鍛冶屋へ②
隼VSベル&キュイの仲良し戦争はだいたい4時まで続いた。結局全財産のうち銀貨数枚を残し、残りは全て隼、キュイ、ベルの全員の防具に使う、とゆうことで決着した。
この都市は他の町より格段に装備や薬品類の値段が安いことで有名だったりする。
そこそこいい防具を発注しても金貨1枚しない。
この都市はそれだけ徹底してダンジョン産業に力を入れている。
ベルに強力な防具を、胴で金貨1枚、両腕買って金貨1枚、両足でさらに金貨1枚。
キュイは特別強力なコアガードを金貨3枚分でかう、とゆう事になった。
因みに、金貨3枚のコアガードとなると強力な魔獣の魔石を砕いた粉末を多量に含んだ特別性のアダマンタイト、とゆう事になる。
上位に位置する冒険者でやっと装備するレベルの高価なものだ。
もちろん、スライムに使おうなどとゆう発想自体ほんらい存在しえないような高級素材だ。
ベルの防具も特別性では無いがアダマンタイトと軽銀の合金で作ることに決まっている。
あとは鍛冶屋に話を通すだけ、とゆう所まで持っていった隼は今、勇み足で鍛冶屋に到着した。
「ごめんくださーい!」
『ごめんくださーい!なのー!』
『ごめんくださ〜い〜』
従魔と一緒に入店できる、とゆう事でまとめて入ってきた隼たち。
まぁ、従魔のサイズに合わせて防具を作るのだから、寸法を取るためにも店外で待たれたら二度手間だから、とゆうことなのだろう。
かなり合理的な主人なんだなぁ〜と隼は心の中でおもっていた。
「あれ、居ないのかな、?」
『もぬけの殻なの!』
『閉店なんて書いてなかったよね??』
隼達が入ってきた扉にかけられた立て札を見ると、そこには確かに営業中、と書いてある。
「なんじゃなんじゃ騒がしいのぉ!」
手持ち無沙汰で混乱するしかない一行の耳に、カウンターの奥から声が響く。
カウンターの奥は扉が着けられていて、その奥には工房があるらしい、と道中寄った串肉屋の店主に聞いていた隼は「作業中だったのか、」と納得顔で頷く。
「なんじゃ若い兄ちゃんが来るなんて珍しいのぉ? 何が入り用だ?」
出てきたのはドワーフ族の男だった。
何か丈夫な皮を持つ魔物の皮でできているのだろう、見るからに丈夫そうな油汚れまみれのエプロンをした隼の胸ほどまでの身長の男、その髪は白く染まってはいるが、ハリのある髪を束ねて短いポニーテールのようにしているのが妙に若々しく見える。
目は鋭いが職人肌独特のコブだらけの手からは僅かに温もりを感じる。
「あ、えっと、従魔の防具を買いたくて、あ、なかったら発注したいんですが、今大丈夫です、か、??」
「ガッハッハッ!若いのにそう緊張するんじゃない!こんな老耄だ、構わずフランクに行こう!」
「あ、ありがとうございます、、えっと、僕は隼と言います! 」
「うむ!ワシはガンク!周りの連中からはガン爺と呼ばれておる! よしハヤト! どんなものが欲しいか聞かせてみろ!」
「あ、はい、!」
リードしていくタイプなのだろう、ハツラツとしたガンクの様子にどこか憧れのようなものを瞳に宿した隼は大きく返事を返すとキュイを持ち上げる。
「ま、まずですね、この子のコアを守るカプセルみたいなものが買いたいんです!」
「ふむ、コアカバーか、こんなもんピンキリだからなぁ、幾ら用意してきた?」
「あ、いちおう、この子のコアカバー?には金貨3枚を考えてます!」
「金貨3枚!? 良く用意したな!?若いのに大したもんだ! 金貨3枚もありゃミノタウロスの魔石で粉塵を作って特殊アダマンタイト製にしても余りそうだな、余剰分はワシがコアガードに硬化と自動修復を付与しておこう。 安心せい!この都市で右に出るものの居らんワシの硬化と自動修復だ! そのスライムのコアを傷付けようと思ったら古龍のドラゴンブレスでも持ってこない限り文字通り歯が立たんだろう!」
「本当ですか!?助かります、!」
「それで?そのオオカミの方はどうするんじゃ?」
「あ、いちおう胴と両腕両足で合計金貨3枚か4枚で抑えたいと思ってます。 一応武器とかも買いたいので」
「ふーむ、ならアダマンタイト製でいいだろう、、、」
トントン拍子で決めていくガンク。
流石は探索者に人気の鍛冶屋だけの事はある。
