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第6話・お願い

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■天文16年(1547)6月2日

甲斐国 山梨郡 躑躅ヶ崎館 三郎私室



「それは夢枕に甲斐源氏、武田家の家祖であられる武田遠江守信義様が立っていて、聞いてみたら答えてくださったのだ」



「なるほど三郎様ならありえる話ですな、神童と言われておりますから」


一益は納得しながらうんうんとうなずいていた。この時代の人々はこう言ったものを信じる傾向がある。現代とは違い、神や仏などを大事にするのだ。織田信長は腐っていた仏教の僧がいる寺など壊したりしているが。


それはさておき忍びや武将を揃えても率いる兵がいなくては話にならない。


「一益、俺は父上の所に行って参る。お主はどうする?」


「それがしは城下の方を見てまいりますので」


「そうか、源四郎、源五郎そこにおるな?」


三郎は部屋の外に待機していた源四郎と源五郎を呼び寄せる。


「「はっ!」」


「今の話聞いていたな?行くぞ」


三郎は源四郎と源五郎と共に晴信がいる部屋に向かった。


「父上、突然申し訳ございません」



■甲斐国 山梨郡 躑躅ヶ崎館 晴信私室

・武田三郎


「父上、突然申し訳ございません」


そう言って三郎は晴信がいる部屋に入る。


「なんじゃ、三郎か?何か用事か?」


評定などの時とは違い優しい父上だ。


「その、父上御願いがございます。」


「なんじゃ珍しいな三郎、書物が欲しいのか?」


「いえ父上、書物もいいのですが、今度の志賀城攻めまでに兵が欲しいのです。自分の兵が欲しく、それと城が欲しくてお願いに参りました。」


「兵か、それに城か?どれくらい欲しいのだ?それと城はどうすれば良いか?」


「最低でも500は欲しいのです。城は志賀城以外に城を私がその500で落としてその城をいただきたく」


「城は攻め落とせるのならやっても良いが、500か…しかし兵を得るということはそのもの達への扶持が必要になるぞ?」


その覚悟はできてるんだろうと見つめてくる。


「城を得るまでは川狩りと山狩りでなんとか凌ぎます」


「だが、500人ともなるとそう簡単には集められんぞ?」


晴信は心配そうに三郎を見つめる。


「そこは大丈夫です餓死しそうな、山窩や河原者、貧民を喰い扶持だけで集めます。それを先ほど言った川狩りや山狩りなどで確保します。策はあります。川で篝火漁などをして食事の足しにします。」


「篝火漁?それは聞いたことがないな、何なのだ?」


「簡単にいうと、夜に火の明かりで魚を脅かして網に追い込む漁でございます。」


「そうか、ならば良い。取り敢えず1日分の食糧しかやれぬ、すまぬな…」


晴信は申し訳なさそうに目線を下げる。


「謝らないでください父上。甲斐国は飢饉が続いているのを見ればわかります。それとこの500の兵は農繁期でも兵として動員できますので戦いに有利になると思います」


「そうなのか?」


「はい、これは兵農分離という政策で私が考えました。」


「武士と農民を完全にわけるというわけじゃな。戦が無いときは畑などを耕すのに使えばいいな」


兵農分離という言葉だけでその意味がわかるとは、さずが戦国のチート武将だ。



「源四郎、今すぐに三郎の名で山窩や河原者、貧民を500以上集めよ」


晴信は三郎の後ろに控えていた源四郎に命じた。


俺は父上に深く頭を下げて自分も館の外に出る準備をするため自分の私室に戻ることにした。


・武田晴信


三郎が久しぶりに部屋に来たのだが兵と城が欲しいと言ってきた。まだ4つなのに対したものよ。城は落とせばやるが兵は限られておる。それを三郎は山窩や河原者などといった身分の低い者を兵にしようとしているらしい。それにこれが兵農分離という政策らしい。中々良い政策だ。儂も試してみるか…



さて太郎(義信)が嫡男で家を継ぐ立場だが、儂が父上を追放したように太郎も儂を追放するかもしれん。そうなる前に手を打って置くか…。


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