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神木さんちのお兄ちゃん! ~美人すぎる兄は、双子の妹弟を溺愛してる~  作者: 雪桜
第4章 二月の出会い

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第27話 お兄ちゃんと暇つぶし

 ※注意※

今回の話は、一部軽~いBLネタが混じっております。といってもノーマルキャラをBLネタでいじる程度ですが、一応注意しておきます。


 バレンタインが終わると、受験勉強もいよいよ大詰めだ。


 だが、そんななか神木家では、華が友人である中村(なかむら) 葉月(はづき)を笑顔で招き入れていた。


「華、遅くなってごめんね! マフィン作ってきたから、一緒に食べよ♡」


「わーい!」


 玄関先で、意気揚々とはしゃぐ女子中学生二人。なんとも可愛らしい姿だが、その姿を、たまたまリビングからでてきた、兄の飛鳥が呆れかえる。


「お前ら、何考えてんの?」


「あ、飛鳥さん、お久しぶりでーす。相変わらず、イケメーン!」


「久しぶり葉月ちゃん。てか受験()()だよね。遊んでる暇ないんじゃないの?」


「誰が遊ぶなんていった! 今から葉月と受験勉強するんだってば!」


 兄の小言に反論しながら、華は葉月のマフィンを受け取る。


 確かに兄の言うこともわかるが、いくら受験前の大切な時期とはいえ、一人で机に向かうよりも、誰かと一緒に勉強した方が、はかどる時だってあるのだ。


「そういって、雑談の方が長くなるんじゃないの?」

「……」


 だが、そこにまた兄が水を差してきて、華のイライラは頂点に達した。


「あーーーもう!! 飛鳥兄ぃ、気が散るから、隆臣さんとお茶でもしてきてよ!!」


「はぁ!? なんで、俺が出ていかなきゃならないんだよ!」


「だって、うるさいんだもん!」


 口煩い兄の背中を押しやると、華はそのまま飛鳥を、蓮と共同で使っている二人の部屋まで押し込んだ。


「はい、コートもって!! 妹の合格を願うなら、夕方まで時間潰してきてね! じゃ!」


 ──バタン!!


 勢いよく扉が閉まると、飛鳥は苦々しげに眉をひそめた。


 受験を間近に控え、多少なりとも気が立っているのかもしれないが、あそこまであからさまに嫌がらなくてもいいだろうに。


「なんか、ひどくない?」


 呆然と立ち尽くし、飛鳥がボソリと呟く。すると、その傍らで机に向かっていた蓮は


「兄貴、俺も今勉強中だから、早く出てってね」

「え!? 嘘でしょ!?」


 慰めるどころか弟にまで追い出され、飛鳥はどこか虚しい気持ちになったとか。




 ***




「なるほど。それで俺を呼び出したのか?」


 そして、その後、家から追い出された飛鳥は、いつもの喫茶店で、友人である隆臣たかおみを呼び出していた。


「だって、仕方ないじゃん。持ってきた本も全部読み終わっちゃったし、一人で夕方まで時間潰すのも大変なんだよね。隆ちゃん、どうせ暇なんでしょ? なら付き合ってよ」


 読んでいた本をパタンと閉じ、飛鳥がつまらなそうに呟く。


 喫茶店で二時間半。なんとか時間をつぶしたはいいが、特段することもなくなってしまったため、話し相手でもいないと退屈で仕方なかった。


「なんか、用事あるの?」


「いや、バイトは午前中だけだったからな」


「じゃぁ、いいよね! はい、そこ座って、何か奢るから♪」


「そりゃ、どーも」


 飛鳥が嬉しそうに笑うと、隆臣はしぶしぶその向かいに腰掛け、手にしていたリュックを座席におき、店員にコーヒーを一つ注文する。

 