「それで?武器とゆうのはどんなものを想定している?」
「はい! まずこのスライム、キュイと言うんですが、キュイには体の中で扱えるコアより2回りほど大きい鉄球を考えてます」
「ほぉ? なるほど!スライムの体の形を変えるスキルを利用して攻撃するのか、確かに強そうだな」
「ホントですか!?良かったです、、それでベル、このオオカミの武器は巨大な爪の着いた篭手、みたいなものを考えています」
「ほぉ?なかなか面白そうだな! ん、ハヤト、お前は防具買わんのか??」
「あー、出来れば皮鎧みたいなものが欲しいんですけど、所持金か金貨10枚までしかないんですよね」
「ふむ、鉄球と篭手を合わせたら最低でも金貨7枚と銀貨5枚、と言ったところか、、」
「あ、じゃあ銀貨5枚分くらいで見繕ってもらえれば僕は大丈夫です!」
「む、そうか? ならそうするか、、」
「剣も探してるんですけどアソコにまとめてあるのってセール品、みたいなやつですか??」
「おう!そうじゃな!ただ物が悪いからオススメはせんが、」
俯いてポリポリと頬をかくガンク。
隼は「別にいいですよ」と答えてセール品の剣を物色する。
数分、1本気に入ったものを見つけたらしい隼が1本の剣を持ってくる。
値段は一律銀貨3枚らしいので気兼ねなく帰ると内心舞い上がっている隼。
「これか、分かった! そうだな、この剣も少し研ぎ直してやらないかんし、、渡すのは1週間後、とゆうことでも大丈夫か?」
「はい!むしろ思ってたより断然早いくらいです!」
「そうか!ならこの剣も含めて1週間後に取りに来てくれ! あぁ、代金は渡す時でいいからな?」
「ありがとうございます! 1週間後、楽しみにしてますね!」
「おう!最高傑作作って待ってるぞ!」
そう言って手を振ったガンクに背を向けて店を出ていく隼。
その後に着いて出ていくベルとキュイ。
「もうかなり暗いな、」
『ホントだね?宿に戻らなきゃ、そろそろ夜ご飯の時間だよ!』
『わぁ!おそら綺麗なの!!』
隼とベルが時間を心配しているのを他所に森の中からでは遮られてよく見えなかった星に見とれるキュイ。
今日も隼達一行は平和なのだった。
ーーーーー
「2人の防具、どんなのになるかな?」
『隼。本当に良かったの? 隼の防具だけ銀貨3枚なんて、、』
『そうなんだよ、キュイはご主人様が怪我しちゃったら嫌なの、、』
「大丈夫だって! もともとFランクの依頼なんて危険なやつでもゴブリンの討伐、それも集落の捜索とかじゃなくてはぐれのゴブリンとか巡回のゴブリンくらいしか出ない依頼しか受けれないんだし。そもそも銀貨3枚といえば普通はEランクでは危なげなく使えるらしいしな」
『そうは言っても隼が言ったんでしょ?もしもの時が無いとは言えないんだからお金は使うだけいいんだって。 隼ももしもの時があったらどうする気なの、??』
『そうなんだよ! ご主人様はなんか! 自分のこと全然大切にしてない感じがして!キュイは!キュイはすごく心配になっちゃうよ!!!』
「いやぁ、そもそも僕の戦闘スタイル的に高くて丈夫な防具って動きの邪魔にしかならないってゆうのもあるんだよね」
『それはそうかもしれないけど、、』
『ご主人様、ほんとに大丈夫、なの、??』
「うん!ベルもキュイも心配してくれるのは嬉しいけど、僕は大丈夫だから!ね?」
『隼がそこまで言うなら、、』
『キュイも引き下がるの、、』
鍛冶屋を出て《羽衣亭》に帰ってきた隼達は夕食まで部屋でゆっくりすることにしていた。
最初こそこんな感じで心配1色のムードだった部屋だが、さすがにそう長くそのテンションも続かない。
「ベル、気持ちいいか?」
『うん、、気持ちいい、、』
「キュイも気持ちいいか〜?」
『うんなんだよ、気持ちいいんだよ、、』
気付けば心配ムードなんてどこかに行ってしまったようにベルとキュイは隼に撫でられてご満悦になっていた。
隼は隼で撫でられて嬉しそうな2匹にとろけた笑みを浮かべている。
夕食まであと30分と言ったところか、隼はその30分、ずっと2匹を撫で回し勢揃いでクラナが呼びに来るまでうたた寝する事になるのだが、それはもう幸せそうな寝顔で起こしづらかったとはクラナの後日談であった。




