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神木さんちのお兄ちゃん! ~美人すぎる兄は、双子の妹弟を溺愛してる~  作者: 雪桜
第10章 お兄ちゃんの失恋

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第426話 心配と隣


「あー、負けた~!!」


 お好み焼きを食べ終わったあと、神木家では、三兄妹弟がゲームをしていた。


 そして、そこには、まだ"あかり"の姿もあった。


 帰ろうとするあかりを掴まえた双子は、無理やりゲームに誘った。


 そして、なんだかんだと断りきれないあかりは、その後『1回だけ』と言って、ゲームに付き合ったのだが、そのせいか、もう時刻は8時半。


 さすがに帰らなくては……と、あかりは、時計をみつめる。


(大分、遅くなっちゃった)


「あかりさん。もう遅いし、泊まっていっていきませんか?」


「え!?」


 だが、その瞬間、聞こえた華の声に、あかりは瞠目する。


 泊まる!?

 しかも、神木さんの家に!?


「な、何言ってるの、華ちゃん」


「だって、もう暗いし、こんな機会めったにないですし。私、あかりさんと、もっとお話したいなーって」


「お話は、嬉しいけど……でも、着替えもないし、明日もバイトだから、さすがに泊まるのは」


「えー!」


 あかりの返答に、華が、残念そうな声を上げる。


 兄のこともあるが、華にとって3つ年上のあかりは、まさにお姉ちゃんのような存在。

 だからか、純粋に語り合いたい気分になっていた。


 しかし、さすがに急すぎるからか、あかりは、申し訳なさげに断り、華は仕方なしに引き下がる。


「そうですよね。いきなりはムリですよね……じゃぁ、夏休み! 夏休みに泊まりに来ませんか!?」


「華、あかりを困らせるなよ」


 だが、更なる提案をなげかけた華に、飛鳥が苦言する。


 双子の目的は、きっと、自分とあかりを仲良くさせることだろう。


 だが、さすがに宿泊を強要するのは、やりすぎだし、なにより、好きな女の子を家に泊めるのは、飛鳥にとっては、気が気じゃない……


「あかり。聞き流していいから」


「あ、いぇ。ごめんね、華ちゃん」


「いえ……私の方こそ、無理言っちゃって」


「うんん。……じゃぁ、私はそろそろ。今日は、ご馳走していただいて、ありがとうございました」


 すると、あかりは、ペコりとお辞儀をし、その場から立ち上がった。


「あ、待って、あかり」


 だが、そんなあかりを、飛鳥が呼び止める。


「送っていくよ」


「え! いいですよ。子供じゃあるまいし」


「子供じゃないけど、女の子だろ。もう暗いし、危ないよ」


「だ、大丈夫です。大学が終わった後も、このくらいの暗がりだし、慣れたものですし」


 女子を送り届けようとするとは、相変わらず紳士的な人だ。だが、これ以上、神木さんのそばにいるのは…


「本当に大丈夫です。一人で帰れますので」


「ダメ」


「……!」


 だが、そんなあかりを、飛鳥は、さらに引き止める。


「心配しすぎだって思われるかもしれないけど……もし何かあって、やっぱり送って行けば良かったって、後悔するのは嫌だから。──送らせて」


「……っ」


 後悔──その言葉に、あかりは小さく息をつめた。


 それを言われたら、もう何も言えなくなる。


 だって、自分だって、嫌というほど後悔したのだ。


 あの日、彩姉ぇが亡くなった時に──



「わ……分かりました」




 ◇



 ◇



 ◇



 その後、星が出る夜の町を、あかりと飛鳥は、並んで歩いていた。


 パーカーを着てフードをかぶった飛鳥は、目立つ金色の髪を、しっかり隠していた。


 きっと、大学一の人気者と一緒にいたら、どんな噂を立てられるか分からない──そんな、あかりの気待ちを察してなのだろう。


 だが、そんな飛鳥の配慮にも気づかず、あかりは、ずっと考えこんでいた。


(ど、どうして、こうなっちゃったの……っ)


 もう、会いたくないと思っていた人と、食事をし、今こうして二人きりで歩いている。


 だが、どうしてもなにも、これも全て、私が神木家に行ったからだ。


 そして、運悪く、華ちゃんたちに出くわしてしまったから!


(はぁ。やっぱり、やめとけばよかった……っ)


 今になって、くるべきではなかったと後悔する。


 だが、どの道、髪ゴムは返さなくてはならなかったし、いつか、会わねばならなかった。


 ならば、これを──最後にしよう。


「あかり、今日はごめんね。蓮華が迷惑かけて」


「え? あ、いえ、別に迷惑では」


「………」


「………」


 考え込むあかりに飛鳥が声をかければ、あかりの言葉を最後に、会話が途切れた。


 隣にいるのは、自分の好きな人。

 だからか、こうしていると、余計に意識してしまう。


 これまでにも、何度と、隣を歩いたことがあるのに、両思いだと自覚しているからか、いつもと同じ景色が、なぜか、違うものに見えてしまう。


(……神木さん、やっぱり、気づいてるのかな?)


 そして、疑いはじめた、ある疑惑。


 もしかしたら、神木さんは、気づいているかもしれない。


 私が今、神木さんを好きだってことに……っ


「髪ゴム、わざわざ、届けてくれてありがとう」


 すると、飛鳥が、また話しかけてきた。

 あかりは、静かな町を歩きながら


「いいえ。むしろ、遅くなって、すみません」


「いいよ。会わずに返そうとしてたんだろ、どうせ」


「……っ」


 それは、まさに図星で、あかりは、申し訳ない気持ちになる。


 あからさまに避けて

 あからさまに拒絶して


 それでも、まだ私に微笑みかけてくれる。


 傷つけてばかりいる私に

 今もこうして、優しくしてくれる。


 やっぱり、気づいてるの?


 気づいてるから


 あなたは、まだ──諦めていないの?



(っ……どうしよう。もし、本当に気づかれていたら!?)


 気づかれていたらと思うと、心の中は羞恥心でいっぱいになる。


 無理!

 恥ずかしすぎる!!


 なにより、本当にバレてたら、これから、どんな顔して会えばいいの!?


 いやいや、どんな顔もないよね!?

 もう会うつもりはないんだから!!


(あ、でも、神木さんのことだから、また話しかけてきそう……っ)


 会うつもりがなくても、向こうからこられたら、どうしようもない。


 それに、華ちゃんたちには懐かれちゃったし、エレナちゃんとの縁は切れないし、しかも、バイト先には、橘さんもいる。


 なんだかんだ、飛鳥と関わりのある人々と、深く関わってしまったあかり。


 だからか、疎遠になりたくても、なかなかそうはいかず……


「あかり!」

「っ!?」


 瞬間、飛鳥が、あかりを抱きしめた。


 手早く引き寄せられた身体は、あっさり飛鳥の腕の中に収まり、突然のことに、あかりは目を丸くする。

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