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愛犬と行く怠惰な異世界スローライフ  作者: レーザーらいおんマン
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プロローグ

はじめまして。

初めての執筆で緊張してますができるだけ毎日投稿で頑張りたいと思っています。

よろしくお願いします!

「ベル、なにしてんだろな、俺」

「ワフ?」


男は愛犬に死んだような目を向けてたずねた。

別に返答を求めて聞いた訳では無いのだろうその問いに、愛犬ベルは不思議そうな顔を向けたかと思うと食べていたご飯を後回しに疲労困憊でマイナス思考なご主人を心配したのか彼の手に頬お擦り付けて「元気だして」とでも言うように弱々しく鳴く。

男はそんな愛犬の様子に少しだけ光の戻った目を向けて頭をコリコリかいてやる。


「クゥ〜ン」

「気持ちいいかぁ? 可愛いなぁベルは」


深い隈を隠すのと目の疲労を和らげる、らしい広告と共にセール品で300円くらいで売られていた伊達メガネを外して愛犬とじゃれている男の名は神馬じんば はやとという。

金持ち富豪の両親を持ち愛の無い家庭で友達は愛犬のベルだけ、学校は危険だからと言われて名ばかりの在籍で1度も登校することなく大学卒業まで家庭教師をあてがわれていたため、ここ数年はコンビニ以外ではほとんど家庭教師とたまに部屋に現れてはイライラをぶつけるようにものを投げてどこかに行く母親としか会話らしい会話をしていなかった。

もっとも、母親にしても捲し立てるように暴言だけ置いて部屋を出ていくので会話というのが果たして正しいのか、それは分からないが。

父親に至っては最後に帰ってきたのは2年前だったか3年前だったか、海外の別荘で愛人と仲良くしているらしいということだけしか隼は知らない。

そんな愛の無い家で育ったのだ、隼の愛犬に対する執着心の強さも仕方のないことなのかもしれない。

隼は愛犬ベルが寿命を迎えたら同じ場所に行こうと腹を決めていた。

そんな隼は大学卒業後すぐに父親の経営する数多くの会社の中で衣料品店を受け継ぎ、今は引き継ぎの書類やら先月先々月の売上を眺めていた所だったらしく机の上は書類の山になっていた。


「少し休憩するか、ベル! 久しぶりに公園でも行くかい?」

「ワフンッ!!」


気分転換に外出したかったのだろう、隼はベルの背をコリコリとなでながら言う。

それを聞いて嬉しそうに1吠えしたベルは善は急げと玄関に走っていく。

それを見て実に数日ぶりの含みのない満面の笑みを浮かべてその後を追う隼は本当に幸せそうだった。

、、、そんな時、なんの偶然か、隼の全てを変えてしまうキッカケがほんの数歩先に迫っていた。


(こんな家捨ててベルとどこか遠くに行けたらどんなに幸せだろう、まあ無理な話か。 親父がそんなこと許すはずがないからなぁ、いっそ異世界にでも飛ばされたら気が楽になるんだけど、それこそ無理な話か〜)


あるいは幸せな時間のためそんな思惑を巡らせていた隼の心に呼応したのかもしれない。

玄関を開けると同時に駆け出したベルと後を追う隼、しかしその目の前にはまるで火の周りの空間が歪んで見えるように歪んでしまった光景が待ち受けていた。

急に止まれるはずもなくそこに飛び込む1人と1匹。

異界の地で生じた空間の歪みが、たまたま彼の家の玄関に繋がる確率はどれほどなのだろうか。

かくして隼とベルは異世界へと飛ばされたのだ。

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