表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼女ヒロインは女の子を攻略しました ……どうしてこうなった?  作者: 九條葉月
第二章 幼なじみのメイド編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/229

閑話 むかしむかしのものがたり

リリアの前世のお話。




 閑話 むかしむかしのものがたり



 自分の生き様を悔いることはないけれど。

 女の子なのに『中二病』を患っているのはかなり致命的だと思う。特に、高校生にもなって中二病なのは自分でも呆れかえってしまう。そりゃあ彼氏いない歴=年齢になるってものだ。


 でも、しょうがないじゃないか。妄想を止めることができないのだから。

 傘を握れば明治の浪漫譚がごとく牙○の練習をしたくなるし、壁を見れば二○の極みをやってしまう。布団に入ってからは『私はきっと神さまの転生体で、将来の大英雄で……』なぁんて空想の世界に入り浸ってしまうかなりの“手遅れさん”だ。

 むしろ人目を気にするようになったのだからだいぶマシにはなったのだと自画自賛。私は今日も元気です。


 こんな私ではあるから当然友達はいない。

 ただ、幸いなことに“親友”はいてくれた。


「だからね! ファンディスクのミリス様がすごく可愛いの! 璃々愛(りりあ)ももう一度やろうよ!」


 私の机に両手を叩きつけながら親友・愛理が叫んだ。徹夜で全クリしたせいか超絶ハイテンションだ。

 ま、それだけ『ボク☆オト』が面白いゲームってことなのだろう。


 ここは教室で他のクラスメイトもいるのだけどみんな慣れているのかこちらを振り向きもしない。


 ちなみに『璃々愛』とは私の本名だ。別にハーフって訳でもないのに。両親には基本感謝しているがこのキラキラした名前(ネーム)は勘弁して欲しかったかもしれない。正直、画数が多くて名前を書くのが面倒くさいし。


 閑話休題。こんな現実逃避をしていては我が親友殿は止まらないだろう。


「あのねぇ愛理。何度も言ったけどファンディスクは無理だって。あんな可愛いリリアちゃんが悪役令嬢にされちゃったのよ?」


 うん、別に自画自賛ではない。リリアとはソシャゲ開発も発表された乙女ゲーム『ボク☆オト』の主人公であり、名前が一緒な私としては肩入れ具合が天元突破しているのだ。銀髪クーデレとか萌えのド真ん中を撃ち抜いているし。

 そんなリリアちゃんがファンディスクでは悪役令嬢? 処刑やら奴隷落ちだと? ふざけるなって話である。


 私はハッピーエンドが好きなのだ。バッドエンドなんて認めない。

 一流の悲劇(かなしみ)より三流の喜劇(よろこび)を。

 そしてあのファンディスクは三流の悲劇(・・・・・)だ。


「何度も言うけど私にとってあのファンディスクは不倶戴天の敵。水と油。呉越同舟なのよ」


「呉越同舟だと同乗しているじゃん」


 冷酷な親友からのツッコミにも負けない私、超健気。


 そんな健気な私はリリアちゃんを守るためにも毅然と立ち上がった!


「よく聞きなさい親友! リリアちゃんは私の夢☆第一位を『宇宙飛行士』から『ゲーム世界のモブに転生してリリアちゃんの幸せを全力で応援する!』に変えたほどの美少女! そんな彼女の幸せを否定するファンディスクをこれ以上進める気はないわ! というかもう中古屋に売り払い済みよ!」


 健気に大声で宣言した私であった。(ちなみにここは教室で他のクラスメイトも多数存在)





 なにやら懐かしい出来事を思い出した。


 ……いや、ねぇ? 確かに私はゲームの世界に転生するのが夢だったよ? リリアちゃんの人生を“一流の喜劇”にするために行動するつもりだったよ?


 でもさぁ、いくら名前の読みが一緒だからって、まさかリリアちゃん本人に転生するとは思わないじゃん? しかも私の知識が流れ込んでしまったせいかクーデレになるはずが中二病っぽくなってしまったし。


 どうしてこうなった……。


 あ、でも、クーデレなリリアちゃんも良かったけど元気いっぱいなリリアちゃんも可愛いからこれはこれでありかもね。うん。


 自分を納得させた私は今日もリリアちゃんの健やかな成長を見守るのであった。萌え萌え。




次回、10月4日投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