表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追加ヒロインかつ隠しボスですが、できることなら隠れていたい~やがて氷瀑の魔女と呼ばれる悪役聖女の私はトゥルーエンドを目指します~  作者: 桜枕


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/42

27 ドラゴンを葬る

 "水沫みなわの魔女"が仲間にならなかったことで私がこのパーティーから抜ける可能性はなくなった。

 と言っても、レクソスは最初からそんなつもりはないと明言していたから、あとは私の気持ち次第だった訳だけど。


 正直、今のレクソス達との関係は気に入っている。

 素直に楽しいと思えるし、気を遣うことなく自分の意見を言える。

 ただ、私はこっち側の人間ではないのだ。

 ふとした瞬間に、特に三人が笑っているときにそんなことを考えてしまう。


 私が魔王の手先として彼らの前に現れるたびに、彼らから笑顔が失われる。

 現れなければ良いだけの話だけど、そうするとデュークを笑顔にできない。

 だから私はレクソス達の前に立ちふさがるのだ。

 と、息巻いているけど今の私は冷や汗を流している。


 なぜなら、私達の前には五つの頭部を持つドラゴンが立ちふさがっており、それぞれの口から五属性のブレスを放っているからだ。


「おいおい、こいつって!」

「間違いない。デュゥとボク達で創ったドラゴンだ」


 レクソスの指示を聞かずとも、私達は自分の属性魔法が優位に立てるように各頭部の相手を始めた。


 火属性のエレクシアは風属性の頭部。

 風属性のシュナイズは雷属性の頭部。

 雷属性のレクソスは土属性の頭部。

 水属性の私は火属性の頭部。


 しかし、残った水属性の頭部が私達四人の邪魔をする。

 弱点であるエレクシアに任せる訳にはいかず、優劣関係のない私が一人で二つの頭部を相手にすることにした。

 ドラゴンを相手にしながら他人を気遣う余裕はないけど、私にはアクアバットがいる。


「ウルティア!」

「ボサっとしないで! 私が二つの相手をしますから、さっさと終わらせて加勢して下さい」


 水属性の頭部にはアクティブガードナーで自爆を狙い、火属性の頭部には確実にダメージを与えていく。


 それでも最初から四対五は不利だ。

 しかも、元凶のデュークはいないし。

 なにが「旅の道中で見つけたら倒しておいてくれ」よ。また私に尻拭いさせて!


 デュークへの憤りをドラゴンへとぶつける。

 しかし、彼の土属性魔法と闇魔法で創造された幻獣は非常に固く、倒しきれない。


 あぁ、もう! デューク!

 声には出せないから、心の中で喚き散らす。


「見つけたぞ。俺の作品」


 刹那、私の影が伸びて中から黒い物質が這い出てくる。

 やがてそれは人型となり顔が出来上がった。


「……どうして、ここに」

「お前の声が聞こえた」


 まさか、影の転移魔法!?

 え、それともずっと私の影に潜んでいたとか……。

 あれ、変態かな。


「レクイエムは俺が捧げよう」


 あぁ、また調子に乗ってる!

 全部デュークが悪い。それは間違いないのだけど、彼の一撃は水属性の頭部を気絶させるほどに強力だった。


「お前達、なにをもたもたしている」

「「「デュゥ!?」」」


 驚愕する三人の前に立ったデュークが土属性魔法でドラゴンの動きを止めた。

 なにも言われてないけど、咄嗟に水属性魔法を発動し、土を泥や沼に変えて更に強固に動きを封じる。


「こいつに言われなかったか? とりあえず、ぶっ放せ。と」


 なぜこの場にデュークがいるのか、という疑問を振り払うようにレクソス達が魔法武器を構える。


「ボルト・ファランクス・タキオンダガー」

「フレイムシューター・インパクト」

「ギルティ・ストーム」

「ハイドロスマッシャー」

「グランディック・ホライズン」


 空中と地上から雷の矢と短剣が突き刺さる。

 ハンマーで打ち飛ばされたビリヤードボール型の火球が激しく燃える。

 巻き上がる旋風が刃となって切り裂く。

 水球から放たれる激流のレーザーが穿つ。

 揺れた大地が包み込むように襲いかかる。


 まばゆい光と共にドラゴンが鳴き叫んだ。

 鼓膜が破れそうになりながらも攻撃魔法を撃ち終えるとほぼ同時に五つの頭部が消滅する。

 しかし、まだ巨体は健在だ。


 多分、核になっている私達五人の魔力そのものを破壊しないと倒せない。

 でも、そんなことが本当にできるのか。


「プレリュードにはもってこいだったね」


 あれ?

 誰かさんと似たようなことを言ってる人がいるな。


 私の心配を他所よそにレクソスが指を鳴らすとドラゴンの巨体が崩壊し始めた。


「な、なに!? 何が起こってるのよ」

「心配はいらないよ。ボクの魔法さ」


 まさか世界と統合された私達の魔力を解きほぐし、崩壊へ導いたというのか。

 未熟とはいえ、闇魔法だぞ。

 レクソスは限りなく光魔法に近いものを身につけている。

 そのイベントはまだ先の筈なのに……。


 やがてドラゴンは腹を地につけ、動かなくなった。

 このまま放置するのはどうかと思い、右手を向けたとき頭部のないドラゴンは土の中へと還っていった。

 最後はデュークが自らの造形魔法を解除したのだ。

 これでもう二度とこの世にドラゴンが生まれることはないだろう。


「なんでデュゥがいるんだよ!」

「そうよ! いきなり現れて、美味しいところを持っていくし!」


 喚くシュナイズとエレクシアを無視するデュークはレクソスの前に立つ。


「お前がいなくても倒せた。もっと苦戦しただろうがな」

「どうかな? でも、確かに君がいないと倒せなかったのは事実だ」


 まったく、これだから男の子はよく分からない。

 もっと素直になればいいのに。


「捧げられなかったわね、レクイエム」

「ふん」

「どうやって帰るの?」


 私の質問には答えずに消えたデュークの行方は誰にも分からない。

 でも、もしかすると魔王城に向かったのかも。いや、寮に戻ったかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
「君を愛することはない」と言った夫に呪いをかけたのは幼い頃の私でした
こちらもよろしくお願いします!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