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幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第九章 剣劇少女編

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09.護衛騎士ラミィ爆誕?



 姉弟子いわく、『剣劇少女』ラミィ様を私の護衛騎士にする方向で話がまとまったらしい。


 どうしてそうなった?


 姐御いわく、表向き『聖騎士』として私の護衛をするらしい。


 どうしてそうなった?


「ナユハちゃんだけだと『聖女様の護衛が少なすぎる!』というご意見が数多く寄せられているのよね」


 と、姉弟子。それは貴族的な翻訳を掛けると『だからうちの血縁者を護衛に選べ!』となるんですね分かります。


「やっぱ『聖女様』の護衛に聖騎士が一人もいないってのがなぁ」


 と、姉御。聖騎士とは教会直属で信仰心に厚い人(そして当然強い)が任命されるんだっけ?

 王家と教会のパワーバランス的な話が裏にある。気がする。


 なんだか大人の都合に振り回されているけれど……、重要なのはラミィ様の意志だよね。


 というわけで。

 近いうちにラミィ様に会って話を聞いてみることにした。







 話を聞く。


 イコール。


 バトル開始。


 と、なってしまうのがラミィ様だった。何という脳筋少女。


「ラミィ様も、リリアにだけは言われたくないんじゃないかな?」


 今日も律儀に突っ込んでくれるナユハだった。


 私は槍。ラミィ様は二刀。それぞれの得意武器を振るいつつ会話をする。


「というわけで、ラミィ様を私の護衛にするって話があるみたいなんですけど」


 小手調べとばかりに槍をしならせて(・・・・・)ラミィ様の小手を狙う。


「あぁ、話は聞いているよ。リリア嬢に護衛なんて必要ないとは思うが、こうして空いた時間に手合わせできるなら受けない手はないよね」


 最小限の動きで槍先を逸らすラミィ様。

 そのまま一気に距離を詰められたので、槍を手放してラミィ様の右手を掴み、投げ飛ばす。


 初見殺しの徒手空拳のはずなのだけど、ラミィ様は空中で体勢を立て直して着地した。忍者か貴様。


 さすがに槍無しで二刀流相手は厳しいので『まいった』とばかりに両手を挙げる私である。


「おやおや、私の護衛する『聖女様』はずいぶんと手癖が悪いようだね」


「そういう護衛様はずいぶんと身軽ですね。……一応確認しますけど、いいんですか? ラミィ様は公爵令嬢ですし。冒険者としての活動も難しくなりますし。なんだか教会所属の聖騎士にされそうな勢いですけど?」


「問題ないよ。公爵令嬢として生きるのは無理だから冒険者になったのだし。冒険者をやっていたのは強い相手と戦うため。ドラゴンを倒し、リリア嬢と手合わせできる未来を手に入れたのなら、冒険者の道に未練はないよ」


「そんなものですか」


「むしろ聖騎士はこっちが不安になってしまうのだけど。ボク、そんなに信心深いわけじゃないのに」


 主神がスクナ様だしね。あの(ひと)割とポンコツだし、是非も無し。


「まぁ『聖女(わたし)』が王太子の婚約者になってしまったので、教会としても『聖女』に対して影響力を残したいのでしょう」


「ボク、教会から見れば赤の他人なんだけど?」


「表向き『聖騎士が聖女様の側にいる』ならいいんですよ、きっと」


「……政治はよく分からないなぁ」


 面倒くさそうな顔をするラミィ様だった。公爵令嬢がそれでいいんかい。……だから冒険者になったのか。


「ま、分からなくてもどうでもいいか。ボクは剣が振れればそれでいいし。――近くにいれば、リリア嬢を落としやすくなるものね」


 まだ言っているんかい。


 私をそう簡単に落とせるとは思わないことね!


 ……じゃなかった。なんだこのキャラ。どうやら混乱しているらしい。私って無意識のうちに女の子を落とした(?)ことはあっても女の子から落とされる(?)経験ってないからなぁ。



『……マリーは積極的じゃなかったか~?』

『ミヤっちも積極的だし~』

『というかリリアの周りの女はみんな積極的だよね~』

『ミリスも何だかんだでアレだし~』

『よっ、総受けヒロイン~』



 人聞きの悪すぎる妖精さんであった。


 あと、『ミヤっち』ってミヤ様のこと? 竜列国の皇帝の妹さんをミヤっち呼びって……。妖精さん、怖いもの知らず過ぎである。いや妖精さんに恐怖って感情があるのかどうか分からないけど。


「そういえば」


 槍を拾って私に投げ渡してくるラミィ様。第二ラウンド開始らしい。


「親しさの証として、そろそろ『ラミィ』と呼び捨てにしてくれてもいいんじゃないかな?」


 公爵令嬢を呼び捨てるとか私の胃を殺す気か? 私の胃はお父様譲りのガラスの胃袋ですことよ?


「最近はオリハルコンのことをガラスって言うんだねぇ」


 どういうことかなナユハさん?


 私の胃袋に対する正確な評価はあとで教え込むとして……今はとにかくラミィ様を説得しなければ。


 ……説得できる?


 この子、脳筋だよ?


「リリアにだけは言われたくないんじゃないかなぁ」


 この灰色の脳細胞を持つ私に対して失礼な。というかサラッと心を読むの止めてもらえません? ……私が分かり易いだけ? 顔に出ているだけ? ばんなそかな。


「……ふっふっふっ、私に勝てたら『ラミィ』と呼んであげましょう」


 不敵に笑いつつ槍を向ける私。説得が無理なら力こそパワーである。

 対するラミィ様も不敵に笑って切っ先をこちらに向ける。


「……では、リリアが勝ったら私を呼び捨てにする権利をあげよう」


 いやそれ私に利点が一個もないじゃん。どうしてこうなった?


「リリアはもう少しノリと勢いで突撃するのは止めた方がいいと思うな私」


 ナユハ様から冷たい目で見られてしまった。どうしてこうなった?




次回、3月30日更新予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 女と見ればちょっかいかけてきた報いだな() このまま女誑し外交を続けようぜ!
[一言] ガラスの胃袋(耐薬性抜群胃酸なんかじゃ穴あかない) すごい有能! 想像したらとてもツボりました。
[良い点] しノリと勢いこそリリアさんでしょうwww
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