登場人物が混雑してきました
9.登場人物が混雑してきました
怒涛の入学式から3週間がすぎた。何事もなく平穏な日々が続いている。イベントは発生したものの、恋愛的フラグは立っていない。しかし完全に折れたともいえない。
「ーヤマダさんは知ってる?」
前の席に座る彼女とは、友人となった。
“キャラサポートユウジン”
[栗毛・ポニーテール
ヒロインの親友
ヒロインに攻略対象者の情報や噂など提供してくれる]
乙女ゲームではサポートキャラで、好感度の確認などもできた。
「何がですか?」
「保健室の先生の噂。」
「全く知りません。興味もありません。関わりたくありません。」
「どうしたのヤマダさん!?顔が怖いよ。」
それはそうだ。だってその保健医が4人目だ。
“ホケンイロリコンギワク”
[緑色の髪・長髪・グレイの瞳
28歳・独身
生徒との噂が絶えない保健の先生]
保健室に行かなければ会わないで済む。友人は私の表情を無視して話を進める。
「その先生って生徒としか付き合わないんだって。」
「へぇー、それって問題にならないんですか?」
「ならないんじゃないかしら。他の教師なら問題になるけど、先生は大物貴族だしね。うまくいけば上流階級の仲間入りができちゃうから。」
なんて腐った交際してるんだろう。本当になんだよ、家柄が良ければ全てOK なのか?どの世界でも理不尽は溢れているんだな。
友人の話でより一層、保健室には行かないことを誓った。
ーーー
私は廊下を歩いていた。ただ歩いていただけだ。だから、これは不可抗力なのだ。保健室の前を通り過ぎようとした瞬間にドアが開くなんて。それで思わず立ち止まってしまったなんて。
緑の長髪でかなり長身の男。甘いマスクという言葉がぴったり当て嵌まる顔立ちをしている。
「やあ、可愛いらしいお嬢さん。保健室に何か用かい?ボクは生憎出掛けるところなんだ。」
「ただの通行人ですので、お気になさらず。」
そう言って急いでこの場を去ろうとした。
「ホケンイロリコンギワク様。なかなかいらっしゃらないので、お迎えに上がりましたわ。」
“チョウオジョウヒロインジェラシー”[銀髪・金眼・ゴージャス美女
超一流貴族
ヒロインのライバル的存在
ヒロインより1つ上]
ここで出てくるとは、全くの予想外なんだけど。