出発前の慌ただしさ #29
ラーシャと一緒に中庭のテラスに戻ると、そこにはかつての上司や同僚と再会した哀れな野間の姿が有った。
楽しそうに賑わう空間の中にあって只一人、額に汗を滴らせ、やつれた顔をしながらテラス中を走り回っている。
「野間、アッチのやたらに大きいサイコロステーキが気になるぞ、行ってみてくれ」
「ハイッ!」
肩にへばり付く水色ヒトデのソルト君にトンガリお手々で指差され、
「次は向こうの赤味の魚料理が食べたいな、シャケみたいで美味しそうだ」
「了解っス!」
右手に抱えるカピバラのカルピンチョ君に顎で指示されて、
「そろそろデザートも食べたいでチュ。庭に有るイチゴが乗った三色ケーキを食べに行くでチュ!」
「ハイハイ……」
左手に抱えた小ウサギのトッポ君におねだりをされている。
ソルト君達小動物はテーブルに背が届かないのだが、そのお蔭で世話係りに任命されてしまった様だ。彼等を抱っこしたり肩に担いだりしてアッチコッチに引きずり回され、そのせいで野間自身がせっかくの豪華料理を食べられないでいるのが何とも物悲しくて涙を誘う。
それはさておき、勇者達もすっかり元気になったみたいで一安心だ。
私の仲間と楽しそうに料理をつつき合っているし、雑談しながら陽気に過ごしている様子を見る限り、どこにも怪我なんて無さそうで本当に良かったよ。
「あっ、ソフィアさん!」
集団の中からいち早く入り口に立つ私達に気付いて手を振ったレイチェル。
元放射能測定器のパルスを肩に乗せ、小走りで詰め寄って来ては同時に声をかけてきた。
「もうお父様とのお話は済みましたか?」
「ウニャニャン、ニャン?」
仲良く料理を食べていたのか、両名ともにこやかな笑顔をしている。
「うん、一応はニャ。じゃなくて、とりあえずは終わったよ」
ちょっぴり疲れた声を出し、王の寝室からの帰り道を思い出す。
部屋を出てから直ぐにネイサン氏の心の内をズバズバ言い当ててやったが、かえって彼を喜ばせる結果になっちゃった。
つまり、私を主軸に西の魔王と戦うとか、身柄をミスカトニック預かりにするとかの話はアンタさんの政治的戦略の一環だろうと図星を突いてやったのだが、そこまで分かっているのならお互い協力し合おうではないか、との提案を不気味な笑顔でされてしまったのだ。
ただし、内容はそう悪くない。
私のモンスター仲間達にはミスカトニックの住民権を与えてくれるそうだし、何らかの許可が必要な時には都合を付けてくれて、おまけに資金や物資も援助してくれるとの話だ。
その代わりに、私が立てた手柄はミスカトニックへ帰属するとの事ではあるが。
まあ、手柄なんぞ誰の者になっても構わんのだ。そんな物には全く興味が無いし、出世争いを演じていたアッチの世界ならいざ知らず、今の私には特に必要となる物でもあるまい。
と言う事で、ひとまずは彼の提案を呑んで帰ってきたという訳だが、あのネイサン氏の嬉しそうな顔ったらなかったね。
早速この国の第一王位継承権者、要するにエロ爺さんの息子である王子に事の顛末を話しに行くと言っていたが、さてさて一体何を企んでいるのやら、ってそんな事はどうだっていいのだよ。
「それよりも、現在進行中の西の魔王の進軍を解決する方が先決事項なのだ。例の生物兵器どもがやって来るのは間違い無いだろうしな。これは連れて行く者の人選に気をつけないと、大変な事になってしまうぞ……」
レイチェルとの会話を忘れ、戦闘シーンを頭に浮かべて戦えそうなメンバーを絞っていく。
