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幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第四章 竜の聖女編

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閑話 侯爵と、侯爵



 閑話 侯爵と、侯爵。




 リリアとマリーから少し離れたところで。


「しかし、ヒュンスター侯。相変わらず辛気くさい顔をしていますな」


 貴族らしからぬ率直すぎる物言いをした騎士団長に対し、マリーの父・ヒュンスター侯爵は胡乱げな目を騎士団長に向けた。


「ゲルリッツ侯。申し訳ないがこの顔は生まれつきですので」


「そうですかな? いや元々辛気くさい顔はしておりますが、最近は特に悪化していますからな。昔なじみとしては心配してしまうのですよ」


「心配などしていただかなくて結構。私は私のするべきことをするだけですので」


「するべきこと、ですか。では仕事の話でもしますか。“変竜の書”が奪われたあの事件、どうお考えで?」


「どう考えるも何も、事件の調査は騎士団と魔導師団の担当でしょう?」


「ははは、然り。ですが、王宮に持ち込まれた書籍の取り扱いはあなたの担当でしょう? 解読を含め、一番あの本に接していたのがあなただ。神殿への輸送計画にも関わっていたはず。そんなあなたの意見を是非伺いたくてですな」


「……さぁ。そう言われましてもね。計画はしましたが、輸送自体は聖騎士が行ったのですから、私に聞かれても困ります」


「実際に人がドラゴンに変身できると思いますか?」


「変竜の書の解読はまだ途中でしたが、無理でしょう。そもそも人とドラゴンはまったく別の生物なのですから。獣耳を生やして獣人になりすます程度ならできるでしょうが」


「おや、変竜の呪いを受けたヒュンスター家の当主らしからぬお言葉ですな」


「……あんな数百年前の昔話、信じる方が愚かでしょう?」


「そうですかなぁ? 私は昔話や伝説が大好きでして。ついつい本当にあったのではないかと信じてしまうのですよ」


「妄想はほどほどにした方がいいですね」


「然り。然り。ところでヒュンスター家は8年前にドラゴンを討伐しましたが、変竜の呪いは大丈夫でしたかな? たしか今年8歳になる娘さんがおられるでしょう?」


「……何度も言わせないでいただきたい。あんなものは昔話だ。マリーは健康そのもの。呪いになんてかかっていません」


「失礼。失言でしたな。ご息女は私の息子とも年が近いので、ついついいらぬ心配をしてしまいました」


 形ばかりの謝罪をしたゲルリッツ侯は試合会場に降りていった。ナユハの勝利で試合が終わったためだ。


「……貴様に何が分かる」


 ヒュンスター侯の呟きは誰に聞かれるでもなく風に溶けていった。







次回、26日更新予定です

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[一言] (シリアスな空気が即死カウントダウンなう)
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