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第8話.迫り来る襲撃者・後編

何処に向かう宛もなく教室を出て、ただひたすら廊下を走る。



目的地は分からないが、とてつもなく嫌な感じがする方向に向かって足を進めている。


…アシュレイ!僕の声が聞こえる?



「あぁ…聞こえるぞ」



頭の中に声が響く。



…敵ってさぁ、その…どの位いるの?



「詳しくは分からんが一匹、二匹では無い事は確かだ!」



…そ、そうか



「どうした、怖じ気づいたのか?」

…正直怖くないっていったら嘘になるな、けど僕達しかいないから!



「ほぅ…いい根性だ!心配する事は無い、俺がついている」



突然、前方の窓ガラス大きな音をたて細かくくだけ散る。


…と同時に、幾つかの黒い影が僕の視界に入る。



「グゥルルル」



それは全体的には犬に見えるのだが、前足で立ち上がり両の手には触手の様な物が蠢いている。


触手の先端には鋭い鉤状の爪が伸びており、その爪先から毒々しい色の液体が吹き出している。



床に落ちるその液状の物は、ジュウという音と共に煙が立ち昇っている。



…アシュレイ!



「…なんだ!」



…前言撤回!



「…おい!」



…無理、無理、無理、無理、無理だよ!あんな化け物!



「あれ?」


僕は後ろを振り返り逃げ出す体制に…だが足が根が生えた様に動かない。



「まぁ…待て!」



…お願いだから逃げようよ!


「大丈夫だ!あんな雑魚程度、お前でも十分倒せる」


…嫌、無理だよ!うわぁ〜、ほら近づいて来た、早く逃げようよ!



異形な三匹は、ゆっくりと獲物を追い詰めるように近づいて来る。


「手を目の前にかざしてみろ!」



…えっ?何…こうかな?



僕は、アシュレイに言われるがまま、右手を肩の高さと水平になる様に挙げた。



「うわぁ!」



途端に右手全体を黒い炎が覆い、やがて掌に収束する。



「あれ?熱くない!」


「…それを目の前にいる奴等に投げつけるイメージで押し出せ!」



…分かった、やってみる!



「ぐがぁぁぁー」



危険を察知したのか、三匹が一斉に飛びかかって来た。



「うわぁぁ!」



僕はキッと目をつぶり、右手を前に押し出した。



ボッという音をたて、何かが激しく燃え上がる。



僕が次に目を開けた時には、そこに消し炭になった変わり果てた三匹の姿があった。



「初めてにしては上出来だ!」




満足そうな声を上げるアシュレイ…



「…これ、僕が殺ったの?」



「…あぁ」



自分の右手を眺める。手には火傷や傷痕はついてない。



「のんびりしている暇は無いぞ!…この騒ぎの黒幕を倒さねば被害は拡がるだけだぞ!」



「…うん、分かった!」




僕は力強く頷き、また走り出す。



他のクラスの教室が見えてくる。


教室からは、人の声おろか物音一つ聴こえてこない。



…こんな騒ぎの中、誰の声も聴こえないのは変だ…?




気になって手近にあったドアを勢いよく開ける。




「うわぁ!」



教室の中は、机や椅子があちこちに散乱して床には生徒が転がっている。



生きている人間がいない事が入り口からでもわかる。



…こんな事って!



「これがコイツらのやり方だ!人間なんて餌か玩具くらいにしか考えて無い」



「…畜生!」


「うぉぉぉ」



「…!」




余りにも酷い光景に目を奪われて気付かなかったが、この惨劇の張本人達がコチラに気付き襲いかかって来る。


髪が抜け落ちぼろぼろの衣服を纏ったソレは、いつの間にかこちら取り囲み徐々にその輪を縮める。


更には窓が割れ、先程の犬の仲間達が窓を乗り越え教室に進入して来た。



「ゾンビ共か…その辺に埋まっていた死体に雑魚共が取り憑いたんだな」



…ふざけんな!



「…どうした?」



ゾンビ達はもう手が届く所まで来ている。



「…人の命を…」



「…おい!どうした?」



「…何だと思ってんだぁ!お前ら、ふざけんなぁぁ!」



僕の怒りに呼応するかの様に、身体全体から黒い炎が吹き出す。



その炎に触れたゾンビは、声を上げる事もなく燃え上がりやがて崩れ落ちる。



「ぐるぅぅぅ」



燃え上がるゾンビを飛び越え犬達が迫り来る。



「…貴様らも!」



狙いを定め掌の炎を打ち出す。



空中で霧散する幾つもの犬達。



「…はぁ…はぁ」



「…大丈夫か、顔色が悪いぞ?」



大きく肩で息をする僕に、アシュレイが声をかける。



「大丈夫それより…急ごう…アシュレイ!」



「…あぁ」




僕はきつく拳を握ると、もう一度教室を振り返る。




…ゴメン…助けられなくて!



「よし、行こう!」



…待っていろ!絶対に許さない…必ず僕がお前を倒す!






螺旋状になっている階段を跳ぶようにかけ降りる。


途中、うろうろしている集団ゾンビを撃破しながら先へと進む。




「…だいぶ慣れてきたようだな!」



「うん!」



「…だが気を抜くな!」



「…分かってる」


更に数匹のゾンビを吹っ飛ばし答える。



校舎の一階重い気配が漂う。



「…近いぞ!」



「…あぁ、僕にも感じる」



物凄い殺気が身体を突き刺す様にひしひしと伝わってくる。



…校長室



部屋のネームプレートを確認して扉を開ける。


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