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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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キュイの可能性②

「それではギルドカードと従魔証明書を提示してください」


門前に来た隼はアイテムボックスからギルドカードを出し、ベルの首とキュイの頭に乗ってるペンダントを外すと全部警備兵に渡した。


「はい、問題ありませんね。 これからご依頼ですか? 暗くなるとこの辺もモンスターが出て危険なので十分気を付けてくださいね」

「はい、ありがとうございます」


数秒で確認を終えた警備兵に軽く会釈をしてギルドカードをアイテムボックスにしまう。

ベルの首とキュイの頭にペンダントをかけた隼はシューガルから伸びる街道を外れて少し移動する。


「この辺、背の高い草が多い気がする、、 」

『薬草採取ってなんて薬草なの?』

「あぁ、こんな感じの草らしい、」


そう言いながら隼はアイテムボックスを開き依頼受注のコピーを出す。

その真ん中にはデカデカした草の挿絵が。

回復ポーションとゆう薬に使われる草らしい。

名前はポーラン草。


『ふーむ、うーん、、見分けつかないなぁ、、』

「な?僕も全然違いが分からないんだ、、」

『、、これ食べたら元気になる草だよね? キュイ分かるよ?』


挿絵を見ていたキュイがそんなことを言い出した。

そう、キュイが育った森の中に同じものが自生していた。

あんな森でこれまで無傷で生き残って来たわけが無いキュイは、怪我のたびにこの草を食べて何とか生き残っていたりするのだ。

それだけが理由では無いが、今はいいだろう。


「、、キュイ、この草探してくれるか、?」

『、? アレなの』

『アレって、?』


どこか不思議そうに言ったキュイに小首を傾げる隼とベル。

その様子でさらに不思議だなぁ?とゆう顔になるキュイ。

キュイはピョンピョンと飛び跳ねて背の高い草の中に入っていく。


「キュイ〜?大丈夫か〜?」

『遅いなぁ、大丈夫かなぁ、食べられたりしてないよね、?隼、?』

「う、うん、キュイの存在を感じるから大丈夫だと思うんだけど、、」


嬉々として飛び出したキュイがなかなか帰ってこないもんだから気が気じゃないベル。

テイムされたモンスターと主人の間には特殊なパスが繋がれている。

そのパスを伝って隼には何となく元気に飛び跳ねて何かを摘み取っている?キュイの存在が感じられていた。

、、、10分ほど、帰ってきたキュイは器用に体の一部を伸ばして大量の草を抱えていた。


『あっ!キュイおかえり!!! 怪我はない?大丈夫だった、?』

『、?うんなんだよ! ご主人様!はいコレなの!』

「おお!こんなにいっぱい積んできてくれたのか、!! ありがとうなキュイ!! でも見分けつかないなぁ、、」

『キュイは凄いんだね! でも心配したんだよ、、? 無事でよかった、』

『うん!大丈夫なんだよ! 兎さんに見つかったけど逃げれたんだよ!』

「うさぎ!? 怪我は!?」

『大丈夫なの!!』


隼とベルが心配顔で覗き込むものだからキュイはどんどん嬉しくなっていくらしく声が喜色1色に染め上がっている。


『キュイ、ご主人様の役に立てた、の、??』

「あぁ! いっぱい役に立ったよ! でも、コレからは一緒に探すようにしような?」

『そうだよキュイ! ボクがどんなに心配したか、!』

『うん!分かったの!!! キュイ一緒に探すの!!!』

「よーし!それじゃみんなでもう1回探しに行こっか!」

『!?わーいなの!!!』

『そうだね隼、キュイ、案内してくれる?』

『うん!うんなの!!!』


ベルの目線より少し低いくらいの草が生い茂る草むら、その中にキュイはポムポムとゆっくり入っていく。

キュイの速度に合わせて進む隼とベルは野生のうさぎとかが襲ってこないか警戒しつつキュイの後ろを歩いている。


『あ、コッチにあるの』

「ん? そうなのか、」

『あれ?この草は違うの?』

『うんなの、それは食べたらピリピリするの』

「これ毒なの!? キュイが居なかったら危なかったな、、」

『この辺は全部さっきの草だよ?』

『キュイすごい!!!』

『えへへ、照れちゃうの、、』


少し遠い草をそれと見分けるキュイに多少驚いてはいるものの、「キュイは凄いんだなぁ」で済ませてしまうのが隼とベルをのんびり屋たらしめる所以であろう。



ーーーーー



、、、そうこうしてる内に、100本近い薬草を集めた隼達は門をくぐって探索者ギルドに向かって進む。


「お! ボア肉の串焼きだ! 今日はキュイがいっぱい頑張ったからな、キュイ、何本食べたい?」

『? いいの?なの?』

「うん!今日の功労者だからね!キュイはいっぱい食べる権利がある!!!」

『うーんと、うーんと、じゃあ、3本!!!』

「よし!ベル!行こう!」

『うん!』


1人と2匹がボア肉の串を売っている列に並ぶ。


「ボア肉の串焼き、3本ください」

「お!こないだの兄ちゃんか! 3本銅貨60枚だよ!」

「これでお願いします」

「あいよ! 銅貨40枚のお返しね!出来るまでそこで待っててくれ!」

「はい。」


隼の事を覚えているらしい、店主に銀貨を出して銅貨40枚を受け取った隼は備え付けの椅子に座り膝にキュイを乗せた。


「あらためて、キュイ?。お疲れ様」

『ん〜、くすぐったいの〜』

『キュイお疲れ様!』


隼には撫でられベルには頬を擦り付けられて嬉しそうなキュイ。