そんな自分の世界に浸って立ち尽くす私に、突然キャミィの声が脳裏に届いた。
「んじゃソフィア、チャッチャッと連れて行くメンバーを決めちゃったら?」
思考を読まれた事にビックリ仰天、
「どわっ、エスパーか!?」
と、慌てふためいて辺りを見渡すと、キャミィはもちろん他の面々もいつの間にか私を取り囲み、不思議そうな顔をして見つめている。
「エ、エスパーって……。もう、なに言ってんのよ、アンタでっかい声で独り言を言ってたわよ」
呆れた顔で私を見つめるキャミィさん。
恥かしさのあまり真っ赤になって俯く私の代わりに、ラーシャは皆の前に進み出てスラウレン王国の現状を伝えてくれた。
「――――という訳なのよ。さっそくだけど、ソフィアにはルトハイム城に行って貰うわ。それで、彼女の補助が必要だと思うんだけど、それが出来るメンバーってのは誰かしら?」
チラリと菫の方を見やり、穏やかで優しそうな笑みを溢した。が、その意味合いは良く分かる。なんせ、ラーシャはあの洞窟内での菫の活躍を知っているのだからな。それに、元スーパー兵器の菫なら彼女の見立て通り十分に役に立ってくれるだろう。
「まず、スミレ君が第一候補として、他に適任者は、」
「「無論、私達だ!」」
突如、ソルト君とカルピンチョ君の可愛らしい声がラーシャの言葉に割って入った。
野間の肩や腕から颯爽と飛び降り、トコトコとふんぞり返りながら進み出てくる。
「私達を差し置いて、他の誰が我が司令官の補佐など出来ようか!」
「ソルトさんの言う通り、我々ほど適した人物、もといモンスターなどこの世に存在しません!」
二人とも腰に手をやって随分と偉そうである。
「そ、そうなの? ちっちゃいのに偉いわね……」
ラーシャは二人の言葉にも半信半疑なのだろう、奥歯に丸太でも挟んだ様な物言いをしている。
まあ、こんな小さな水色ヒトデとカピバラが強いなど、彼女が信じられないのも無理はないだろう。
しかも、ソルト君達ってばお口周りが食べ物でベチョベチョだし、威厳もヘッタクソもありゃしませんですよ。
「そう言えば君達、どうしてここに来たの?」
ついでとばかりに、さっきから気になっていた事をサラリと聞いてみる。
「帰りが遅いから心配になって来てみたのですよ、パルスのお蔭もあって不審者と思われずに済みました……いや、それよりも敵勢力の規模は判明していますか?」
「さあ、私は知らないねぇ。そこんトコはどうなのラーシャ?」
「わ、私も知らないわよ。と言うか、ルトハイム城の連中もはっきりとは分かっていないんじゃないかしら。そこまで詳しく教えて貰っていない感じだったし」
今度は私達三人に言い寄られて、気押されたのか後ずさりをしてしまっている。
「なら、現地に行ってからのお楽しみって訳だ、ガッハッハッ!」
突然陽気な笑い声がテラス内に響いたかと思うと、一番後ろに立っていたガラカンがヌウッと姿を現した。
「ここでジッとしていても始まらん、メシを食い終わった者順にさっさと行っちまおうぜ」
骨付き肉を片手に、随分と嬉しそうな顔をしている。
「さっきはアンタに見事にヤラレちまったからな、奴ら相手にストレス発散でもさせて貰うぜ。ついでに彗斗の訓練にもなるしよ、一石二鳥ってこった。ガハハッ!」
言い終わるや否や、大口開けて持っている肉に齧り付いた。
しかし、彼の横でその様子を黙って見守っていた勇者は、ラーシャに不安そうな視線を向けている。
「なあラーシャ、僕達も行っていいのかい? 野間さん達とダンウィッチの森に行くんじゃ……」
その言葉に即座に反応した野間。
