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異世界デビューを成功した後で……放課後  作者: バイブルさん
入学式に失敗して、中学生、再デビュー
21/28

万事休す

 なんとか1カ月に1回ぐらいのペースでしか書けてませんがごめんなさい(泣)


 呆れずにお付き合いをお願いしたいと思いますので、見捨てないでね?(震え声)

 俺が生み出した炎の翼から、ネイサンは必死に空を駆り、身を捻らせ、必死に逃げ続ける。


 微動だしない俺は必死に逃げるネイサンを炎の翼で迎撃しているとネイサンは唾を飛ばして叫ぶ。


「何故、ただの人がこんな真似できる! 本当にお前は人間かよ!!」

「失礼な事を言うなよ。俺はれっきとした人間さ。オッパイをこよなく愛する紳士な可愛い少年を捕まえて……酷いヤツだな?」


 ルナや美紅が居れば言えない事をサラっと言う。


 いない今、言わないでいつ言うの? なぅでしょ? うん、もう化石だな。


「ただの人間がこんな真似できるかっ!」

「ただの人間さ。ちょっと異世界でヤンチャして帰ってきただけのな」


 口をワナワナさせるネイサンに俺は「トランウィザードには聞いてないのか?」と小馬鹿にするように言うと効果覿面、簡単に激情してくれる。


 雄叫びを上げ始めたネイサンに毒の力が集まり始める。1点に集まるのを感じた俺は咄嗟に炎の翼で自分を覆い、炎の翼を強化する為に精神集中させた。


 するとネイサンの傍で集まっていた力が強烈な光を発する。


 それが俺の炎の翼にぶつかると覆ってた炎の翼が霧散する。


「ちぃ! 打ち消しただけかよ、これならどうだっ!」


 そういうネイサンに取り巻くように黒い東洋の龍が生まれる。


 壊れたようにケラケラ笑い出したネイサンを睨みつけた俺は開いていた掌を閉じ、握り拳を作る。

 作られた握り拳を起点に炎で作られたネイサンと同様に東洋の龍を背後に従える。


「このサル真似野郎がっ!」

「馬鹿か? この程度の発想がオリジナリティがあると思ってる辺りがな」


 丁寧に何が馬鹿なのか説明したのにも関わらず、礼もせずに黒い龍を放つネイサンに嘆息する。


 打ち出された龍に対抗するように俺も炎の龍を打ち出す。


 ぶつかり合う龍は一瞬の拮抗を見せるが俺が放った龍が勝り、ネイサンの龍を飲み込むように掻き消すとネイサンに巻き付き締めあげる。

 このまま決まってくれと願い、力を込めるが絶叫するように雄叫びを上げるネイサンが力づくで弾き飛ばす。


 荒い息を吐くネイサンが血走った目で俺を睨む。


「この三下の分際でぇ!!」


 その様子を見て、やはり毒の力が上がる事に舌打ちをする。


 負の感情が高まれば、毒の力が増していく。


 かと言って、一撃でネイサンを確実に仕留められる攻撃が今の俺には存在していない。

 いや、僅かな可能性だが1つだけ存在するが今の俺にそれを制御する事が叶うかと、俺は迷っていた。


「何故だ、何故、俺は和也でもないこんな奴にいい様にされてる。あれほど悔しい思いをさせた和也に逃げるしかできない状態に追い込んだ俺様が!!」


 感情を爆発させるネイサンを取り巻く毒の力が活性化していく。その力の上がり方に俺の勘が危険信号を鳴らし始める。


 激昂していたネイサンが怒りが抜け落ちるように静かな顔になり、俺を見つめる。


「仕方がない。本来なら和也に使って、徹底的な実力差を見せつけるつもりだったモノを使うしかないな。褒めてやる、お前は俺を少しでも追い詰めた。トランウィザードの言葉も満更じゃなかった」


 危険信号のベルがマックスになり、迷いを振り切ろうとした時、ネイサンは右手を横に突き出す。

 手の先には黒い靄が生まれ、そこから人影が見える。


 飛び出そうとした俺だったが、その人影を見た瞬間たたら踏む。


「エマっ!」


 黒い靄から出てきたのは磔にされた行方不明になっていたエマであった。気絶しているようでグッタリしているエマの胸に手を添えるネイサン。


「この愚妹は、俺が毒の力を得た時に近くにいたようでな。その余波である力を手にしてしまった。そう、この国の代表的アニメ、四次元ポ○ットと言えば分かるか?」


 嘲笑うように俺を見下すネイサンは、躊躇なくエマの胸に手を貫くように押し込む。


「いやぁぁぁぁ!!!」


 気を失っていたエマはそれに反応するように目を覚ますと悲鳴を上げる。


 それを見た俺の勘が訴える。あれは肉体の痛みからくる悲鳴じゃない、精神、心からくる悲鳴だと。


 あのまま放置したらエマが壊れると判断した俺は迷いを捨てる。



 制御してみせる、俺しかエマを今、救ってやれない!



