表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生自衛隊 ~兵器も転生!美しすぎるは最強の証!?  作者: ぷよりん
第1章 アルハザード王国編
31/144

A国隊員との戦い2 #18


「何ですかあの魔法は! それに、ソフィアさんが挟み撃ちにあってますわ!」

「お嬢様、落ち着いて下さい! これはソフィア様のお考えだと、あっ、ほら!」


「よっ! ハッ! トウ!」


 迫り来る黒い円盤を、私は両手と両足で皿回しの様にキャッチし、そのまま後ろの土ミミズと男に投げる。

 円盤はなかなか威力が有った様だ。ミミズは粉々に分解し、元の土に戻った。男の方は辛うじて避けたが、左腕が切り落とされてしまう。


「ぎゃああ!! クソッ! やられた!!」


 男は激痛にのた打ち回っている。



「 コンストラクデッド(積層型)マーダーペイン(圧電殺室)!! 」


 少佐がすかさず魔法を放ってくる。同時に小さな銀色の球が現れた。

 その球は瞬時に4つに分かれ、正方形の形を保ちながら、私をその内部に閉じ込めようと展開してくる。4つの球に閉じ込められた瞬間、凄まじい電撃が正方形の空間全てを支配した。


「ふはははは!! もう貴様は終わりだ! 残念だが貴様を仲間にするのは諦めよう。部下をやられて仇を討たん訳にはいかんからな。そこで死ぬがいい!!」


「きゃああああ!! ソフィアさん!!」

「大丈夫です、レイチェル! ほら、あれを見て!」

「あれは……天井からいかづちが伸びてる? ソフィア様がしているのでしょうか?」

「勿論ですとも、ハミルさん! レイチェル、ほら、ソフィアさんは無事ですよ!」



 なかなかエグイ魔法だな、これは。まあ、まともに喰らっても大丈夫だったろうが、ビリビリしたら嫌だからね。刀を取り出して、天井から電気を放出してやった。体と刀の表面をマイナス196度にして、少し天井に穴を開けてやったら、電気は全部お空に行っちゃったよ。


「バ、バカな……有り得ん……き、貴様はいったい何者なんだっ!!」


 おぅ、おぅ、先程までの余裕は何処へやら、驚いていらっしゃる。さて、お返しだ。


「ハッ!」


 私の短い掛け声と共に、斬撃は正方形の密閉空間を横手に切り裂き、そのまま少佐の胸板を真横に切り裂いた。


「ぐわああっ!!」


 派手な血飛沫を飛ばし、後ろに倒れる少佐。


「何故……何故この私が負けるのだ!? この世界の人間如きに!」

「この世界の人間如き、か……その傲慢さが敗因だよ少佐」


「バイネックス!!」

 うん? 残りの一人が何か言ったぞ?


「この化け物め! だが、ここまでだ。お前はもはや絶対に助からん!!」

「つん! そんなの知らないモンね」


 大層な事を言う男に少し腹が立ったが、ここは冷静にいこう。

 男の前に大きな魔方陣が現れている。そこから現れたのは、大きなコオロギさん……じゃないよな。

 なんだかゴキブリに似ている様な……うん、、詮索禁止、思考放棄だ。


 10m以上ある可愛いコックローチ型モンスターは、腹から巨大な黒い塊を落とした。

 その塊はモンスターの様だ。無数にいるそれらは30cm以上の大きさだろうか、親であるコック朗氏にとても似てらっしゃる……


 うわわ、こいつら羽を広げて一斉に飛び掛かろうとしてるよ!!


