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転生自衛隊 ~兵器も転生!美しすぎるは最強の証!?  作者: ぷよりん
第1章 アルハザード王国編
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ソフィアが居なくなっちゃた  #26


「ソ、ソフィア――!!」


 ソフィアと菫が姿を消した空間を、ただ立ち尽くして見つめるばかりのキャミィと勇者達。


「くそっ! また俺達は彼女に助けられてしまったのか!」

 悲痛の叫びを上げるガラカン。思い立ったかの様に地面に倒れているアメーリ教の男に詰め寄る。


「おい、お前! 彼女は何処に行ったんだ!」

 息も絶え絶えに意識が朦朧としている男の胸倉を掴んだ。


「わ、わからん……」

 視線が定まらない状態でガラカンの問いになんとか答える男だったが、すでに命は尽きかけているかの様に見える。


「わからないだと!? ふざけるな貴様! あの魔法陣は貴様が出した物だろうが!!」

 レイピアを抜きざまにサーシャが叫んだ。


「よせ、サーシャ! それよりこの男にヒールをかけてくれ」

「くっ!」


 勇者に行動を諌められ、その上男の回復まで命じられたのだ。やり場の無い怒りがサーシャの体を震わせている。だが、彼女の目にも明らかに男は死の淵に瀕していると映っていた。このままではまともな会話をするまでも無く、男は死んでしまうだろう事は十分に理解している。唇を噛み締めながら、サーシャはアメーリ教の男にヒールをかけてやった。


「ありがとう、サーシャ。さて、改めて聞こう。転移先が分からないとはどういう事なんだ?」

 皆を落ち着かせるため、敢えて冷静な言動で示しをつける勇者。


「あ、あの転移門は未完成なのだ、よ……」

「未完成とはどういう意味だい?」


 幾分意識がハッキリしてきた男。この男の命が尽きるまでに必要な情報を聞き出さなくてはと、焦る気持ちを抑えて言葉の先を待つ。


「我々ではまだ解明できないのだ……魔法、その真理は我々の遥か彼方に有る……」


 魔法を解明? まさかあの魔法陣は人工的な物なのか?


「あの魔法陣はお前達が作り出した人工物、つまり科学力で作った(・・・・・・・)という事なんだな?」

「そ、その通り……だが不完全だった……。この世界の物理法則、魔法という不可思議を科学で統計化するのには、我々は余りにも非力なのだよ……」 


 この世界の法則を、あっちの世界の法則で解明しようとしていたのか……


「分かった。それであの魔法陣はまだ未完成だとして、行き先も全く分からないのかい?」

「……そうだ。ただ何処かに物質を飛ばすだけのガラクタさ……。行き先も分からなければ、転移後の物質構成にも保証は無い」


「おい、彗斗! さっきから何の話をしているんだ!!」


 ガラカンが苛立ちの声を出す。しかしここからの話が重要なのだ。


「待ってくれガラカン。君、物質を飛ばすだけ、というのをもう少し詳しく教えてくれないか?」

「……言葉の通りだ。あの未完成の転移門は行き先を指定できない、ランダムなのだよ。それに、転移先で元の姿に戻る事は極めて難しい。我々のエネルギー発生能力と計算力では、物質を分解は出来ても再構築する事までは出来ないでいるのだ……」


「「「なにいぃ――!?」」」


 男の言う言葉、その全てを理解出来たのかは定かではない。だが、言わんとする事はこの場に居る全員が脳裏に浮かび上がったのだ。思わず戦慄と驚愕の声を上げる。


「ちょっとアンタ! それってつまり、ソフィア達は空中とか地下とかに転移してしかも元の姿に戻れない、もしかすると死んじゃってるって事なの!?」


 泣きそうな顔をしてキャミィが叫んだ。


「フッ、フフフッ、その通りだよ。アッハッハッ!」

「貴様! 何が可笑しい!!」


 急に笑い出した男に激高するサーシャ。体を震わせながら拳を強く握り締めている。いつこの男を殺してもおかしくは無いだろう。


「こ、これが笑わずにいられるかね? 我々は神になる崇高な道のりを歩んでいたのだ。その邪魔をしたんだ、これを天罰と言わずに何と言えばよい」


「神だって!? お前達は本気でそんな事を考えているのか!?」

 彗斗は呆れ果てた思いで男を見下ろしている。


「そうとも、まだまだ道のりは険しく遥かな高みに有るがね……だが時間はこの世界ではどうとでもなる。魔法の力、即ちイマジネーションでの物質創造。それは魂の根源の究明に等しい……その力を解明さえすれば、我々は神になれるのだ……」


