ヤマダが頭取にカツアゲされました
7.ヤマダが頭取にカツアゲされました
何とか無事に入学式を乗りきった。王子は確か3年生だし、気を付けていれば会うこともないだろう。だいたい、あんな出逢い方で好感度も何も
上がらないだろう。コマンドもシカトしたからなぁ。
問題は次のイベントだ。
“トウドリギンコウヌシ”
[ジンジャー色の髪・七三分け、赤眼
整った容姿をしているが、威圧感と冷静沈着な態度で人を寄せ付けにくい
お金至上主義
ヒロインのクラスメート]
クラスメートだよ。どうやって避けるんだ?でも、クラスメートでも疎遠の人だっているしね。私がユニシロ屋の娘だとバレなければイベントは発生しない。
ストーリーの流れはヒロインがユニシロ屋の娘だと自己紹介したことで、頭取が興味を持ち話し掛けてくることで発生する。
そもそもほとんどが貴族の学校で、何で自分から成金だとバラさなければならないのだろうか。
ーーー
無難に自己紹介をすませ、休憩時間になった。頭取が話掛けにくる様子もない。ホッと一息つくと前の席の娘が話し掛けてきた。
「ヤマダハナコさん。」
「はいヤマダです。」
「え、じゃ、ヤマダさん。」
「確かにヤマダがヤマダです。」
「・・・」
「すいません、悪ふざけしてました。ヤマダに何かご用ですか?」
「見た目と中身のギャップが激しいって言われない?」
そんなやりとりをしながら、休憩時間は終了した。
ーーー
あっという間に放課後になった。私はさっさと帰り支度を整え、教室を出た。
あーそうだよ。自転車ないんだった。仕方ないけど、ここから家まで徒歩は辛いな・・・。
そんなことを考え、歩いていたら。
ーッドシン。誰かにぶつかった。
「すいません。」
謝りながら顔を上げると、目の前に頭取が立っていた。
何故だ、何故なんだ?ヒロインも歩けばイベントにあたるってことか!?
「何をぼんやり歩いているんだ、そんなんだから人にぶつかるんだ。質の悪い奴だったら慰謝料を請求されてもおかしくないぞ。わたしだったから良かったがな。しかし世間というのは厳しいものだ、謝罪だけで済めば警察はいらない。」
待て待て待て。質が悪いのはあなただよ。明らかに何か請求してるじゃないか。
ーん?頭上に見覚えのあるコマンドが見えた。
『選択肢を選んで下さい。
a.「素敵な考え方ですね、私も見習いますね」
b.「私にも手伝わせて下さい」
c.「さあ、皆さんでハッピ、ハッピ、ハッピー」』
この状況で、この全く添ぐわない選択肢を表示してくるのがすごいな。ストーリー通りによほど進めたいんだな。
「黙っているということは、わたしの請求を受け入れたということだな。そうだな、わたしへのぶつかり料と今後の参考になった授業料込みでーこの価格でどうだ。」
ポケットから電卓をだし、価格を表示して見せる。冗談ではない、これはカツアゲじゃないか。
「まるでヤクザです。言い掛かりがひどすぎて目眩がします。貴方の言い分だと、貴方も私に、私がぶつかってあげた料と今後の参考になる授業ができた料を支払うべきです。」