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猫耳と魔導師  作者: Nilvaren
第一章 異世界、猫耳、魔道師
5/12

C‐0103 二週間

 次の日から武器の扱い方や魔法の使い方を学んだ。午前は宮廷魔術師副長から魔術を、午後は王国軍団長から武術を。

 最初の一週間(六日)は基礎的なことを、その後、王都の周りでウルフやスライム相手に実戦を。

 今日は王都の東にあるホテメッド平原でウルフ狩りをしている。今は休憩中で、暇だったのでほかの皆の様子を見ている。

 今見ているのは加藤勇樹、佐藤聡太さとうそうた福田誠ふくだまこと、卯里粋花、東上加奈子、永浦美由希の六人パーティー。それと付き添いの騎士が二人。

 「ゆうきー、あっちへ百二十レクくらいのところにすらいむ二体いるよー」

 「そうか、じゃあ次はそいつだな。スライムの周りにほかの魔物はいるか?」

 「うーんとねー、うるふが四体いるよー」

 「それじゃスライムは加奈子が倒して。ウルフは誠が抑えている間に俺と聡太で倒す」

 「わかったわ」

 「おう、任せとけ。後ろにはぜってー通さねーから」

 「まあ、頑張るよ」

 加藤君、聡太が剣を構え、福田君が盾を構える。後ろでは卯里さんと永浦さんがサポートできるよう杖を構えている。

 スライムたちが加藤君たちに気付いたようだ。すぐに東上さんは魔法陣を展開して魔術の詠唱を始める。「魔力よ、燃えろ。(エル・ファータ/)集まれ、(フィルニ・ター)纏まれ。(リス・イーマエ/)彼の者らを(ザー・ファータ・)燃やし尽くせ(エネ・イー)。ファイヤーボール」

 詠唱が終わると、右手に持つ杖の先に火の玉が現れて飛んでいきスライムを燃やした。ウルフも加藤君と聡太に二撃で倒された。加藤君と聡太は魔物の群れを倒してハイタッチをしている。残りの四人は魔物を解体し始めた。人間は慣れる生き物、だろうか。



 今東上さんが使ったのは魔術。上位法則の魔法を使い、下位にある物理法則に作用して事象を起こす、地球になくてこの世界にある不思議な力。

 思ったことを何でもかなえられるような便利なものではなく、一定の法則に従い決まったことができるもの。

 魔力やその性質、規則性のことを魔法、魔法を用いて何らかの現象を起こすことを魔術といい、魔術は、魔法陣展開、術式記入、呪文詠唱の三つから成り立っている。

 魔術の基点となる魔法陣を展開し、そこにどのように魔力を使うか術式として書き表し、体内に存在したり周囲を漂っている魔力を術式と呪文で操る。


これだけならば誰にでもできそうに思えるだろうが、ほとんどの術式にはどこかにMEiと記述されている。

 この三字が持つ意味は、「魔力をイメージした形で具象化する」。

 そのため魔術師にはもうそ……想像力が必要となる。


 また、魔力はほとんどが無属性で存在しているため、術者が魔力に属性を付与しなければならない。このとき、ステータスには現れない魔法適正が関係してくる。

 魔法適正のない属性を魔力に付与できるようになるには、日常生活で使えるレベルになるのに半年から五年。魔物と戦える様になるには、どんなに早くても十年は必要になる。


 魔力には、火、水、風、土の基本四属性と光、闇、空間、時間、無の特殊五属性の合計九属性が存在する。

 基本四属性に比べて特殊五属性はより強いイメージや意思を必要とする。

 属性はそれぞれに対応するものが在り、火と水、風と土、光と闇、空間と時間が対になっている。無属性にも対になるものがあると考えられ、魔法陣や呪文は十属性存在すると仮定して組まれている。