トッポ君を脇に抱えたまま、勢い良くガラカンの前に飛び出てくる。
「そうだぜガラカン、忘れて貰っちゃ困る。この世界へやって来た連中の探索もスゲェ重要事項なんだぜ。キャミィちゃんやナイファイ、俺も含めて、この先の魔王との戦いには、その連中を見つけ出すのが絶対に必要不可欠に違いねぇ、って考えているんだ」
珍しく真剣な目つきをして熱く語る野間に、ガラカンも肉を口から離し、渋面を作りながらも重々しく頷いた。
「ちっ、しょうがねえな。分かったよ、今回はオメェの方に付いて行ってやらあ」
再び肉に齧り付きながら後ろに下がったガラカン。
野間と勇者、ラーシャ達は顔見合わせ、ホッとした顔で彼の後姿を見送っている。
しかしナンだな、このお調子者の野間がここまで真剣に先の事まで考えていたとはね。
コイツも知らない間に随分と成長したもんだよ、うんうん。
「いや、待てよ。ちゅ――事はですな、キャミィやナイファイもダンウィッチの森に行っちゃうんだよね?」
「ま、まあ、そうなるわね」
「う~~む、それは少し心細いな。後のメンバーとしてはノエルとエルシーか……」
腕を組んで頭を悩ませるも、すぐにいつものメンバーだったと気が付いてしまう。
「なんだ、大丈夫じゃんか。んじゃ、食い溜めしてからパッパと行ってきますかね」
踵を返し、ホクホク顔で料理に突進して行こうとしたその時、大声で呼び止められて心臓が口から飛び出してしまいそうになる。
「大丈夫じゃありません、私をお忘れです!」
雫が鬼の形相で出現したかと思うと、
「ワタクシも十分戦力になりますわ!」
と、レイチェルも悪魔の様な凄みで現れた。
「い、いや君達、危ないから……」
「「絶対[私・ワタクシ]も付いていきます!!」」
迫力に押されながらも何とか思い留まらせようとしたが、二人合わせての大絶叫でコッチが逆に説得させられてしまう。しかも、ナイファイまで追っかけて来て、シリアスな雰囲気で彼女達の援護をし始めた。
「司令官殿、この二人も以前とは比べ物にならない程に強くなりました。その実力は、二人合わせてならスフィンクスの“アル子”を呼び出せる程です。十分に貴方の補佐を期待できるでしょう」
意気込みこんで私の瞳を覗き込んでくる。
「それに、もっとも肝心な事は一人でも多く貴方の盾となる者を増やさねばならんと言う事です。どうか、この二人の同行をお許し下さい」
潤んだ瞳の顔を超接近させてくるが、もはや私を説き伏せると言うよりも懇願に近いと言った方がいい。
一体どういう了見で、それ程までこの二人を私に同行させたいのだろう?
「まあ、君がそこまで言うのなら別に構わないけどさ……」
「有り難うございます、司令官殿!」
途端に明るい顔になって喜び、そして再び、またもや泣きそうな顔に戻ってしまった。
「ああ、この私が行けたなら、こんな胸が張り裂ける思いをせずに済んだものを、ああっ!」
宝塚の役者ばりに大きなリアクションで頭を抱え込み、次には悲痛な声を出しながら両手を床について頭を垂れている。
「あの~~、ナイファイさんや、いったいどう……」
「しかし!」
「わっ!?」
急に立ち上がったもんだから、ビックリして後ろにひっくり返りそうになる。
「これも全ては司令官殿の為なのだ! たとえこの身が砕け散ろうとも、必ずや異世界からの来訪者を見つけ出さねば!」
握り拳を突き出して、一人勝手に盛り上がるナイファイ。
その燃える瞳は未来に何を映しているのだろうか……って、私の事なんだろうけどさ。