「右手に火を!左手にも火を!合わせて、炎魔法『不死鳥フェニックス』!!」


 全身を炎が包む。すると上半身に着ていた学生服、シャツまで燃えあがり地面に落ちる。制御が甘く自分の服を燃やしてしまった。

 だが、最悪のケースは回避した。


 ネイサンがいる高さまで飛び上がった俺は殴りにかかる。


 それを蔑む笑みを浮かべるネイサンに当たるかというところで、ガントレットが飛び出し、俺の拳を受け止める。


「残念だったな、ちっとばかり遅かったぞ!」


 ガントレットに薙ぎ払われるとそこにはガントレットを着けたネイサン、いや、ガントレットだけではなく、甲冑のようなロボットの装甲のようなものを取り付けたネイサンと姿があった。


「パワードスーツか?」

「馬鹿の癖に良く知ってたな? ああ、そうか、この国のアニメーションはそう言う言葉が氾濫してたんだっけか?」


 それを着けて自信ありげなネイサンだが、マンガのように動ける程の科学が発展はしてないはず、例え、フランス有数の頭脳の持ち主であるネイサンだとしても。


 そう思って睨みつけているとエマが落ちていくのに気付いた俺は炎を掻き消すと飛び付く。

 地面に叩きつけられる寸前に抱き抱える事に成功する。


「ナイスキャッチ」


 嘲笑いを隠さずに拍手をするネイサンを睨みつける。


「自分の妹をなんだと思ってる! この高さから意識がない状態で落ちれば最悪、死もあったぞ!」

「はぁ? 前にも言ったがそれは俺の物だ。即死さえしなければいい。息はしてられる程度の処置はしてやるさ。生きてる限り、倉庫代わりにはできるからな」


 今度は俺が激昂して、「ネイサン!!」と叫んで、炎を纏い飛び込んでいく。


 余裕を取り戻したネイサンが虫を払うように腕を振ると俺は吹き飛ばされる。

 嫌な予感が走り、横に転がるとさっきまで俺がいた場所にエネルギー砲のような攻撃が入り、壁を粉砕して新しい出口ができる。


 慌てて、前を見ると眼前にはネイサンがいた。


「速いっ!」


 咄嗟に後ろに飛ぶが失策に気付く。


 ニヤっと笑ったネイサンが先程のエネルギー砲を放つ。


 避けるのは無理と諦めた俺は全ての炎を前面に集中させる。


 ぶつかりあった力はかろうじて防ぐ事に成功するが生み出した炎は消え去ってしまった。


 アローラでミラさんに注意されていたのに、咄嗟に真後ろに逃げてしまう癖が出てしまった。


 だが、その失策を差し引いてもネイサンの動きがおかしい。いくら俺が馬鹿だからといってあんな動きをサポートできるほど科学は進んでないのは分かる。


 倒れて意識のないエマを見る。


 このエマを心配して狙いを変えるというビジョンが見えないネイサンとここでやりあってるといつエマに攻撃が行くか分からない。

 場所が悪いと判断した俺はネイサンが作った穴から外へと飛び出す。


 優位に立って増長しているネイサンは狩人気分なのか舌舐めずりして俺を追って外へと向かった。





「まったく、相変わらず、後先考えずに無茶をします。帰ったら、お説教ですからね?」


 徹が飛び出した後、正規の扉から静かに入ってきた肩まで伸ばした美しい黒髪の小柄な少女がエマの下に行き、しゃがみ込むと抱き抱える。


「ですが、エマさんは私が確保しました。なので、遠慮せずに戦ってくださいね、トオル君」


 飛び出し、今も戦う徹を見つめるように目を細めて微笑むと少女は灯台を後にした。





 飛び出したはいいがノープランな俺は額に汗を滴らせていた。


 先程の力比べで炎魔法の不死鳥フェニックスでは抗うのが無理と理解していた。



 しかし、あのパワードスーツはどうやって動いているんだ?



 そう俺が頭を捻っていると、そのパワードスーツから漏れ出す黒いオーラに気付く。


「そのパワードスーツの動力源は毒の力か!」

「やっぱり馬鹿だな? 今頃気づいたのか?」


 となるとエネルギー切れを狙った逃げに徹するという手も使えなさそうである。


 打つ手が思い付かずに唇を噛み締めていると、ネイサンが笑うと飛び込んでくる。


「打つ手なしってか? じゃ、お前の顔を見飽きたから死んどけよ!」


 打ち込んでくるガントレットをギリギリ避ける。胸元に一筋の赤い筋が入るが気にせずにネイサンを手で叩きつけるようにして叫ぶ。


「クリーナー!」

「何度も同じ手食うかよ! その手が危ないのはもう知ってる」


 そう言うと掌ではなく腕のほうをガントレットで薙ぎ払ってくる。


 腕を払われた事でバランスを崩している俺に銃口を突き付けてくる。顔が強張る。


「あばよ、三下!」


 その言葉と共にエネルギー砲を放たれ、防御もできずに直撃してしまい、吹っ飛ばされる。

 何メートルも飛ばされ、崖すら越えて、自然落下しているのが分かる。


 悔しさの余りに目を瞑り、歯を食い縛りながら俺の口から言葉が漏れる。


「勝てねぇ……」


 無力感に襲われる俺に懐かしい声が響いた。


「聞こえるか、主よ?」


 閉じていた目を俺は見開いた。

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