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冬の童話祭2026

国ざかいのレモン

作者: 六福亭

 戦が好きな国と、お金持ちの国と、食べ物が豊かな国が、隣り合っていました。


 3つの国はとりたてて仲良しでもありませんでしたが、いがみあっているわけでもありません。国同士訪ねあって、お祭りを開くことや、3国が一緒になって遠くの大きな国に対抗することもありました。けれどもいつもは、自分の国のことで頭がいっぱいで、となりの国のことは気にかけませんでした。


 3つの国のさかいには、1本レモンの木が生えていました。その木には毎年たくさんのレモンの果実がなりましたが、どの国のだれでも、その実をとっていいことになっていました。


 ある時、たった1つだけ、宝石のように透き通り、きらきらと金色に光り輝くレモンがなりました。木の近くに住んでいた3つの国の人々は、めいめい自分たちの王様に知らせにいきました。


 王様たちが木の周りに集まると、争いになりました。だれが__どの国が、この宝物のようなレモンを手に入れるのでしょうか?


 争いは長く続き、とうとう戦にまで発展しました。戦好きな国はここぞとばかりに激しい攻撃をしかけましたが、お金持ちの国は武器商人からたくさんの武器を買って対抗します。また、食べ物が豊かな国は、他の国への食べ物の輸出を止めて、兵糧攻めにしました。いくら戦っても、なかなか決着はつきません。


 どの国の王もへとへとに疲れたころ、レモンの木が語りかけてきました。


「1つの実を、3人で分けなさい」


 王たちは顔を見合わせました。食べ物が豊かな国の王が、まっさきに言います。

「私は種がほしい。種を土にまけば、やがてレモンの木になるから。種さえもらえれば、後は何もいらない」

 そこで王たちはレモンを切り、種をみなとりだして渡しました。


 続いて、戦が好きな王が言いました。

「私は、果汁がほしい。兵隊たちの疲れを和らげるために」

 戦が好きな王のために果汁をすっかりしぼった後で、最後に金持ちの王の番がきました。

「では、この光り輝く皮と中身は、私のものだな」

 すきとおって固い皮と中身をもらい、王はにんまりと笑いました。


 3人の王は戦をやめ、満足して帰っていきました。レモンの木の近くに住んでいた人々はほっとして、また元の生活にもどりました。


 けれど、それっきり、レモンの木に新しい実はなりませんでした。


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― 新着の感想 ―
戦はいやですね。 あのレモンは争わなくてすむ知恵を授けるために生ったのでしょうか? それ以降実が生らないのが悲しいです。 読ませていただき、ありがとうございました!
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