最近ベルばっかりで少しだけ我慢していたキュイ、嬉しくて溶けてしまいそうである。


「兄ちゃん焼けたよ!」

「あ!今行きます!」


隼はキュイを抱き上げると三本の串を受け取って歩き出す。

串をキュイに渡そうとしたら、


『ううん!キュイは1本でいいの!』

「あれ、あんまりお腹すいてなかった、?」

『じゃあ、返してこようか?』

『ううん!違うの!!! みんなで食べよ!なの!!!』

「っ!! キュイは可愛いなぁーーー!!!」

『キュイが偉すぎて僕泣きそう、!』


隼には頬擦りされるわベルにはペロペロと舐められるわのキュイ。

相当嬉しいのだろう、キュイは『幸せなの、、』と、心の底から呟いた。



ーーーーー



隼が薬草を提出している間、従魔舎で待っている2匹は幸せそうに話している。


『キュイ、頑張り屋さんで偉いね、』

『もぉ、ベルくん、くすぐったいのぉ、、』

『キュイは偉いから仕方ないんだよ?』

『そ、そうかな、、?キュイ偉いかな、』

『当たり前だよ!!! ボクや、隼には出来ないことが、キュイには出来るんだよ?』

『そっ、か、、うん!キュイ偉い!なの!!!』


ベルにペロペロ舐められて嬉しいような照れくさいような様子のキュイ。

可愛すぎる光景である。

今日のMVPは間違いなくキュイなのだ。

隼がギルドに入る度に、ベルの話し相手はキュイだった。

ベルは隼よりも長い間キュイと話し込んでいる。

ベルは家族のように感じている。

キュイも同じなのだろう、本当に心の底から嬉しそうにベルに舐められている。

ベルには元々好きな人を舐め回すくせがあった。

とは言っても隼にだけだったのだが、、

隼が、大きくなってからはそうゆうことも減ってきてベルとしては悲しくなっている。

そんなベルにとってキュイの存在は、あるいは渡りに船だったのかもしれない。

幸せな1幕であった。



ーーーーー



「こ、こんなに取ってきたんですか!?この短時間で!?」

「あ、僕じゃなくて使い魔のキュイって子が探してくれたんです。 薬草に詳しいみたいで、本当に僕には過ぎた子達です」

「そうでしたか! 怪我もなさそうで安心しましたよ、、それでは決算してきますので少々お待ちくださいね隼さん」


ギルドのカウンター、100本近い薬草を前に隼はルーラと話していた。

薬草を10本ごとに束にまとめて10束、パパッと作ってしまったルーラは隼に笑いかけるとカウンター裏の扉から奥に引っ込んでいく。

その笑顔にホッコリした隼は、ルーラが帰ってくるまで落ち着かない様子で下を見たり上を見たりしながら待っていた。

その頬が少し朱色に染まって見えるのは女性慣れしていないからとゆうだけなのか、、


「お待たせしました! すみません時間がかかってしまって、まず!隼さんが持ち込んだポーラン草の数はちょうど100本でした。 依頼は10本につき銀貨1枚となっていますので、、報酬は金貨1枚となります。 それから、今回の依頼で実質10回分の依頼をこなした事でFランクへの昇格が可能ですが、どうしますか?」

「え!?もうですか!? 早いんですね、、」

「GランクからFランクならそう珍しいことでもないですよ。 もちろん凄いこととゆうのに変わりはありません!さすがです隼さん!ただ、Fランクからは討伐依頼などが受注できるようになります、、危険の伴う依頼です、昇格するのなら気をつけてくださいね?」

「はい、できるだけ気をつけてみます、昇格お願いします!」

「かしこまりました。 それでは手続きに5分ほどかかります、この番号札を持って列を外れていてください。 番号が呼ばれたら来てくださいね? ギルドカードはその時にお返しします。」

「はい!ありがとうございます!」


そう言って003と書かれた番号札片手に列を抜け、誰もいない椅子を探して席を確保した隼はソワソワ落ち着かない様子でカウンターを眺めるのだった。


『003番でお待ちの方、昇格窓口に来てください』


そのアナウンスにドキッとしつつも立ち上がった隼。

向かうのは《昇格窓口》と書かれたカウンター。

誰も並んでおらずすんなり通ることのできたソコには、男性スタッフがいた。

ルーラじゃないことに少ししょんぼりしながらも、しかし男性スタッフなことにすこし元気になるとゆうかなり器用なことをする隼。

隼はさっきルーラに聞かされたのとほぼ同じ説明を聞き、、


「ではこちら、ギルドカードになります。 Fランクに書き換えてありますのでご確認ください。」

「あ、はい。」


ギルドカードを見るとさっきまでGランクと書かれていた真ん中の所にFランクと、書き込まれていた。

改めてランクが上がったのだ、と実感した隼の顔が綻ぶ。


「くれぐれも、命の危険を犯すことのないようお願い致します」

「はい!ありがとうございました!」


お礼を言った隼は足早にギルドを飛び出し従魔舎に向かうのだった。



ーーーーー



「キュイ、キュイのおかげでこんなに早くランクが上がったよ。 ありがとうね?」

『ううん、キュイ、ご主人様の役に立てて、すごく嬉しかったの、、だから、ありがとうはキュイが言うの! ご主人様、キュイを拾ってくれてありがとう!なんだよ! ベルくんも!いつも構ってくれるの、すごく嬉しいんだよ!ありがとうなんだよ! 2人とも!大好きなんだよー!!!』

『わっ!キュイー!!!ボクも大好きだよー!!!』

「僕も大好きだー!!!」


宿に帰ってきた隼とベルがキュイのそんな言葉に感極まって1人と2匹が抱き合ったままずっと「大好きだよー!」と言い合っていたのは、これはまぁ良い1幕なのだろう。

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