俺の相棒達
ああ、高校デビュー書いてる時もこんな気持ちで心から溢れた文字を叩きつけてたな、って思い出しました……
「勝てねぇ……」
やっぱり、俺1人じゃ出来る事なんてこの程度と言うのか、いつでも後先考えずに突っ走って誰かに尻拭いをして貰ってた。
ああ、否定しねぇよ。
でも、それでも俺は声高に叫びたい、そんな無力な俺であっても誰か救える俺でありたい、計算して頭で無理と決めつける俺でありたくない。
そして、兄に絶望して心を閉ざしかけてたエマが前を見るキッカケを得ていた。先に続く道へと辿る糸を俺は切らしたくない、切っちゃいけない。
ルナも美紅も新しい友達ができて楽しそうだ、俺も楽しい。
理由なんてそれで充分だ。
だから、だから……
「俺の言葉を嘘にしない力が欲しいぃ!」
虚空を掴むように手を伸ばす俺は歯を食い縛る。
そんな俺の耳、いや、胸の内に低く力強い懐かしい声が響く。
「聞こえるか、主よ?」
慌てて、周りを見渡すと時間が止まっていた。落下中の俺も空中で止まり、下を見ると波も止まって固まっていた。
周りの異常事態にも驚きだったが聞こえた声に俺は放心する。
「やっと見つけた。500年、そう500年、主を捜し続けた。漸く、主の強い感情が我の探査に引っかかってくれた」
嘘だ、アイツは魔神との戦いで……
でも俺のカンがこの声は相棒のアイツだと訴えている。
「我は神より生み出されし金属から造られしモノ、持ち主である主がいる限り、何度でも蘇る……そろそろ、何か言ってくれないか? 繋がってるのは分かってる……繋がってるはず?」
威厳ある声音をしながらも、どこかお人好しな性格をしており、尚且つ、ちょっと抜けた感じがする相棒の変わらぬ反応に笑みが広がる。
「ああ、聞こえてる。あの戦いから500年も過ぎてたのか。お前の事を忘れてた薄情な俺に何の用だ?」
必死に声が震えないように堪えながら軽口を叩く。
それにちょっと慌てたような感情が伝わる。
「さすがにそれは嘘であろう? 主は時折、意地悪だからな。それにこの強い感情は我があればと求めたからすぐに拾えたのだからな」
騙されないぞ? と必死に虚勢を張る相棒に俺は小さく笑みを零す。
「済まない、嘘を言った。スズメ、力を貸してくれないか?」
「おお――い! 主ぃ!!」
俺に響き渡る声が確実に泣きが入っていた。
ああ、俺が良く知ってる相棒で間違いない……
胸に温かいモノで満たされたものが飛び出さないように俺は瞼を閉じる。
「なぁ、なんで500年も俺を捜してた? お前なら静かに眠るという選択を選べただろう?」
そう言う俺がマジで言ってると感じ取った相棒は一旦黙る。
何を当然の事を、と言いたげな声音で言ってくる。
「勿論、主と共にあり、力になりたいと思ったからだ」
「だがな、こっちはアローラと違って、お前の力を振るう機会なんてほとんどないぞ?」
相棒の武器としての本分はこっちの世界では活かせない。それどころか持ち歩いていたらお巡りさんに職質は確実である。
だが、そんな俺の言葉を鼻で笑うように相棒は言う。
「我も自分の本懐を遂げる機会など少なければそれに越したことはないと思っておるよ。それより、あの2人の少女にコテンパンにやられた主の愚痴を聞いてるほうが我は楽しい」
虚を突かれた俺は一瞬思考を止めるがそれが沁みるように自分に浸透すると弾けるように笑う。
腹を抱えて笑う俺は相棒に伝える。
「いいのかよ? お前がいなかった間に溜まるに溜まった愚痴があるから、きっと後悔するぞ?」
「おお、それは是非、後悔させて貰いたいものだ。さぁ、高らかに叫べ、怨嗟からくる声でなく、慟哭からの響く音でもなく、主の声で、我ともう1人の相棒の名を!」
済まない相棒、俺に気を使ってくれて、お前を失った事に悔恨の想い感じてる俺に遠回しに気にするな、と伝えるように茶番に付き合ってくれた。
きっとその事を礼を言っても、お前は困るだろう。だから、せめて俺は腹の底からお前達の名を呼ぼう。
「もう1度、俺に力を貸してくれぇ!!!!、『カラス』、『アオツキ』!!!!!!」
俺は虚空に両手を突き出す。
「 来い! 」
すると空間に歪が2か所生まれる。
生まれた場所から懐かしい刀身が姿を見せる。
片刃の剣と言えばいい刀と言えばいいか分からない鍔のないタイプの二刀が姿を見せる。片方はショートソード並の刀身で、もう1つはそれより一回り短い刀身をさせている。
長い刀身の方は刀身も柄も黒く、もう一方は、刀身が澄み渡る水のように美しい青と波紋が特徴的であった。
2本の剣が飛び出してくると俺の手に収まる。
「懐かしい触り心地だ!」
「主は少し小さくなったな」
俺は相棒、カラスにあの時よりガキなんだからしょうがないだろう、と必死に弁明しているとできた歪が閉じる間際に光る玉が飛び出し来る。
そして、俺の姿を確認したと思ったら迷いもなく、俺の胸に飛び込み入ってくる。
「やっと会えた、久しぶりだな、徹」
「やっぱり、カラスに張り付いてたらきっと会えると思ってたよ!」
俺の中で騒ぐ存在に話しかける。
「瞬! 沙耶さん!」
「忘れられてなくて良かったよ!」
「まあ、忘れてたらねじ切ったがな」
沙耶さんの言葉がマジトーンで怖いですけど?
いえいえ、ビビったりはしてませんよ?
えっ? なんで股間を隠してるのってたまたまです、なんてな?
と、乾いた笑いを浮かべていると瞬が食ってかかる。
「覚えてくれてたんなら、なんで呼んでくれないのさ。僕達はずっと待ってたんだよ?」
「そうだ、私達は約束をしたはずだ。お前に全てを受け取って欲しいと言って置いて行かれた私達の気持ちを考えろ」
そう言われて、申し訳ない気持ちに駆られる。言い訳をさせて貰えると俺が一度死んだ時に昇天してると思っていたのである。
そう思ってたのを読まれたように瞬が呆れたように言ってくる。
「以前に言ったでしょ? 僕達は魂で繋がった。だから徹さんが昇天しない限り、僕達もまたそのままなんだよ」
あっ、言われてみれば、魂がボロボロになった時に仮接続がどうこう言って、正式に繋いだら大丈夫とか言ってたような気がする。
「ごめん、大事なところを忘れてた」
「まあいい、また会えた、それが全てだ。だから、また私達が力を貸す。だから……」
「「今度こそ天寿を全うしろっ!」」
「おう、俺は100まで生きるつもりだから、後90年ぐらいはお付き合いよろしく!」
そう言う俺の言葉に楽しげな感情を伝えてくる。
俺の宣言が引き金になったかのように時間が止まってた空間がガラスが割れたような音をさせて崩れると時間が動き出す。
久しぶりに空を飛びながら俺は相棒達の名を呼ぶ。
「さあ、第2ラウンドいきましょうかねっ! カラス、アオツキ、瞬、沙耶さん!!!!」
「「「おうっ!!!」」」
頼もしい返事を聞いた俺は崖上を目指して飛び上がった。
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