第一部 第一章 プロローグ
今回はキャラクター紹介から投稿したんで、本編の一章も投稿します。
その日は俺にとって最悪な日だった。
天気予報も晴れだったのに突然に大雨になった。
仕方ないので、急遽バスで親友の望月総一郎と五十嵐優紀と一緒に帰る事になった。
望月総一郎は武術の道場で小学生高学年の時に知り合った。
身長百八十センチもあって、古流や格闘技を俺と同じくやっているだけあって、独特の雰囲気がある。
五十嵐優紀は近所に住んでいた関係で子供の時から付き合いがある。
優紀は中性的な容姿で格闘技とかは合わないらしくてやってはいないが、凄く良い奴だ。
高校になっても三人で仲良くて、いつも一緒につるんでいた。
だから、一緒にバスで帰ったのはいつもの事だった。
思えば、これが全ての失敗の始まりだったのだと思う。
「何だ、お前達もバスで帰るのか」
二年で周陽高校の生徒会長になった神宮寺光彦が話しかけて来た。
こいつは本当に出来る奴で、全国模試でもトップクラスの成績を持つ。
眼鏡も似合っていて、すぐに指で眼鏡を押し上げる癖があるが、まあまあ仲がいい。
「ああ、ちょっと雨が酷すぎるからな」
俺がそう答えた。
「まあ、お陰で、練習中止になっちゃったよ。バレー部が大会前で体育館も使えないしなぁ」
愚痴りながら、サッカー部の三好和真も話しかけて来た。
和真もサッカーでは結構有名で、実際、周陽高校が男子校でなければモテモテだったろう。
「普通の雨の降り方じゃ無いよね」
五十嵐優紀も外の雨の降り方を見て呟いた。
優紀は中性的な容姿から何だか知らないが男子生徒から人気がある。
何故人気なのか少し怖いが。
「本当にひでぇ雨だな」
総一郎がぶっきらぼうに答えた。
まさに豪雨と言ってよい感じだ。
バスの中を見ると、急遽バスに乗って来た人ばかりで、傘も持たずに皆が濡れていた。
「参ったよな」
神宮寺光彦も愚痴った。
「本当に困るよね」
横の座席に乗っていた大人しい一ノ瀬宗也も話しかけて来た。
大人しい生徒だから、俺達には滅多に話しかけてこないのだが、それが話しかけてくるほどなんだから、確かに酷い豪雨なのだろう。
彼は女性的な容姿をしているので、これまた男子に人気がある。
男子校とは本当に悲しいものである。
「お陰で服がびちゃびちゃだ」
重い声で話しかけられた。
「何だ、ジェロニモもバスに乗ってたのか」
「ああ」
ジェロニモ……阿久津仁が頷いた。
ジェロニモと呼ばれるのは二メートル近いのと容姿が某漫画のジェロニモに似てるからだ。
「やれやれ。災難だよ」
三好和真が呟いた時に、バスが急に加速しだした。
「は? 」
俺が前を見た。
「頭がぁぁぁ! 痛いぃぃぃ! 」
バスの運転手が頭を抑えて激しい頭痛を訴えて嘔吐した後に、運転席に崩れ落ちて失神していた。
「ちょっと、何なの? え? 」
総一郎が叫んだ。
「脳溢血だ! 」
「ああ、間違いない! まずいな、アクセルを踏んだままだ! 」
俺の言葉に光彦が答えた。
倒れた体勢がおかしいのかアクセルに身体が当たっているようだ。
そのせいで、バスが信じ難いスピードで走りだした。
俺達は何とかしようと運転手の席に向かおうとしたが、バスのスピードのせいでなかなか前に進めなかった。
まあ、いつもの私っぽい作品です。
よろしくお願いいたします。