表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

第4話・少女との出会い…

遅くなりました。

誤字や脱字、感想などありましたらお知らせください。


ブックマーク、ユーザ登録などなどしてもらえたら幸いです。

■甲斐国 山梨郡 躑躅ヶ崎館 三郎私室


俺はなんとか鳶加藤こと加藤段蔵を家臣にしたが、まだまだ家臣が少ない。段蔵に頼んで伊賀、甲賀、風魔など雇わなくては…



「段蔵、仕事を頼みたいのだが」


俺は泣いている段蔵に近寄り肩に手を置く。


「………なんでございましょう?」


手で涙を拭い、こちらをみる。


「忍びを増やしたい段蔵の者だけでは行動範囲も人数も足らなくなることもあるやもしれん、そこで甲賀や伊賀、相模の風魔を雇いたい」


「それは確かに、私の手の者では限りがあります」


「とりあえず服部保長、藤林長門守、百地丹波を雇いたいお願いできるか?

雇う内容は保長、長門守、丹波の3人を武士並びにこの三郎の重臣にすると伝えよ。一族郎党も足軽を約束しようと」


「はっ!」


段蔵は部屋からすぐさま消えていった。

今のところこれで十分か…まだ4つなので眠い……



「さま、………三郎さま。起きてください......」


突然、誰かから名前を呼ばれる。

重たい瞼を開け外の景色を見ると、空が茜さす鮮やかな夕暮れとなっていた。かなり眠っていたらしい。自分の身体に一枚肌掛けが掛けられていたのに気づいた。誰かが掛けてくれたのだろう。


「すまない、起こしてくれてありがとう………、………望月千代女さん、それとも望月千代さんかな?」


三郎とそう年の変わらなそうな少女の顔はかなり可愛らしい顔だった。しかも声はなかなか綺麗だ。


俺がそう感謝を述べたあと、彼女の耳元で問いかけた。少女の身体がビクッと動いた。


「い…いえ、私は確かに千代でございますが…。姓などはもっておりません、…」


しかしその身体は少し震えている。恐らく動揺しているのだろう。



甲賀流忍者を統制する【甲賀五十三家】

その筆頭上忍の家柄【甲賀望月氏】の出身。

甲賀望月氏の本家は信濃豪族の望月氏当主に養子として入った武田信玄の甥に当たる望月信頼(武田信繁叔父上の長男)に嫁いだくノ一である。


第四次川中島合戦で信頼が討ち死にしてしまい、若い未亡人となるも彼女が持つくノ一の技能は信玄も認めるものであったため、活かしたいと考えた信玄が、甲斐・信濃の巫女の統帥、甲斐信濃二国巫女頭領と任じ歩き巫女の養成を行うため、信州小県郡祢津村(現長野県東御市祢津)の古御館に甲斐信濃巫女道の修練道場を開いて孤児や捨て子となっていた少女を数百人(200 - 300人)を集めて呪術や祈祷から忍術、護身術の他、相手が男性だった時の為に色香(性技等)で男を惑わし情報収集する方法などを教え、諸国を往来できるよう巫女としての修行も積ませたとして有名だ。


一人前となった巫女達は全国各地に送りこまれ、彼女達から知り得た情報を集めて信玄に伝えたと言われており、武田家の情報収集に大きな役割を果し武田家が強くなったのだ。


目の前にいる少女がその望月千代女、ゲーム機でかざしたらそうでていた。



確か望月氏って武田に一応臣従したけど、まだ完全には臣従してないんだよね。信濃で反武田を掲げていた国人衆一派の中核だったから、父上にとっては邪魔な存在だと思う…。

史実なら主家である海野家が俺の祖父、武田信虎と北信の雄、村上義清と諏訪大社の諏訪頼重の連合軍に攻め滅ぼされ、近隣諸侯の勢力からの外圧などを受けて衰退したはずだ。


侍女風の姿の少女から殺気が少し出ているんだよな、これが。

父上の目を見慣れているから平気だが…。


どうせ主家の海野氏の再興が目的なのだろう。こっちから話しかけても良いんだけど。

ゲーム機があるから、この人誰だっけ?と思ってゲーム機を持てば、所属・主義・経歴などを調べる事が出来るので他人に騙されたり拐かされることは心配はないだろう。

仕方がない、ここは話が進まないので話かけるか。


「千代女さん、あなたが此処に来たのは海野家を再興するためでしょう?」


「…何故そのことを…知ってるのですか?それに私の事も何故…」


少女は少し後ずさり小太刀を懐から取り出し構える。


彼女をよく観察してみると目が少し血走っていて、額に若干の汗が出てる。


「それは…千代女さんのことが好きだからかな」


元服もまだしていない三郎からの突然の告白に、千代女は先程以上に動揺して部屋の外に出て走って行った。




■甲斐国 山梨郡 躑躅ヶ崎館 城下町

・望月千代女


宿敵とも言える武田家、それも家臣だったらわかる、だけど武田家当主の三男から突然告白された。主家の敵である武田氏の本拠地躑躅ヶ﨑館に侍女の見習いとして入り潜入に成功した。侍女見習いを始めてわかった事がある。先輩の侍女達が話していたのだが当主の武田晴信の三男、三郎殿は何故殿をつけるかって?それは望月氏や海野氏を滅ぼした晴信には罪があるが、その子供には罪はないだから殿と呼んでいる。


話が逸れてしまったが三男の三郎殿が突然海野氏の再興といったのだ。しかも告白までされてしまった…

信濃では武田氏は侵略者の代名詞であり野獣の如きなどと揶揄され恐れられているのからその当主の子供も同じだと思っていたが全然違う。


でも三郎殿と結婚してもいいな、と思う気持ちもある。三郎殿と結婚すれば海野氏の再興を確実にしてくれるかもしれない。そう言い切れる根拠は次男の、二郎殿は盲目なので跡継ぎにはなれない。そうなると普通は嫡男の太郎殿なのだが、太郎殿はどうやら晴信から嫌われているらしい。このままでは跡継ぎになるのは三郎殿しかいない。三郎殿が当主となれば武田は良くなると思うし、先程言った通り海野氏も再興できる。ともあれ恥ずかしくて部屋を出てしまったので返事をするのを忘れていた…戻らなくては……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