「もう、逃げられんぞ、ハハハハ! 食い尽くされてしまえ!」


 言いながら、男は発炎筒の様な物を懐から取り出して発火する。これは……教授への合図だな。

 いよいよ奴が来るか。こちらも次の作戦に移るとしよう。


「バイネックス、やれぇ――!!」


 男の号令と共に、小型モンスター達は一斉に私めがけて飛んでくる。


「ふう太!!」


 私の呼び声と同時に、空中に巨大な魔方陣が現れる。直径30mはあるその赤紫色をした魔方陣は、空中を回転しながらその中にふう太の姿を浮かび上がらせていく。


「爺!! あ、あれは何ですの!?」

「わ、分かりません、お嬢様! 爺もこの様な巨大な魔方陣など見た事は有りません! しかも、ソフィア様は無詠唱でこれを」

「うふふ、流石ですわ、ソフィアさん!」


「右舷30度、ブレス!!」

「了解」


 魔方陣が消え、ふう太が完全に姿を現したと同時に、灼熱のブレスが吐き出される。間髪入れない攻撃だ。

 襲い掛かってきていたモンスター達は、炎に包まれその姿を消していく。男も、逃げる暇も、叫び声を上げる間も無く、姿を消していった。


 親モンスターは何とか生き永らえていたが、次の瞬間私に真っ二つにされる。


「あ、あれはドラゴン!?」

「ま、ま、まさか、いくらソフィア様でも……」

「あれはキャミィさんのお友達の“ふう太”ですわ! 1度だけお会いした事が有ります。少し大きめですけど、ワイバ―ンですよ」


「く――っ! 雫、またアナタだけソフィアさんと親密に!」

「こんな時に何を言っているのですか! あっ!?」

「おおうっ! これは惨い……お嬢様、見てはいけませんぞ!」

「爺、いったい何を見ては……きゃあっ! た、食べてる!?」



「ぎゃあああああ!! やめろ、やめてくれぇ―――!!」


 男の悲鳴に振り向くと、そこには何とも凄惨な光景が繰り広げられていた。まだ息のある少佐と片腕の男を、彼らが乗ってきたモンスターが食べていたのだ。


「ひぎゃあ――! た、助けて! 助けてくれぇ――っ!!」

「ゴフッ……うう、食うな! 食わないで! 頼む、助けてくれ……グフッ!」


 オルトロスといったか……少佐は、双頭のモンスターに両足を食いちぎられている。

 片腕の男は、2匹のモンスターに残りの腕や腹を食われ、大量の吐血をしていた。


 しっかりとした主従関係は築いていなかったのか。力で強制的に……

 ならば、魔獣との力関係が崩れた時、こうなるのは必然。


 どちらも、もはや助かるまい。楽にしてやるか……


「少佐……いいな?」

 私は手の平を少佐達に向けながら聞いた。


「ぐふっ…た、頼む……」

「わかった。地獄でまた会おう……」

「す、済まんな…だが、ふふっ…お前に地獄は似合わんよ……」


「うふふ、ありがとう……


 ニルヴァーナ(涅槃寂炎)ヘブン(浄土葬送)!! 」



「ギュオ――ン!!」「グルゥア――!!」


 3匹のモンスタ―の咆哮だけを残し、真っ白な炎は全てを焼き尽くす。少佐達が居た場所には、

何も残っていない。灰さえも……



「ソフィアさん、辛そうなお顔をしてますわね……ちょっとわたくしが行ってきて、抱きしめながら慰めてきます!」

「こらっ、レイチェル! 勝手な行動は慎みなさい! ソフィアさんに大人しくしてろと言われたでしょうに!」


「もう戦いは終わったじゃありませんか! 外に出ても大丈夫ですわ!」

「いえ、お嬢様。先程ふう太殿の背にナイファイさんが乗って飛び立ちました。という事は、まだ戦いは終わっていないという事ですぞ」


「ま、まだこれから続くというのですか?」

「ええ、恐らく……」


「嬢ちゃんよ、爺さんの言う通りだぜ。お前さん達にはわからんかも知れんがな、俺にはわかるんだ。まだ巨大な魔力を感じるんだよ。あのワイバーンのじゃないヤツをな」

「確か、貴方はハミルさんが探したAクラスの冒険者でしたね。巨大な魔力とは、どの様な物なのですか?」


「詳しくは俺にもわからねぇよ。だがよ、さっきから震えが止まらねぇんだ。とんでもねぇ奴がいるに違いねぇ……」

「そんな、ソフィアさん……」




 「キャアアアアア!!!」


 紛れも無い女性の悲鳴が草原を支配する。だが、人間が出したものではない。脳の中心まで響き渡る程の大音量なのだ。


 悲鳴の主は空にいた。その姿のおぞましい事よ……


 体の前半分は鳥で後ろは獣。背中には大きな鷲の羽を付けている。体長はふう太より少し大きい。尾を入れないでも20m以上はあるか。

 だが、何よりもその容貌を奇怪なものにしているのは、前面にある顔だ。


 無表情な女性の顔。3m以上はある巨大な美しい女性の顔が、そこにあったのだ。



「あ、あれはスフィンクス!? バカな! あんな伝説の魔獣がなんでこんな所にいるんだ!!」

「冒険者さん、それは一体どんなモンスターなんです? 人間が戦えるものなのでしょうか?」

