親友からのメッセージ
夜遅くメールが届いた。
それは、親友のたかしからのメールだった。
午前2時を過ぎていたから、僕は確認しないで寝てしまった。
もし、メールを見ていれば、あんな事、起きなかったかもしれなかったのに。
僕、朝宮慶太は一生忘れない。
愚かな親友。
真島たかしを。
僕は久しぶりに朝寝坊をした。
毎朝、テレビでニュースを見ながら朝食を食べるのが僕の日課だったのに、今日は何もしないで家を飛び出した。
いつもなら、校門で竹刀を持って君臨している生活指導の田辺が今日はいなかった。
ただいまの時刻はAM8時50分。
完全に遅刻だった。
(確実に一時間目は廊下で立たされるな)
そんなことを考えながら、教室に走っていた。
教室に到着すると誰もいなかった。
僕の席は入口側の一番前の席だ。僕は机に鞄を置いて、席に座った。
暇だから、携帯を開いた。
ディスプレイは新着メールのままだった。
「そういえば、たかしからのメール見てなかったな」
僕はたかしからのメールを開いた。
「お前にだけは伝えとくな。今から俺、死ぬわ。わりぃな。お前に嫌な思いさせちまうけど、許してくれよな。親友」
これがメールの内容だった。
「は、はははは。何だよこのメール」
僕は泣きながら笑っていた。
このメールが嘘じゃないと分かるから。
「慶太。今、来たのか」
どうやら、クラスメイトが戻ってきたみたいだ。
「……驚かずに聞けよ、たかしが」
「知ってるよ」
僕は携帯を握りしめて立ち上がった。
教室の天井を見上げ、今は無き親友に黙祷を捧げた。
後で、家で新聞を見ていて分かったことだ。
たかしが死んだ理由は、一家心中だった。
家族全員が大量の睡眠薬を服用し、窓を閉めきったリビングで、一酸化炭素中毒を起こして亡くなっていた。
たかしはどんな気持ちで死んでいったか、僕は何となく分かった気がした。
もう一度、僕は黙祷を捧げた。
でも、すぐにやめてしまった。
許せなかった
家族のために、自分を犠牲にした親友を。
その親友を見殺しにした僕自身を。
新聞を力いっぱい握りしめた。
新聞を貫通して、掌に爪が食い込んだ。
その血は新聞を赤黒く染めた。
短い小説はすごい難しいと、思いしらされました。
次までにはもっとわかりやすく書けるように精進したいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。