第7章:逆転の芽生え
充は樹里の支配に溺れながらも、心の奥底でかすかな抵抗の火がくすぶり始めていた。
彼女の行為は、羞恥と快楽の狭間で彼を縛りつけ、教師としての誇りや人間としての尊厳を踏みにじっていた。
しかし、樹里の冷酷な笑顔と、彼女が振りかざす脅迫の証拠は、充を従順なペットに仕立て上げていた。
それでも、充の心には、江美との出会いが残した温もりがまだ消えていなかった。
江美の優しさ、彼女の疲れた微笑み、そして彼女が抱える孤独。
それらは、樹里の冷たい支配とは対極にあり、充に人間らしい感情を思い出させていた。
樹里の行為がエスカレートするたび、充は江美の存在を心の支えに感じていた。
ある日、充は職員室で江美からのメッセージを受け取った。
「谷口さん、樹里の様子が最近おかしいんです。学校で何かあったんでしょうか?」
その言葉に、充の胸は締め付けられた。
樹里の脅迫を江美に告白するべきか、葛藤が渦巻く。
しかし、樹里の持つ写真や動画が、充の口を封じていた。
その夜、充は一人で酒を飲みながら、樹里の行動を振り返った。
彼女の瞳に宿る怒りと寂しさ。
それは、単なる悪意や欲望だけではない何かを感じさせた。
樹里は、母である江美を守りたいと言っていた。
その言葉が本心なのか、単なる脅迫の口実なのか、充にはまだわからなかった。
だが、樹里の行動の裏には、彼女自身の傷や孤独があるのではないか——その考えが、充の心に新たな決意を芽生えさせた。
「このままじゃ、僕も樹里も壊れるだけだ。」
充は、樹里の支配を逆転させる方法を考え始めた。
彼女の弱点を見つけ、彼女の心に潜む闇に光を当てる必要があった。
樹里が持つ証拠を無力化し、彼女の心を揺さぶることができれば、状況を変えられるかもしれない。