「に、人間? そんなの無理にきまってるだろ! アイツは災害レベルなんだぜ!?」

「そんな魔獣がここに? ああ、ソフィアさん、どうか、ご無事でいて下さい……」



 ふう太とナイファイはすでに迎撃に出ている。

 まずは空中で一戦交える事にしているのだ。ただ、あくまで様子を見るに留めて置く。

 最初の目標は相手の戦力、主にミサイルの性能を把握し、奴を地上に降ろす事にある。


 地上に降ろした後は私が戦い、無理なら再度空中に誘って3人がかりで戦うという作戦だ。

 さて、うまく行くかな……



「来たぞ。お前よりデカイな」

「ああ、確かに。だが私の方が美しいな、奴は醜すぎる」

「ふふっ、自分で言うとは。だが私も同意見だよ。ああ、奴が真正面にこっちを捕らえた。来るぞ!!」


 化け物は、ふう太を正面に捕らえたのと同時に、大きく口を開く。


「キャアアア!!」

 悲鳴と共に、口からミサイルを発射した。


「ミサイルだ!! ふう太、ブレスで迎撃しろ!」

「了解!」


 あれは、サイドワインダーか。詳しい型は分からんが、ARH【アクティブ・レーダー・ホーミング】を装備していたら厄介だな。取り敢えずは、ふう太のブレスで迎撃できた様だ。よし、ナイファイ、頼むぞ!


「ふう太、奴の後方に回り込め!」

「ああ、やってみるが……くそ、やはり速いな、こっちが後ろに回られそうだ」

「ロックオンされるとマズイ、こっちから先に仕掛けるか。SSMー2Bミサイル発射準備!」


 ナイファイが後ろを振り向き、ミサイル発射筒を出した様だ。さあ、いけるか!?


「発射!!」


 怪物がふう太の後ろを取ろうとする寸前、ナイファイのミサイルが発射される。

 ミサイルは瞬時に怪物の胴体に着弾した。


「やったか!?」


 ああ、予想通りだ……


「なっ!? 無傷だと!? クソッ!!」

「ナイファイ、そろそろ奴のミサイルがくるぞ。後ろに居られたんじゃブレスが吐けない。急降下するからしっかり掴まっていろ!」


 ふう太が急降下を始めた。練習通りだな。怪物は口を開いて……


「キャアアア!!」


 やはりミサイルを撃ってきた。しかも自律誘導式の様だ。ふう太の動きに合わせてカーブを描きながら追尾している。間に合うか……


「うりゃあああ!!」


 ふう太が地面すれすれで急旋回し、上昇を始めた瞬間、轟音と共に地面が揺れた。どうやら間に合った様だ。

 怪物の放ったミサイルは、ふう太の急旋回と急上昇について行く事ができずに、そのまま地面に激突した。


「キャアアアアア!!!」

「ぐわあああ!?」


 怪物の悲鳴とふう太の咆哮が辺りにこだまする。

 なんと、怪物はあっという間にふう太に追いつき、ふう太の背中に乗っかっているではないか!

 4本足でふう太の背中を押さえ込み、巨大な口でふう太の首元に噛み付いている。


「ふう太、振り落とせ!」

「駄目だ、押さえつけられて身動きできん! 地面に落ちるぞ、脱出しろ!!」

「くそっ!!」


 ふう太と怪物がもつれ合いながら地面に激突する。ナイファイは寸前で脱出し、無事の様だ。すかさず、ふう太に馬乗りになっている怪物の背中めがけて、2発のミサイルを発射する。


「これでどうだ、怪物め!!」


 ナイファイのミサイルは、2発とも正確に怪物の背中に着弾した。だが……


「バ、バカな!? これで全くの無傷だと!?」


 残念ながら、2発のミサイルでもこの怪物にはダメージを与える事は出来なかった様だ。出来た事と言えば、少しナイファイに対して腹を立たせた事だけ。

 だが、それでいい。怪物はふう太から離れてナイファイに向かって行こうとしている。


 ナイファイが今日撃てるミサイルはこれであと1発。はやまるなよ、ナイファイ。残りの1発は後で必要なんだ。さあ、私も行かねば。早く行かんとナイファイが殺される。


「たああああ!!!」


 私はナイファイに襲いかかろうとしている怪物に向かって、全力で斬撃を放ちながら駆け寄る。

 だが、私の全力の斬撃でさえも、奴の結界を破壊しただけで本体には到達しない。しかも、その結界はすぐさま復活している。


 怪物は私の方を振り返った。

 初めて今回の戦いで自分の結界を壊されたんだ、少しは私の事を脅威だと思ってくれたのかな?

 無表情の顔で私を見つめている。


 私も、改めてこの目の前の怪物をじっくりと観察する。


 エジプト神話に登場するスフィンクスか……

 まさか実物に出会う日がやってこようとは、思ってもいなかったぞ。

 しかし、ハリアーが何故この伝説の怪物になるのだろうか? さっぱりわからん。

 だが、今はそんな事よりも、どうやってやっつけるかを考えなくてはな。


 ナゾナゾなら楽勝なんだが…………







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