「バ、バカな……」


 彗斗のみならず皆、男の言葉に凍りつく。何を言っている? 狂っているのか? そんな考えが頭に浮かんでいるのだろうか、呆れた表情が読み取れる。だが僅かに、本当にほんの微小ではあるが、目の前の男の言葉に真実味を感じ取ってしまっている様だ。焦りにも似た恐怖の瞳は、男に向けられるのと同時に宙をも彷徨っている。


「そんな事より、どうすればソフィア達を助けられるの!?」

 溜まらずキャミィが絶叫する。だが男の返事は無慈悲なものだった。


「助ける? 無駄だよ。私にもどうにもできん。クククッ、土の中のセミにでもなっていれば、いつかはその鳴き声を聞けるかも知れんぞ? クックク、ア――ッハッハッハッ!! ウグアッ!?」


 ヴェルが手の平を男に向けていた。

 今まで黙っていたヴェルが、男に雷撃を放っていたのだ。すでにアメーリ教の男は絶命している……


「ふん、どうせ死ぬんだから、ちょっと位早めてもそれこそ罰は当たらないでしょっ!」


 興奮した顔でうそぶくヴェル。だが次の瞬間ボロボロと涙をこぼし始めた。


「ヒッ、ヒック……ごめん、キャミィ。私が……、私が彼女を誘ってしまったから……、ヒック!」

「ヴェルのせいじゃないってば! それにソフィア達はきっと無事よ!!」

「そ、そうかしら? ヒック……」

「当然よ! あんな綺麗な子がこんな事ぐらいで死ぬなんて、思いっ切り宇宙の法則から外れるわ!!」


 むちゃくちゃな論理をのたまうキャミィ。しかし、今はそんな言葉でも信じたくなるのだった。


「そうともヴェル、彼女はそう簡単には死なないよ。この世界がそうさせているんだからね!」

「何よそれ? ……ヒック!」

 

 彗斗の言葉もむちゃくちゃだ。いや、あながちそうとも言い切れないかも……


「まあまあ、とにかく心配しなくても大丈夫、俺達は信じて待つ事にすればいいさ。その間に……そうだな、する事はたくさん有るぞ? まずは城に戻って報告だ。さあ、行こうか!!」


 勇者の彗斗。彼の瞳は決して絶望していない。希望に満ち溢れているのだ。その自信は彼の荒唐無稽な考えから来るものなのか、それとも……


 ソフィアは皆の期待に応え、再び帰ってくる事が出来るのだろうか…………





 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


 

 

 

 広大なゾティーク大陸、そのほぼ中心に位置するレイカナックの大森林。

 そこは鬱蒼と木々が茂る大ジャングルである。巨大な建造物はそのジャングルの中心部に建っていた。


 最上部の部屋に一人の男が座っている。

 二重に敷き詰められた真紅の絨毯と、整然と並べられた本棚や東洋風の調度品が男の趣味を物語っているかに見える。


 豪華なデスクに備え付けられた座り心地の良いデスクチェアに深々と身を沈める男は、壁に掲げられているA国の国旗を何の感慨も無く見つめている様だ。おもむろに腕時計を確かめ、方眉を少し上に上げた後にクローゼットに向かって歩き出す。


