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異世界デビューを成功した後で……放課後  作者: バイブルさん
入学式に失敗して、中学生、再デビュー
27/28

円満解決?

 中学編、最終話になります。よろしくお願いします。

 あの戦いから1週間後、俺達、ルナ、美紅と俺の3人と和也が空港にネイサンとエマを見送りに来ていた。


 エマ達は、フランスに戻る。ネイサンの療養もあるし、原因は分からないがネイサンが引き起こしたとされる不可思議な問題を日本側も嫌がり、返品ということらしい。


 ネイサンは言うまでもなく、見送る者はなく、生徒会長が代表という形で和也がきており、エマもクラスですら友好的な対応をしてなかったので見送りは俺達3人だけであった。


 エマはルナと美紅と抱き合いながら別れを惜しんでいるのを俺は離れたところで見守っていると和也がネイサンに近寄るのに気付いたが離れてるから何を話してるか分からない。

 3人にハブられた形になってる俺は向こうに行くか悩み始めるが、向こうは向こうで話し始める。




「どうだ、体は?」

「車椅子に乗ってるような奴が大丈夫に見えるなら眼科に行け」


 ふてぶてしく言うネイサンに和也は苦笑をするがすぐに笑いを引っ込める。


 真理亜やミラさん相手以外では珍しい光景が生まれる。


 和也は、ネイサンにゆっくりと静かに頭を下げる。


「すまない。決して、ネイサンを軽んじたつもりはなかった。お前のプライドをそこまで傷つけてるとは思わなかった。そのせいでお前は……」

「ふん、これは俺の自分の管理がなってなかったからであってお前のせいじゃない。それに、お前が必死になる理由も嫌って言うほど体感したからな」


 ネイサンは徹を見つめる。


 見つめられた徹は間抜けな顔を必死に見栄え良くしようとしてるのだろうが失敗しており、歌舞伎の人のようになってネイサンは失笑する。


「お前も大変だな。普段はあんなサルとの違いを探すのが大変な奴相手に四苦八苦させられるのはよ」

「まあな、だが、俺はお前以上にアイツの凄さを目当たりしてきてるからな」


 肩を竦める和也は、小さな笑みを浮かべる。


 それを見たネイサンは、和也の心情を正しく理解する。


 徹の存在は目障りでもあるし、悔しくもある。だが、それと同時に誇らしいという気持ちも存在して困っている事に気付く。


「まったく厄介なサルだな。今までは馬鹿は嫌いだったが、退屈させない馬鹿は嫌いじゃなくなったな」

「主に呆れる方向なのが頭が痛いが、それだけは保障できる。体が治ったら本当に帰化したらどうだ?」


 馬鹿は殴れるぐらいの距離から見てる方が面白い持論をネイサンに和也は力説する。


 そんな和也を見てネイサンは笑う。


「お前、ブラコンか? どれだけ、あのサルが好きなんだぁ? 気色ワル」

「おい、待て、何を聞いていた! さすがに名誉棄損で訴えるぞ!」


 必死な顔で言ってくる和也の顔が面白くてネイサンは、クッククと笑う。


 それを見て、墓穴を掘ったとこれもまた珍しく赤面させる。


 赤面させる和也を鼻で笑った後、視線を逃がしたネイサンが聞こえにくいように小さな声で呟く。


「帰化の件、考えておく」

「おう、待ってるぞ」


 しっかり言葉を拾われてネイサンは舌打ちをする。


 舌打ちした事、込みで和也は楽しげに笑みを浮かべた。





 向こうは向こうで何やら男同士の友情が芽生えたような円満で、こちらはこちらで女同士の和が形成されて、つまり……俺、ボッチ。


 このままだと飛行機の時間がきて、手を振りに来ただけのエキストラになっちゃう! と危惧した俺は意を決して男らしく胸を張ってエマ達に近寄る。


「あの~お取り込み中失礼します。あっしは、ケチな男、徹の申す者なのですが、あっしにもお別れをちゃんとさせて貰っていいですか?」



 ごめん、やっぱり無理でしたぁ!



 だって、これだけ下手に出てるのに俺を見つめるルナと美紅が空気読めよ的な目をで俺を睨んでるんだもの……


 そんな2人に「ごめんね」と詫びながら俺の前に来てくれるエマはやっぱり良い子!


