#6 結束
ここは「ダウナーズ」ギルドハウスの周辺。ここは今・・・戦場となっていた。
全ては4時間前に遡る――
港町ユースフル。先のギルド衝突の数時間後。
『更新プログラムを追加』というシステムメッセージがプレイヤーに配信される。その直後・・・
プレイヤー全員がユースフルから排出された。
「なっ、なんだ!?」
「くそっ!」
ある者はユースフルへ入ろうとして、障壁に阻まれた。そこには『1000人単位超難易度大規模戦闘限定』というシステムコマンド。
「C・ヒル」マスター・イレースはこの事態を即座にイズモへ連絡した。
【ユースフルが閉鎖された。入れるのはレイドパーティーのみ。できればでかまわない。俺達を助けてくれ】
俺はイレースからのメッセージを読むと同時、
「マジン、クロト、キュー、ギルドハウス周辺の土地を全て買えるだけ買え!そして居住区、調理場、風呂などの生活環境を一式そろえろ!材料と金はあるだけ使え!」
「えっ!?正気か!?」
クロトが叫ぶ。
「正気だ。文句言わず働け!残りはユースフル周辺のプレイヤー全員連れて来い!」
「「「「りょっ、了解!」」」」
「生産系の者は調理場、裁縫所、鍛冶場へ、貿易系、持っている素材を出して使ってくれ!損害分は払う!誠に勝手だが、どうか受け入れてほしい!」
メッセージから2時間、イレースや俺の声かけでどうにか集まって一致団結し始めた。
「戦闘系ギルドのマスター!会議だ!集合!」
かくして始まったギルド会議。議題は『ユースフルのレイド』についてだ。
「分かるだけでいい。何か情報はないか?」
皆システムメッセージしか分からなかった。
「ただ・・・」
口を開いたのはヤマタ。
「雰囲気だけだが・・・あれは、とてつもなく、不気味だ・・・」
「発言いいか」
今度はホーク。
「一瞬見えた。超巨大なドラゴンが街の中央に降りて、緑のスライムが街の中心を塗り替えた。」
一同がざわめく。
「ドラゴンか・・・」
「倒す策ならありますわ」
そう告げたのはマリア。
「我々の神器には解放能力があるのです」
「なるほど・・・」
皆の解放能力を聞いた後、気づいた。
俺、それ使えない。そもそも存在を知らなかった。この戦いで使えるようになればいいな・・・
「とにかく、出発は明日の9時!みんな、絶対勝つぞ!」
「「「「「「おおっ!!」」」」」」
あのとき、バラバラだったギルドが一つになった瞬間だ。