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幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第五章 聖女と○○○○編

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閑話 漆黒と、





「――なぜだ? どうしてうまくいかなかった? マリーは王家に復讐を誓うはずなのに……」


 王都の路地裏に身を隠しながら『漆黒』は悪態をつく。

 語るのは本来の歴史。

 本来この世界が辿るべきストーリー。


 マリー・ヒュンスターは王家へと復讐を誓うべきであるし、ドラゴンに変身して王太子を殺さなければならないのだ。


 なのにマリーは王家への復讐を拒絶し、『漆黒』への協力を拒否した。


 本来の歴史にはない行動。

 本来ならありえない異常。


 考えられる原因は――



「――リリア・レナード」



 親の敵であるかのように。

 人類の敵であるかのように。

 打ち倒すべき魔王であるかのように。


 幾重の恨みを込めながら『漆黒』は少女の名前を口にした。


「何が聖女だ。力をもてあました子供じゃないか。無責任で、狡猾で、卑劣。偽善者で大言壮語しかできないくせに」


 本人が聞いたら「どうして赤の他人からそこまで酷評されるのかな!? どうしてこうなった!?」と嘆きそうな評価を下しながら『漆黒』は深く深呼吸する。


「やはりあの女は邪魔だ」


 直接の排除は難しいだろう。戦闘能力は高いし、悪知恵も働く。正面切って戦うくらいならまだ王城を直接襲撃した方が簡単だ。


「……一時的でもいい。どうにか無力化できればその間に『復讐』は成せるはずだ」


 そう。

 漆黒の頭にあるのはそれだけ。

 行動理念はその一つ。



 ――復讐を。

 この腐った国に復讐を。



 そのためならば。

 きっと、何だってしてみせるだろう。














『――小豆研ごうか』







 路地裏に子供のような声が響き渡る。








『――人取って喰おか』






 くすくす。

 くすくすと。




 子供のような存在が舞い踊る。






『リリアは、泣いてないねー』






『ナユハも、泣いてないねー』






『泣かせてないなら許そうかー』







『泣かせてないなら許そうかー』







『でも、いつまでかなー?』







『いつまでもつ(・・)かなー?』







『楽しみだねー』








『楽しみだねー』








 子供のような声色で。

 子供のような無邪気さで。


 その存在は『漆黒』を見つめていた。







『ショキショキ』








『ショキショキ』







『もしもあの子を泣かせたら』







『もしもあの子を泣かせたら』







『頭の先からー』







『足の先までー』









『――喰べちゃうぞ』









 復讐に身を焦がす漆黒には聞こえない。

 復讐しか頭にない者には、最後の警告とでも言うべき『声』は聞こえなかった。











 妖精さんについて




 リリア&ナユハ  生まれつき見える。妖精の愛し子。


 愛理       幽霊になったおかげ(?)か見えるようになる。


 リュース     リリアの『夫』として後天的に見えるようになる。


 マリー      ドラゴンが『基準』になったおかげで見えるようになる。



 元々の『妖精の愛し子』はリリアとナユハとなります。


 ちなみにウィルドも生まれつき(?)見えますが、愛し子とはちょっと違います。



次回、12月5日更新予定です


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[一言] 食われる前に塵になりそう
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