「有難う。まずはお礼から言わせて」

「えっ? いきなり何?」


 頭を下げられて、どう対応したらいいか右往左往しながらルナ達にSOSを送るが知らん顔される。


 とりあえず、このままだと落ち着かないので頭を上げて貰う。


「エマが頭を下げないといけない事、何かあったっけ?」


 本当に何を言われてるか分からない俺はテンパリ出す。


「兄さんを助けてくれた。そして、私も……」


 そう言うエマは俯く。


 エマに感謝されたが、なんだかんだ言っても成り行きというのが本当のところだ、俺がそうしたかったからやっただけなんだけどな、と思っていた。


 俯いたエマの耳などが真っ赤になってるのが見下ろすようにして見てる俺には、はっきりと見えて少し驚く。


 意を決したように俺の手を取るエマ。


「トオル、ちょっと2人で話したい事があるからちょっと皆と離れさせて」


 肌が白いからちょっと赤くなるだけでも真っ赤に見えるのかな? と場違いな事を考えているとエマに引っ張られてルナ達から10m程、距離を取る。


 ルナ達も追いかけようとするがエマに、「ごめん」と詫びられ、困った顔をして足を止める。


 エマはルナ達が止まってくれたのを確認すると俺を見上げてくる。


 呼吸を落ちつけようと深呼吸をする。


「ねぇ、トオル。本当のトオルは学校で眠そうな顔をでボケーとしてるのがトオル? それとも、兄さんと戦ってた時のトオル?」


 いきなり何を言うんだとばかりに目をパチパチさせてしまった俺は顎に手をやって唸りながら必死に考える。

 いくら考えても答えは1つしか思いつかなかったので答える事にする。


「どっちも俺だよ。でも俺って学校じゃいつも眠そうな顔をしてるの?」


 ショックだわ、と嘆いてみせるとエマはクスクスと笑う。


「良かった、どちらもトオルと分かって、私ね、そんなトオルが好きなの」


 はにかむようにエマが言った言葉を俺の脳が処理してくれない。


 ルナ達に出会う前、アローラに行く前の時を考えて、女の子にこんな素敵な言葉を言われたのは初めてである。



 いや、いや、騙されるな、きっと友達としてのはず。とおるさんは騙されないよぉ!



「トオルとお付き合いしたいと言ってるの。今は離れるけど、トオルがいるなら必ず帰ってくる」



 勘違いじゃなかったぽい!


 嬉しくて、小躍りしたい!


 という思いがあるのは嘘ではないが、俺は静かな笑みでエマを見つめる。


「有難う、エマの気持ちは本当に嬉しい。でも、断らせて貰うよ」

「どうして……」


 瞳に涙を浮かべるエマを見つめるのは辛い。でも俺はエマの気持ちを受け入れる訳にはいかなかった。


 俺は振り返り、心配そうにこちらを見てるルナと美紅を見ると再び、エマを見つめる。


「ずっと、返事待ちにさせてる2人がいるんだ。俺は、その2人に応えないといけない」


 そう、カラスの話を信じるなら500年、返事待ちさせていると思うと苦笑いが込み上げる。


「ごめん」


 俺が謝るとエマは首を振ってみせる。


「謝らないで、トオルならきっとそう言うと思ってたから」


 そう言うとエマは背伸びをするの俺の首に手を廻して引き寄せる。そして頬と頬をあてるようにして、俺の存在を確認するようにギュッと抱きしめてくる。


 後ろからルナが騒ぎ、それを必死に抑えながらも「今は我慢しましょう。後でトオル君に代償を払って貰う事で手を打ちましょう」と言ってるのを聞いた俺は、振り返りたくない。


 そして、エマが乗る飛行機の時間のお報せが聞こえる。そろそろ行かないといけないはずと思った俺がエマを呼ぼうとするが、更に背伸びしたエマの口許が俺の耳に近づく。


「Je t'adore」


 そう言うとルナ達からはキスしたように見える細工をすると離れる。


「「ああっっ!!!」」


 ついに美紅も抑える側から突進する側に移動して俺に詰め寄ると2人は俺と掴んで激しく揺する。


「徹、なんてことをするの!!」

「ハレンチです。こんな公共の場で!! 何故、私じゃないんですかっ!!」

「冤罪だぁ! 俺は何もしてないし、フリをされただけだぁ!」


 俺から飛ぶように離れたエマはネイサンの車椅子を押しながら声を大にして手を振ってくる。


「みんな、元気でねぇ!」

「おい、待てぇ! 誤解は解いてからフランスに帰ってくれぇ!」


 しんみりとした空気は吹き飛び、これはこれで俺達らしいお別れの仕方と言えた。



 そして、エマ達はフランスへと帰って行った。



 当然のように、その後、2人に地獄を見せられたのは言うまでもなかった。





 あれから、1学期を終え、夏休みも終わった2学期初日の始業式がある日。


 夏休みボケも抜けずに机に寝そべってるとHRをする為に入ってきた先生が微妙そうな顔をしながら、手を叩いてみんなの注目を集める。


「あっ――、転校生を紹介する」


 先生に入るように呼ばれたらしい転校生が入ってきたようだが、眠いし、だるい俺はそのまま寝てしまおうとすると振り返ってきたルナに揺さぶられる。


「徹、起きるの!」

「先生に目を付けられる覚悟は完了した。だから俺の事は放っておいて先にいけ、俺は寝る」


 そうじゃないの! と怒れる猫のようなルナと呆れから溜息を零す美紅を相手にせずに寝ようとすると隣に誰かが座ったのに気付く。


 ダレた状態で顔だけ横に向けて見る。


 銀髪の西洋人形を思わせる美貌に柔らかい笑みを浮かべる美しい少女が俺を見つめていた。


「えっ? なんで?」


 現実を受け止めた俺がガバッと起き上がる。


「貴方の気持ちは聞いた。でも、気付いたの。そこに私が参戦して駄目な理由はないという事に」


 自信に溢れる笑みを浮かべる少女に俺はタジタジになりながら呟く。


「敵わないな……」


 苦笑する俺と、喜んだらいいのか困ったのか分からない顔をしたルナ達。


「これからも、よろしくね、トオル」


 銀髪の少女は会心の笑みを浮かべた。

 次話、おそらく1話で終わるようにすると思いますが、放課後の最終話、高校デビューの終章のネタばらし編を掲載予定。

 なので、終章のネタばらしを読みたくない方は、読むのはここまでにしておいてください。

 さすがに今までみたいに勢いで書く訳にはいかないのでちょっと時間かかるかもしれません。


 感想や誤字がありましたら気楽に感想欄にお願いします。

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