たぶん、テレポート実験の関係者と私とを引き合わせ、もっと私をレベルアップさせてパワーアップしたいのだろうよ。確かに、誰かと会うたびに強くなってきたし、仕舞いには空まで飛べちゃったんだから、ナイファイ、恐らくはキャミィも含めて、彼女達がそこに気が付くのも当然かも知れない。
かく言う私は、最近まで全然わかんなかったけどね……。
「では、ソフィアさん、私達もお供して宜しいのですね?」
ナイファイと私の思いが交錯する中、成り行きを大人しく見守っていた雫が明るい笑顔を向けてきた。
「うん、こちらこそよろしく頼むね」
もうツベコベ言わず、サクッと爽やかにオーケーを出す。
「有り難うございます、ソフィアさん!」
「やりましたわ――!」
二人とも子供の様に飛び上がって喜び、ナイファイはその様子を満足そうに眺めては頷いている。
「うむうむ、良かったな。だが、私の分までしっかりと司令官殿をお守りする事を忘れてはイカンぞ?」
「ええ、勿論です。もう守ってもらうばかりの私ではありません、必ずソフィアさんの力になってみせます!」
「雫だけ良い子になってズルイですわよ、このワタクシも新必殺技でソフィアさんを絶対に守って見せますわ!」
頬を紅潮させて、随分と張り切っているご様子。
そんな二人をナイファイに任せ、サッサとご馳走にありつこうと出撃したが、恐ろしい事に肝心の料理が弾切れを起こしている。
あれ程大量にあった豪華料理達も、この暴食イナゴの如く大食漢の群れからは逃れる事が出来なかったのか。
ハァ、やっぱりタッパーに詰めとくんだった……。
いや、まだ諦めるのは早い、中庭のデザートだけは残っている可能性が有るかもよ。
よし、さっそく出陣じゃ! と思ったら……。
何やらジャン博士とキャミィが言い争っているのが見えるんだけど。
しかし、横にいるマリー氏は困った顔をしてそんな二人を見つめてはいるが、エグイ事にその手と口を休めず美味しそうなケーキを次から次へと巨大胃袋に放り込んでいる。
おまけに、パルスもいつの間にかレイチェルの肩からテーブルの上にワープしているわ、トッポ君と一緒にケーキ類をドカ食いしているわで、こりゃあ早く行かんと全部食われるがね!
「せめて一切れのケーキを我に残し給え!」
と、どこぞの神に叫びながら急行すると、
「ソ、ソフィア君、もう話は終わったのかね?」
「は、早かったわね……」
脂汗を出した博士とキャミィが苦しそうに迎えてくれた。
何やら一枚の皿を巡って二人の間で紛争が勃発し、息を切らして皿の引っ張り合いっこをしている様だ。
「ソフィアさん、この食い意地が張った二人を止めて下さいませんか、モギュモギュ」
口一杯にケーキを頬張ったマリー氏が、更に次の獲物を横目で物色しつつ頼んできた。
「そうですな……、しかし、今お持ちになっているその四色トルテは、途轍もなく美味しそうですねぇ」
舌なめずりをして、手に持つケーキに目と鼻の先をくっ付けて見つめたおしてやる。
「ま、まだ残っていますわよ。ほら、アソコに」
たじろぐマリー氏が中庭の一番左端のテーブルを指差した。
そこには、彼女の言う通りに三切れだけのトルテが辛うじて残っており、芸術品の様な美しい縞模様の断面を見せていた。
雪を振りかけた様な真っ白な土台に、イチゴを主体とした綺麗なフルーツが頭頂部に四品乗せられ、切り分けられた断面からはチョコや小さな葡萄の様なアクセサリーが姿を覗かせている。
しかも、その中央部には再び大きなイチゴ様が……、
いやいや、解説なんか後回しだ、サッサと食べるべし!