 扉を開くと大きな縦長の鏡が取り付けてあった。


 その鏡に映る姿はこの世界に全くそぐわない物だ。

 仕立ての良いスーツ姿に小さな星が幾つもプリントされているネクタイ。紺色のネクタイは金色のネクタイピンによって真っ白なワイシャツに留められている。


 男の容貌からすると年は22、3歳だろうか。正確に七三に分けられた短いブロンドヘア―に、意思の強い深青の瞳。がっちりとした逞しい体は180cmを悠に超えている。


 スーツの内ポケットから櫛を取り出したところでドアのノックが聞こえた。


「入りたまえ」


 鏡を見ながら見た目とは似合わない、とても落ち着いた貫禄のある返事をする男。


「失礼します。大佐、もうすぐ時間です、用意はできましたか?」

「ああ、もうすぐだよ。しかし面倒だな、やはり行かなくてはならんのかね?」


 髪に櫛を通し、身支度をしている大佐と呼ばれた男の言葉に、部下と思しき男は動揺する。


「勿論です、大佐。今回の会議では3匹の魔王についての調査報告が含まれています。今後の対策について話し合わねばなりません。それに、」

「スタンリ―少佐の事かね? 代わりなど幾らでもいるよ」


 ネクタイを直しながら軽く言い放つ大佐の言葉に、冷や汗をかく部下の男。同じ様に自分も考えられているのではないかと、脳裏に浮かんでいるのかもしれない。


「そうかもしれませんが……。アメーリ教の扱いに関しても少し話し合いたいと……」

「ああ、彼らかね。構わんよ、放っておけばいいさ。この世界で何かと鬱憤が溜まるだろう、ガス抜きも必要だよ、マクシミリアン君」

「はぁ……」


 そうなのだろうか、とマクシミリアンは考える。彼の考えでは、最近のアメーリ教の活動は目に余るものがあったのだ。まだ秘匿しておきたいハリア―ⅢやM2エイブラムス戦車まで持ち出している為だ。「このままではF-17戦闘機まで使うかも知れん」、そんな思いに耽っている最中に大佐の声が聞こえる。


「勇者はどうなっている? 十分強くなってくれているのかね?」

「はい。ネクスタ郊外にある洞窟内で、M2エイブラムスを撃破したという報告がありました」

「ほう、まずまずだね」

「ただ……手助けした人物が居たと思われます」


 眉間に皺を寄せ明らかにがっかりしている大佐に、マクシミリアンは報告を躊躇った。


「その人物も非常に高い戦闘力を持っているようです」

「ふむ、続きを話したまえ」


 少し興味を持ってくれた事にホッと胸を撫で下ろす。


「何でもミスカトニックの闘技場で呆気なく優勝した少女だそうです。民衆は闘技場の女神と言っているようでして、その姿は想像を絶する美しさとか」

「はっはっはっ、それは何とも愉快な話だね、君。うむ、マクシミリアン中佐、決してその少女の邪魔をしてはならんぞ? もっと強くなってなってもらわんとな」


「はぁ、わかりました……」

「残りの魔王共も頼りにならん。あの馬鹿達は自分が特別だと思って何の修練もせんからな。もし、あっさり殺してしまったら私は何と戦えばよいのだ? 戦いの無い世界など死んだ世界と同じだよ、君もそう思うだろう?」

「も、勿論ですアーゼル大佐」


 アーゼル大佐? アーゼル大佐は60歳近い年齢だった筈……


「うむ、結構。君達はこの世界を平定する事ばかりに目が行っているが、そんな事は二の次なのだよ。強者の発掘、育成。それと我々A国魔王軍と戦う理由を与えてやる事こそ大事なのだ。うむ、それを会議の席でも題材としよう」

「了解しました、大佐」


 クローゼットの扉を閉めて部屋を後にする大佐。誰も居ない部屋の窓からは広大なジャングルが見えている。だが視線を建物の下にずらすと……


 なんという悍ましい光景なのだ。様々な異形の巨大魔獣がズラリと並んでいるではないか。

 一体何の能力を持っているのかは分からない。だが、この世界の常識からは考えられない強大な力を持っている事は間違いないだろう。この魔獣達を従えるA国魔王軍に、打ち勝てる存在はこの世界にいるのだろうか…………




 第1章 完


 


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