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第2章.新たな敵

…なんだここは!


僕は辺りを見回す。

しかし、何処をみても墨を溶かしたような暗闇が広がるだけだ。

自分の手足すら見えない。


「…気付いたか?」


どこからともなく声がする。

何処かで聞いたことのある声だ…どこだろう?


「…ふっ、随分とのんびりした宿主だな!俺が助けてやった事を忘れたのか?」


…あっ!


僕はその時、頭の中に様々な記憶が蘇った。


…あの時の…どうも!で結局僕は助かったんですか?


僕は声の主に話し掛ける…といっても真っ暗で何も見えないが…。


「ハハハ…面白い事を言うなお前!助かったからこうして俺と話しをしているんだろ?」


声の主は愉快そうに笑う。



…スイマセン一つ聞いていいですか?


僕は恐る恐る声の主に訪ねてみた。


「ん…何だ!」


…ここは何処ですか?


「お前の中だ!」


…えっ?


「言い方が悪かったかな、正確に言うとお前の精神だ!お前と俺は今、精神体で繋がっている」


…そうなんですか。


「…理解してないって感じだな無理もないがな」


今、僕の身体が見えるとしたら、多分頭からぷすぷすと煙が出ているんだろうな。


そんな姿を想像すると、こんな状況のなかだけど笑えた。


ん?、身体…って!


…あの!精神体って事は僕の身体は今どこに?


「…今頃やっと気付いたのか?」


声の主は呆れ果てた声を上げる。


「心配するな!今のお前は、ただ寝ている状態だ、時期に目覚める」


…そうなんだ!


僕はちょっと安心した。

安心した途端に疑問が頭をよぎる。


…何でピカリは急に僕を襲って来たんだろう?

それにあの姿はまるでテレビでよくみる化け物の姿だったし…。

それに今僕と話しをしている彼は何者だろう?

考えても分かんないし…よし、聞いてみよう!


「…あのう?…えっ…アレ?」


僕は何だか眠くなってきた。

…どうしたんだろう?


「…それはお前の身体が目覚めようとしているのだ!」


…待って!まだ聞きたい事があるのに!


急速に瞼が重くなる感覚がする。


…待って、待ってよ!


「…またすぐにでも会えるさ!」


…もう限界だ!


「待って、せめて君の名前を教えてよ!」


僕は消えゆく意識の中で叫ぶ。

「…我が名はアシュレイ!」


その声が聞こえると同時に僕は意識を失った。


…アシュレイ







次に僕が目を開けると、そこにはよく見知った顔があった。



「…あっ!お父さん、お母さん、お兄ちゃんが気付いたよ!」


…ん?この声は久美か!


最初に目に映ったのは白い天井だった。

そして僕はベットの上に寝かされていた。


…ここはどこだろう?

まだ少し頭がぼーとする。


薬のような匂いのする部屋。

部屋一面が白で統一されている…そうかここは病院か。


遠くから複数の足音と騒がしい声が聞こえてくる。


「拓哉!」


自分の名前を呼ばれ視線だけを向ける。



そこには心配そうな顔をした父親と母親が立っていた。


「あ…父さん、母さん心配かけて…ゴメン」


「あぁ、それより大丈夫なのか?」


僕は頷く。


父親と母親は僕の元気そうな声と顔を見ると少し、表情を和らげた。

「…僕はどうしたんだろう?」


「お前は学校の近くで倒れてるのを発見されたんだよ…何があったんだ?」



「それがよく覚えてないんだよ」


「疲れてるんだろう…ゆっくり休みなさい」


そう言うと、それ以上は追求せず父さんは僕の布団を掛け直し、母さんと二人で病室を出ていった。



一人取り残された病室で僕は考えた。


…やっぱりアレは夢じゃなかったんだ!


今、思い出してもあの時の恐怖が甦る。


僕は助かったんだ…




僕は胸に手をあてた。

そうする事によって自分の中にいるもう一人の存在に、話しが出来るような気がしたからだ。



…アシュレイ

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