第二部 第六章 交渉
「困りましたね。せっかく女性化の流れが出来るかと思ったのに」
天使が愚痴る。
「いやいや、身体が変わったら悩むだろうに」
「生理とか大変そうだし」
「ちんこが無くなるってどんな感じなんだろう」
皆がそれぞれに呟いた。
「ちょっと、宗也の前で! 」
優紀が怒って止めた。
「まあ、そうだよな」
光彦が同じように皆を止める。
宗也が困ったような顔をしていた。
「参りましたね。女性化が一人出れば特別にボウガンとかライフルが渡せたのに」
天使が残念そうに笑った。
「あ? 待て! オーガが攻めてきてんのか? 」
俺が慌てて天使に叫んだ。
「ふふふふ、ご明察。五十くらいのオーガが向かって来てるんですよ」
天使が笑った。
「やっぱり、俺達が最初じゃ無かったんだな」
俺が真顔で天使を見た。
「え? 」
天使がにっと笑った。
「ああ、それでオーガが見に来てたんだ」
優紀がそれを察して答えた。
間違いない。
「連中がここを見張ってるのは、前回とかにお前が渡した食糧などをオーガが奪って味を占めてるからだろ。でないとわざわざ廃屋に来るはずが無いし」
俺が天使を睨んだ。
「ご明察」
天使が笑った。
「な、何て事を」
優紀の目が怒ってる。
「ふふふふ、さて、どうします? 後、三十分くらいでオーガは来ますよ」
天使がにやにや笑った。
「じゃあ、武器をとりあえず寄こせ」
俺が真顔だ。
「いやいや、女性化のサービスですから」
「それは今後に考えるから武器を寄こせ」
「だから、それは駄目なんですよ」
「寄こさなかったら、俺達で終りだろ。そうやって何度も転移させてるからお前の敬愛する神様は力を使い果たして消滅したんだ。もう人間は呼べないぞ」
俺が冷やかに話す。
「ええ? 」
天使が考えてなかったみたいで動揺してる。
「良いのか。お前の神様の願いを捨てるのか? 」
俺がにやりと笑った。
「……お前、今までの奴と違うな」
天使の喋り方が変わった。
「捻くれてるだけだよ」
俺が苦笑した。
「ふむ。じゃあ、お前の言う事を聞いてのメリットはなんだ」
「絶滅は免れるだろう。あの二匹のオーガで廃屋も滅茶苦茶だし、刀を使えるのが二人しかいないんだ。勝てるわけがない」
「黙って絶滅されるような奴には見えないがな」
「買いかぶり過ぎだろ」
俺がさらに苦笑した。
俺と天使がじっと睨みあう。
周りは皆、無言だった。