 向かい合わせに座るのは、大体いつものこと。ほぼ定位置だ。隆臣は、真正面から紅茶を飲む飛鳥を見つめると──


「なぁ、飛鳥。お前、()()()ってホント?」

「ぶッ!?」


 突然、予想だにしなかった言葉が飛び出してきて、飛鳥は手にしていた紅茶を吹き出しそうになった。


「な、なんで!?」


「ちょっと前に、侑斗さんからメールがきて」


「なにしてんの、あの人。てか、なんで隆ちゃん、俺の親父のメアドしってんの?」


「侑斗さん見境ないからなー。うちにケーキを買いにきた時にサラっと聞かれて。ちなみに、俺の"両親"ともメル友だぜ」


「…………」


 きっと、喫茶店にケーキを買いにきたついでに聞いたのだろう。


 だが、まさか、息子の知らないところで、その友人家族と連絡先の交換をしていたなんて──我ながら恐ろしい父である。


「ほら。これ、この前、侑斗さんからきたメール」

「?」


 すると、スマホ画面をスクロールし侑斗から届いたメールを探し出した隆臣は、それをずいと飛鳥の前に差し出してきた。


 少しだけ身を乗り出し、そのメールの内容を確認する。すると、そのメールには


【隆臣くん!!実はうちの飛鳥、メチャクチャお酒弱いみたいなんだー( ;∀;) もう、あんなんで飲み会なんていったら、据え膳確定だよね! 飢えたハイエナの群れに自ら飛び込むようなものだよね!! というわけで、飛鳥の親友でとある隆臣くんにお願いなんだけど、隆臣君なら、絶対に酔った飛鳥を見ても間違いなんて犯さないと信じてる!! だから、時々飲みに誘って、飛鳥にお酒の耐性つけてやってくれないかな~?お願い~(^人^)】



 しばしの沈黙。


「……あ、あの……うちの親、こんなにバカだったの?」

「俺もビックリしました」


 父のメールの内容に、飛鳥が酷く顔を引きつらせた。ツッコみたいことは山ほどあるが、とりあえず、父のメールの内容が、とてつもなく不愉快であることは理解した!


「相変わらずだな、侑斗さん。てか、これ俺がもし間違い犯したら確実に殺されるよな。なんか、信頼されてんのか、釘刺されてんのか、よくわからないんだけど?」


「あはは。大丈夫大丈夫。もし、お前が俺に手だしてきたら、親父より先に俺が息の根止めてるんじゃないかな?」


「それのどこが大丈夫なんだよ!? 結果変わらないだろ!? 真っ暗な未来しか見えてこないだろ!!」


「それは、こっちのセリフ。幼なじみの男に欲情されるとかマジ笑えないから。闇落ち確定だから。てか、あのひと、なんの心配してんの?」


「ま。侑斗さん"過保護"だからな、酔った息子がお持ち帰りされたら大変~とか思って、俺に頼んできたんだろうけど」


「お持ち帰りするならまだしも、されることはないよ。てか、隆ちゃんにまで釘刺す必要ある?」


「ちなみにいうと、華たちからも似たようなメール来てたからな」


「なにしてんの、うちの家族!? 怖い!! てか、アイツら俺の事、なんだと思ってんの?」


「美人で可愛いくて、女の子みたいなお兄様だろ」


「意味わかんない」


「それより、どうする?」


「え?」


「だから酒。侑斗さんから直々にご指名されたことだし、どっかで飲みに行っとくか? お酒の耐性つけたいんだろ、飛鳥が」


「俺、そんなこと一言もいってないんだけど。なんか情報操作されてない?」


「でも、弱いままってワケにもいかないだろ?」


「そうだけど……でもさ、俺どう弱かったの? 肝心のところ聞いてないんだけど?」


 酒に弱い──と聞いても、どう弱くて、どのように危険なのかを全く聞いていない二人。


 だが、そう簡単に結論がでるはずもなく。


「わかんねーよ。まぁ、飲めばわかるだろ」


「つぶす気満々じゃん」


「安心しろ。お前が酔ったら、俺がベッドまで連れてって、優しーく介抱してやるから」


「………待って、それ本当に大丈夫? 悪ノリすんのやめて。マジで心臓に悪い」


「だって飛鳥をからかうの、超面白いし」


「うん。今日、お前をここに呼び出したこと、今ものすごく後悔してるッ」


 飛鳥の思わぬ弱点を発見した隆臣。


 それからしばらく、そのネタで、飛鳥をからかい続けたとか、続けなかったとか?


 そしてその後、二人が飲みにいく約束を取り付けたかどうかは、定かではない。



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