「き、君、いいかげんに諦めたらどうかね。私の方が皿を掴むのが早かったんだ、私に権利が有るのは言うまでもない!」
「な、何を言ってんのよ、指が皿を押さえた位で権利なんて有ると思わないで頂戴。アタシなんか両手でこの皿を掴んだんだからね!」
天に感謝しながら一噛み一噛みじっくりと味わっていると、博士とキャミィの険悪な声が中庭の端っこにまで響いて来た。
ふと振り返ると、ギラつく視線で睨み合い、まだ互いに掴んだ皿を引っ張りあっているのが見える。
例の“ウンディーネ羊羹”を取り合いっこしての喧嘩だと思われるが、まあ、唯でさえ博士はこの羊羹が大好物だからな、残り一つとなると引き下がらないのも致し方あるまいて、モグモグ。
「す、少しは目上の者を敬う気持ちを持つべきだと思うがね!」
「どこが目上よ! アンタ、チンチクリンの子供じゃないのよ!」
「ムムッ、こう見えても私は齢七十の大科学者、君なんかより遥かに年上で頭もいいんだぞ!」
「ぐっ、ま、まあ確かにふう太がそんな事言っていたわね。だけど、アタシだって七十歳よ、それにアンタなんかよりず~~っとアタシの方が賢いわよ、天才魔導師キャミィちゃんって有名なんだからね!」
だんだんヒートアップしているような感じ。
やはり、世界は違えど同じ科学や魔法を研究する人間同士、何か通じ合う、この場合、いがみ合う物でも有るのだろうかね、モギュモギュ。
「何が天才だ、相対性理論も量子物理学も知らん人間が、偉そうに物を言わんで貰いたいね!」
「ムキ――ッ、何の事だか分かんないけどハラ立つ――! アンタだって全然魔法使えないじゃんよ、魔法具だって作れないでしょ!」
「そんな物作れんでも結構! いずれ私が科学の力で作る生活便利品に度肝を抜かれ、口から泡を吹き出す羽目になるのは君だからな、アッハッハ!」
「ムカムカムッカ――ッ! その前にアタシに鼻から変身玉を詰め込まれて、カエルになってどっかの池に逃げ込んでいるわよ、キャ~~ハハハ!」
「なにおう、この野蛮娘!」
「なにさ、この爺さん子供!」
唾を飛ばして激しく罵り合っている。
しかし何だね、よくもまあ羊羹一つでこうも言い合えるもんだよ、かえって感心してしまうじゃないか。
「ぐぬぬ!」
「ムムム!」
二人とも渾身の力で皿を引っ張っている。
この勝負の行方はどちらに傾くのか、いつしか周りに集まっている者達も、固唾を飲んでその結末を見届けようとしている。
だがその時、急に黒髪のチビッ子猫娘が現れたかと思うと、博士とキャミィの目の前からプルプル震える羊羹を摘み取ってしまった。
「これ、私の大好物なんだよね~~、パクッ!」
「「ああ――っ!?」
あろうことか、いきなり二人の前で齧り付いちゃった。
しかも、余りにも大き過ぎる口は、羊羹の半分位まで一気に飲み込んでしまっている。
「な、なんと言う事を……」
情けなく目尻を下げてうな垂れるジャン博士に、
「ちょ、ちょっとヴェル、アンタなんちゅー事をしてくれちゃってるのよ!」
目尻を上げて頬を膨らませ、プンプン顔でお冠のキャミィ。
「まったく、何を馬鹿みたいな喧嘩をしてるのよアンタ達。これでしょうも無い喧嘩の元が消えたんだから、私に感謝しなさいよね、モギュモギュ!」
説教をしながらも、顔を綻ばせて嬉しそうに羊羹を食べている。
「ああ、そうそう、もう転移魔法陣の用意が出来ているわよ。どうするソフィア?」
羊羹を手に私に振り返るヴェル。
既に、その瞳は咀嚼で忙しそうな口元と不釣合いな程に真剣になっている。
「分かった、今から行くとしよう。悪いがそこに案内してくれ」
コチラも負けずに気持ちを切り替え、簡潔な返事をしてそのまま早足で部屋の中央にまで戻る。
そこで立ち止まってチラリと後ろを振り返ると、ヴェルは勿論、スラウレン王国行きのメンバーがしっかりと付いて来てくれていた。
ソルト君、カルピンチョ君、菫にノエルにエルシーのいつもの面子に加えて、雫とレイチェルの生真面目な顔を見て静かに微笑む。
さあ、いよいよだぞ。
必ずや西の魔王の思惑を木っ端微塵に粉砕してやろうではないか、待っていたまえよ…………。




