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幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第六章 悪役令嬢編

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閑話 正妻会議。(ナユハ視点)


 リュースがリリアにプロポーズする少し前の出来事。

 一応のネタバレ(リリアとリュースが婚約)防止のためここで投稿します。







 リュース様がリリアに求婚するらしい。

 まぁ既定路線と言えば既定路線。リリアほど王太子妃=未来の王妃にふさわしい人間はいないもの。そもそもリリアのおばあ様であるリース様は、リリアが王妃になること前提で教育を施していたのだし。


 リリアは肩書きこそ成金の子爵家令嬢だけど、祖母は正真正銘の王族。祖父は邪神を倒した勇者。父親も(没落寸前だったとはいえ)侯爵家からの入り婿だし、血筋で文句を言う人はいないだろう。……よほどの愚か者以外は。


 というか、我が国の王族は『建国神スクナ様の直系』ということになっているのだから、スクナ様の子孫であり金色の瞳を持つリリアがリュース様と結婚して王族の“血”を強化するのは必然ですらある。


 まぁ王太子妃候補になってもリリアは(良くも悪くも)変わらないだろうし、私も変わらずメイドとして側にいるだけ。何も問題はないと思う。……黒髪黒目の私が王妃付きのメイドになれるかな、という不安はあるけれど、リリアなら何とかしてしまうだろう。


 だから婚約については問題ない。

 今、あえて問題を挙げるならば。同じくリリアに『ふぉーりん・らぶ』しているマリー様が私たちを呼び出したことであり。


 ちなみに呼び出されたのは私、愛理、ウィルド様、ミヤィスン様。なんというか……それぞれがリリアに対して特別な感情を抱いていそうな方ばかりだ。


 ウィルド様は(たぶん)神様だし、ミヤィスン様は妃陛下かつ竜列国の皇女様。いくらマリー様が侯爵令嬢でも気軽に呼び出していい存在じゃないはずなのに、お二人は気軽にやって来てしまった。


 集合したのはとある王城の一室。小さめの部屋とはいえ王城を使わせていただくのだから、ここにいないリュース様もこの集まりについては承知しているのだろう。


 参加者に一通りの挨拶をしてからマリー様は切り出した。


「それでは、これより第一回“正妻会議”を開始いたしますわ」


 ……なんですと?


 首をかしげる私だけど、他の人は神妙な顔をしたり満足そうに頷いていたり。あれ、これ話が通ってないのは私だけかな?


 この集まりにおいて、誰の“正妻”についての話なのかといえば……まぁ確実にリリアだよね。


 リュース様はリリアの夫。

 これは前もって話があったから私も納得しているし、他の人たちも納得しているはず。


 となると、リリアの“正妻”枠は空いているわけであり。


 ……うん、よく考えなくても何かがおかしいけれど、考えたら負けだと思う。少なくとも今考え事を始めたら話に置いていかれてしまう。


 しかし、正妻かぁ。

 女好きのリリアのことだからお嫁さんが複数いるのはしょうがない。でも、やはり人数が集まると序列の話が出てきてしまうものなのかな? リリア本人はそんな順番付けは望まないだろうけど……。


 正妻。と聞くと良いものだと錯覚しがちだけど、要は中間管理職だ。上司(夫)と部下(他の嫁)の間に立ち、様々な折衝をしなければいけないし、お嫁さん同士で諍いが起これば仲介に乗り出さないといけない。


 うん、私には関係のない話だね。

 だって異世界の住人だった愛理はともかく、侯爵令嬢であるマリー様や神様(?)であるウィルド様、さらには妃陛下で竜列国の皇女であるミヤィスン様がおられるのだ。元貴族とはいえ平民、しかもメイドである私が出しゃばる場面ではない。そもそも平民が侯爵令嬢や神様(?)や妃陛下の諍いを仲介できるはずもなし。


 だというのに。


「やはり、正妻はナユハお姉様が適任かと思いますわ」


 マリー様はそんな世迷い言をほざいていた。


 なんでやねん。


 私が愛理直伝のツッコミをする前に、


『ま~そうだよね~』


 愛理がお気軽な声で肯定し。


『合意。これ以上ない適任であると断言する』


 ウィルド様がいつも通りの無表情で答え。


『うむうむ、ナユハであれば仕方がなかろう!』


 なんだか妙に私を気に入ってくださっているミヤィスン様もうんうんと頷いていた。


「いやいやいや、おかしいでしょう? なぜ私なのですか?」


 私は集まった面々に理路整然とおかしい点を説明したのだけど……愛理はやれやれと肩をすくめてしまった。


『むしろ他に適任がいると思っていることにビックリだよ私は』


『首肯。ナユハは自覚がなさ過ぎる』


『見方によっては愛い奴ではあるがな』


 愛理、ウィルド様、ミヤィスン様に次々とバッサリと切り捨てられた私であった。


「というわけでして。前もって議論したようにナユハお姉様は正妻。わたくしが第二婦人。愛理様が愛人で、ウィルド様は『アンスールは私のアンスール』、ミヤィスン様は伴侶ということでよろしいでしょうか?」



『『『異議無し』』』



 いやちょっと待って。「前もって議論した」って何? 私にはそんなこと一言も相談なかったよね? もしかして押しつけようとしている? 正妻としての面倒なあれこれを押しつけようとしてますか?


 もちろん異議を唱えた私だけど、多勢に無勢とはこのことであり……。



 ど、どうしてこうなった?







 マリー ……ナユハをお姉様と呼び慕っている。気高い貴族令嬢(リリアの前以外)


 ミヤ様 ……ナユハを気に入っている。とても気高い皇女様。



 序列を気にしそうなのは上記二名なので、二人から気に入られている=認められているナユハが正妻になるのはまぁ必然かと。




 次回、8月1日更新予定です。

 投稿時間によって閲覧数が変わる的な話を聞いたので、今後色々試してみたいと思います。とりあえず次回は朝に投稿します。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 考えたら負けですねw リリアさん好きの女の子達を全員も判明出来かつ呼び出せるマリーさんはかなり聡明かつ胆力を持つのお方ですね!マリーさんには本当に感心しています〜 まぁ、ナユハさんはリリア…
[一言] 唯一手綱握れるんだから無理もない
[一言] 要するに、現状維持であるw
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