クラナさんおはようございます』
『おはようなのでーす!』
元気なクラナの声にふりかえって返事を返す一同。
基本的にクラナに苦手意識のあるベル以外は元気いっぱいの挨拶をするのだが、隼は朝から乗っかられて強引に起こされたのが微妙に糸を引いているらしい、あまり元気一杯!とゆう感じでは無い。
「朝食ですね! 五分ほどでお持ちします!こちらでお待ちください!!」
「ありがとうクラナ、」
席につきボケーッと上を見上げる隼。
俯くと寝てしまいそうな隼の心ばかりの抵抗である。
そんな隼を尻目に、知ってか知らずか床に寝転がってしっぽを降っているベル。
当て付けか!とも思った隼だが、慣れているので特に口から出てくることは無かった。
キュイはベルの背中で揺れている。
何が楽しいのかイマイチ分からないが笑っている姿は愛らしくその光景は絵になる。
そんな感じで5分間思い思いにボケーッとしていた一行の机にお盆がふたつ載せられる。
「お待たせしました〜 シャガーフライとシャケの切り身、あと今日は珍しいものが入ったんですよ? これ!お米ってゆうらしいんです! ピカピカで美味しそうでしょう?あと、、」
「こめ!?」
『ボク達より前に来た人が見つけて広めたのかも』
『お米ってなんなのです???』
出てきたジャガーフライってゆうのは、まぁ簡単に言えば、、ポテチである。
ちなみに隼はコンソメ味と塩味の2種類でベルとキュイにはのり塩味だ。
これも驚きなのだが、次に出てきたのは鮭だった。
ずばり、隼の好物のひとつである。
味噌のようなものを塗ってから焼いているらしい、スーパーで度々見た事のあるフォルムに度肝を抜かれる隼。
しかし、最後に出てきたのはそうゆう驚くとかじゃない、感動だった。
生粋の日本人であり毎食米を食べていた隼にとって、、まだ数日ではあるが米抜きの生活とゆうのは大なり小なりストレスになっている。
もちろん、異世界にあるはずもないと諦めていたのである程度自制は効いていたのだが、、
「はい!お米です! 知ってましたか、?」
「あ、あぁ、すごく好きだよ、?」
「え!?、好き!? 、、あ、米がですか。美味しいですよね」
『クラナさん顔赤いよ?大丈夫??なの??』
『隼は垂らし屋さんだね?』
混乱して挙動のおかしい隼、勘違いして真っ赤になって直ぐに察して照れてさらに赤くなるクラナ、クラナに心配の眼差しを向ける可愛いキュイ、そして隼に引くほど冷たい目を向けるベル。
その視線に気付いたからなのか、定かでは無いが一瞬で冷静になった隼はスプーンを掴んでそっと米を持ち上げる。
魔道ランプの明かりを反射してピカピカ光る米にキラキラした目を向けた隼。
「本当に米だ、、んんー!おいしぃ、! ご飯に鮭とか、もう最高だろ、!」
大興奮でかっこみ始めた。
その様子にきょうが削がれた、とゆう感じで自分も食べ始めるベル。
キュイは最後までクラナを心配そうに見ていたが、客に呼ばれてクラナが走っていくのを見送ると少し安心した様子でチョコチョコと食べ始めた。




