#7 突撃
「総員、突撃!」
9時。突撃の時間だ。戦闘系7ギルドと生産系からも数百人。合わせて1000人のレイドパーティーだ。それぞれのマスターが指揮を執るが、総指揮官は俺。参謀はイレース。
先陣に続いて、突撃。ユースフルは今までの雰囲気とは打って変わって不気味だ。
「前方に敵影!交戦します!」
何者かの叫び。
「こいつらNPCだ!敵対モブになってる!」
NPCだと?彼らは敵対モブにはならないはずじゃ・・・
「イズモ、あのときのスライムだ。あれがNPCにまとわりついている。」
エクスが異変の原因を突き止めたらしい。
「じゃあ、スライムを取れば治せる?」
「ただ、取るのは至難の業だ。やはり、倒すしか・・・」
「ヒャハハ、面白そうじゃねえか!」
飛び出したのはヤマタ。
「あ!おい待て!」
「おいおい、忘れたのか!俺の職は・・・」
ヤマタが飛び出した地点付近のNPCが全員倒れた
「『辻斬り』だぜ~!」
『辻斬り』。移動しながら攻撃できる数少ない職。使いこなすのは容易ではない。
「おい!ここは『ヴァイパーファング・バクフ』が受け持った!先に進め!」
「了解!絶対死ぬなよ!」
俺達は、街の中心へ向かった。
中心区の噴水広場に、ボスは居た。
所々腐り落ちた体表。片目は無く、時折体から煙がでる。
レイドボス〔感染病龍〕だ。
こちらを認識し、咆吼。
「戦闘用意!」
ドラゴンが放ったのは、吐息。<パンデミック・ブレス>だ。
「回避!」
「ぐあっ!」
数十人負傷者が出た。
「まずい、[感染病]デバフがついた!」
感染病デバフは、近くに居る人にも感染する毒のようなもの。くらった人はデバフが解除されるまで遠くで待機。
「ふーん。まあまあですね。」
ジェイがのんびりと言う。
「でも、同じデバフを与える者としては、ちょっとむかつきます!」
ダガー<ナラク>をドラゴンに投げる。刺さった時、ドラゴンのHPバーの上にアイコンが表示された。あれはデバフアイコンだ。
「<ナラク>は攻撃した相手にランダムでデバフを三つ与えます。今回は[麻痺]、[移動阻害]、[平衡感覚異常]です。今のうちに攻撃してください!」
ジェイのデバフで戦いやすくなった。
ボス残りHP、9割。