 およそ十人に一人だけ魔法適正があり、無属性のみすべての人が魔法適正を持っている。

 過去には闇以外の八属性に適性を持つ人もいたとか。まあ、属性適正のない僕には関係ないが。


ちなみに、この世界の距離はレクという単位で表される。

 一レクは九十センチで、十フィレクで一レク、百レクで一トレクになる。

 何でそんなことが分かるのかというと、この世界に来て三日目のときに、一レクの棒を持ってきてもらって千円札を隣に並べたらちょうど六枚並べられたからだ。(千円札の大きさは七十六ミリ×百五十ミリ)

 この世界に持ってこれたのは、召喚されたときに手に持っていたものと服、ポケットに入っていたものだけだ。

 花山高校では携帯・スマホは放課後までバックの中に入れておかなければならなかったので、誰も、腕時計を含めた一切の電子機器を持っていない。


 それはさておき、僕たちが異世界、レディラスに来てから明日で二週間が経とうとしていた。

 明日からは三泊四日で近くのダンジョンへ行くことになっている。昨日、ステータスをヴォルファーさんに記録してもらった。

 まあそれだけならいいんだけど、問題は僕のステータスにある。二週間前とほとんど変わっていない。

 ほかの皆のと比較すれば一目瞭然。たとえば、さっきのパーティーの皆のと比べると、


――――――――――――――――――――――

名前   滝本優也

種族   人族

レベル  7

称号   《異世界人》

     《???》

力    48

耐久   58

魔力   133

精神   118

敏捷   92

スキル  身体強化Lv1

     剣術Lv1

     アイテムボックス

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

名前   加藤勇樹

種族   人族

レベル  12

称号   《異世界人》

     《異界の勇者》

     《人族の勇者》

力    2920

耐久   2665

魔力   569

精神   972

敏捷   1080

スキル  身体強化Lv3

     剣術Lv4

     アイテムボックス

     限界突破Lv1

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

名前   卯里粋花

種族   人族

レベル  14

称号   《異世界人》

     《異界の勇者》

     《聖女》

力    199

耐久   199

魔力   2031

精神   1507

敏捷   540

スキル  魔力回復Lv3

     光魔術Lv4

     アイテムボックス

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

名前   東上加奈子

種族   人族

レベル  14

称号   《異世界人》

     《異界の勇者》

力    702

耐久   594

魔力   1882

精神   1146

敏捷   756

スキル  魔力強化Lv2

     魔力回復Lv2

     火魔術Lv2

     水魔術Lv2

     風魔術Lv2

     土魔術Lv2

     アイテムボックス

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

名前   永浦美由希

種族   人族

レベル  14

称号   《異世界人》

     《異界の勇者》

     《賢者》

力    318

耐久   318

魔力   540

精神   486

敏捷   378

スキル  アイテムボックス

     高速思考Lv2

     鑑定Lv2

     検索Lv2

     書庫Lv1

     写筆Lv1

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

名前   佐藤聡太

種族   人族

レベル  13

称号   《異世界人》

     《異界の勇者》

力    1382

耐久   950

魔力   518

精神   574

敏捷   913

スキル  身体強化Lv2

     剣術Lv2

     アイテムボックス

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

名前   福田誠

種族   人族

レベル  13

称号   《異世界人》

     《異界の勇者》

     《護ル者》

力    294

耐久   3140

魔力   583

精神   2919

敏捷   210

スキル  身体強化Lv2

     魔力強化Lv2

     防壁Lv2

     麻痺耐性Lv1

――――――――――――――――――――――


 とまあ、ステータスに十倍くらいの差がある。クラスで異世界に召喚されるラノベとかでよくあるいじめや何かはなかったが、女子に守られている今の状況はどうにかならないのだろうか。

 ステータスの《???》は分からないままだし、王都の周囲にいるウルフ相手に戦って皆レベルが十を超えているのに僕だけレベル七。

 といってもどれもどうにもできない事なので諦めるしかなさそうだが。

 分からない事といえば、家に帰れないことで泣き喚いて錯乱している人がいない事と、初めて魔物を殺したとき誰も吐いたりしなかった事だ。

 普通、いきなりまったく知らない場所に連れてこられたらもっと混乱す「優也、俺たちもそろそろ再開するぞ」「あ、うん、分かった」空太に声をかけられて僕はいったん考えるのを中断した。

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